第78話 マッシモ東ダンジョン その7
一日休養を取ってお陰で新しい魔道具も作れたし、更に次なる魔道具のアイデアもゲットしたのでそのまま本日も引き続き魔道具作成って手もあるんだが、折角乗って来ているダンジョン探索の勘を下手に鈍らせるのも良くないと思って当初の予定通りにダンジョンへと出勤したのであった。
グランドキャニオンの様な地形の第12階層の続きである。
既に先日この階層のゴールである階段のある場所は発見済みなので、追加でクルージング・フィッシュのストックを無属性魔法の投網で捕ったらそのまま下層への階段の入口のある高台の頂きへと移動した。
おそらくこのステージのコンセプトは気の遠くなる様な面倒な道のりと見つからない下層への階段って言う、冒険者の心を折りに来る感じなんだろうが、この俺には全く効かない。
万が一にも足を滑らせて落下でペシャンコなんてアクシデントも起こらないのだからね。
残念だったね、ダンジョン君。
と鼻歌交じりに階段の入口に入って階段を降りて行き、第13階層へと降り立った。
グランドキャニオンステージに続く第13階層は、荒野ステージとでも言おうか? まるで根無し草が風に乗ってコロコロと転げ回りそうな赤茶色の乾いた土に覆われた荒涼とした西部劇に出て来そうなステージであった。
雰囲気的におそらくこのステージには川などの水源は期待出来ないのでは無かろうか? まあ俺にはダメージ無いけどね。
このダンジョンのステージって女神様が考えるか、他に管理している男女マスターが居るのかは不明だが、よくもまぁこんなステージばかり考えつくものだ。
魔法が使えない者にとって、水源が無いのは致命的である。
食える魔物が出るのであれば食料は現地調達が可能だろうが、水源が無ければ、その分色々な荷物を減らしてでも水を持って行く必要がでてしまう。
俺が思うに、件の先達の冒険者パーティーには少なくとも1人は魔法が使える者が居たのではないかと俺は睨んでいる。じゃなきゃ無理ゲーだよな。
で、その先達からのありがたい情報によると、ここのメインの魔物はコボルトの群れとウルフらしい。
そして要注意と書いてあったのは、グリフォンの目撃情報であった。
先達達は上手く回避したらしいが、グリフォンがコボルトの群れを襲って居る現場を目撃したと言う事だった。
グリフォン。鷹の顔と翼を持つにライオンの手足が生えた奴だっけ? 某魔法学校の学園物の映画で見たな。
実際にあんな感じなのかは不明だが、魔法を使う魔物で厄災クラスに強いと言う話らしい。
まあ、そうそう死ぬ事はないだろうけど、油断せずに『命大事に』で行こう。
実際のところ、目撃報告があっただけでそんなに運良く?運悪く?出会う事なんて、映画じゃないのだから起きないだろうし。
でも本音では本当にあの映画で出て来た様な姿なのか? そして空を飛ぶ姿とかも見て見たかったりする。
空を飛ぶって事は乗って飛べたりするのかな?
『騎獣』って言うんだっけか?低無したら乗せて飛んでくれるかな?
と妄想を膨らま一通り楽しんでから、気持ちを入れ替えてこの階層の攻略を開始したのであった。
この世界に来てから、コボルトはまだ見た事がない。
アノベやゲームの世界では犬っぽい人型の魔物って感じで出てくるけど、総じて強く無い感じだった。
そんな感じで俺のイメージとしては雑魚キャラと思い込んでいたんだが、それは単なる俺の思い込みであった。
で、この階層のコボルトは顔つきが可愛い犬風では無く、凶悪な狂犬っぽい風貌で、既に顔からしてヤバい。
しかもゴブリンよりも数倍以上に強い。犬っぽい特徴の所為か俊敏でそれでいて統率が取れていて、集団での狩りになれてやがる。
しかも、ウルフ系の様に牙や爪だけで戦うのでは無く、短剣や弓矢等の武器も使用し、個体数は少ないけども魔法を使うウィザードも混じっている。
しかも群れって言っても100匹前後の群れで陽動したり多彩な戦術を使って来るのである。
コボルト侮っていると、シャレにならない。
そのコボルトの洗礼を俺はこの階層を探索し始めて20分もしない内に受ける事になったのであった。
ワオーーン♪ギャギャン♪グルゥ~と周囲を3重にも4重にも取り囲まれて、魔弾による連射で押し寄せてくるコボルトに先日使った高圧縮のファイヤーボールによる炸裂で包囲網に穴を開けたと思ったら、仲間に亡骸を乗り越えて即座にその穴を埋めてくる。
ベースが犬だけに耳は良さそうなので俺を中心に風魔法を使った超音波を混ぜた音波による衝撃波をかなりの魔力を込めて音波爆弾の爆発的なイメージ的に半って見たら、これがn何気に大当たり。
キャン♪キャイーン♪と悲痛んな鳴き声を漏らし、耳をペタンと伏せて、混乱した様に右往左往している。中には耳の鼓膜が破けたのか、耳から血を流して居る者も居る。
今がチャンスである。更にもう一度ダメ押しの音波爆発を発動し、その直後に俺を中心にファイヤーウォールを拡大するイメージで発動したら、半狂乱どころではなく大パニックを引き起こし、俺を襲って来ていた7割のコボルトに軽くないダメージを負わせた。
無属性魔法による高周波ブレードを両手に作って男なら一度は憧れる双剣による一掃を始めた。
本当なら、魔石ぐらいは集めたいのだが、もう粗利一面殺戮現場の様な状況で血生臭さも酷いが、飛び散った肉片や焦げた異臭も混じっていて、マジで暫く肉料理はご遠慮したくない惨状である。
そんな中から魔石を弄って見つけて回収なんかしたくもないだろう?
なので、今回のコボルトは見なかった事にしようかと思って完全にコボルトを殲滅し終えたところで、この場を離脱しようと思ったのだが、少々遅かったらしい・・・。
ピギャァ~♪と言う雄叫びが割と高い上空から聞こえ、ただならぬ気配を察知しハッと上空を見上げると黒と茶色の入り交じった羽根の生えた1匹の魔物の姿が目に入る。
「あ!グリフォン来たーーー!」とその姿を見られた事もあってちょっとテンション高めに思わず叫んでしまっていた。
どうせ、既に俺の存在を認識している相手だ。今更少々騒いだ所で状況に影響は無いだろう。
とは言え、実に拙い状況と言うのは間違い無い。
別にバトルジャンキーではないが、これ程の強者の存在感を放つ魔物の底力知りたくないと言えば嘘になる。
これより上の存在と言うとおそらくドラゴンとかになるだろうし。
もし仮にグリフォンに勝てば、当面危機感を抱く様な魔物は居ない事になる。
ささ、どうする? 俺!?
いや、この折角の機会、一撃も入れずに逃げるのは勿体ないんじゃないか?
ここでグリさんの胸を借りるつもりでガッツリ相手して貰った方が得策だろう。
もしこれで死んだら、遅かれ早かれ死ぬ運命だったって諦めよう。
ま、死ぬ気はないけどな!!
まだ帰って新魔道具作ったり、パンのレシピ登録したりやる事多いからな。
と腹を括って魔装を強化し、何時もより大きめで強烈な回転を加えた弾速マシマシのスペシャルな魔弾をグリフォンに向けて放った。
げっ!あの野郎避けやがった!!
」そして、その直後にギュキュー♪と言う雄叫びの直後奴の身体の魔力が一瞬高まったのを感じ取った直後に俺の魔装いガキャンと言う音と言うか衝撃が入った。
厭な予感がしたのでサイドステップで50cm程左にズレていたので俺の右がわを奴の魔法が掠めたのだろう。
奴の魔法攻撃が見えなかった事からもおそらく風魔法による剣戟?ウィンド・カッター的な物だったんじゃ無いかと思う。
いやぁ~魔装思った以上に凄いじゃん!
思えばこの世界で初めてまともに実践で攻撃を受けた様な。
思わず自然に口角が上がってしまう。
落ち着け!俺。これはゲームではない。
死に戻りは不可のリアル・バトルだ。
おれは魔装以外に身体強化も比率を高めて運動性能をアップし、奴に向かって、炸裂型の高圧縮ファイヤーボールの弾幕を10発程発射して、奴の注意をそっちに向けさせた。
ギュキュ♪と鬱陶しいと言わんばかりに人無きすると何回も連発で奴の魔力が高まって、嘴からその魔力が放たれた。
おれはその魔法攻撃を回避しつつ、先程の威力マシマシのスペシャル魔弾を炸裂型の高圧縮ファイヤーボールの弾幕を混ぜつつ連射して行った。
最初の数発はフンと言う感じで避けてみせたグリフォンも圧倒的な弾数全てをよける事が出来ずに次第に被弾して行く。
だが!だ。奴の美しい羽根の1本すら傷つける事が出来ていない。
あの羽根の防御力は相当に凄いらしい。
何時までも地対空で魔法合戦をしていても埒が開かない。
さあ、どうする俺?直接高周波ブレードで斬り付けたいが、普通に飛んで空中戦を挑んで負けるのは目に見えて居る。幾ら高性能なこのボディでも身体強化だけで奴の居る高度までジャンプして規律kル事は不可だ。
そして、普通の魔法で幾ら撃ってもダメージが入らない。
であれば、地上いn叩き落として直接攻撃か?
どうやって地面へと叩き墜とすか?
そう考えてふっと頭に浮かんだのは爆発による衝撃波である。
地球の知識のある俺にとって爆発と言えば爆弾、そしてそのミサイル攻撃によって焼け死んだ俺に思い浮かぶ一番の爆弾は核兵器になってしまうが、そんな危ない物を使わなくてももっと安全でクリーンな魔法的な爆発もやり様次第でイケるだろう?
まあ魔法的なって『爆発』と言う2つのキーワードで真っ先に頭に浮かんでしまったのは某異世界転移物?アニメに出てくる『
爆発による衝撃波って事は奴の頭上で爆発させれば良いのだろ?
良かろう・・・やってやろうじゃ無いか。要はクリーンに大爆発させれば良いだけだ。そこら中の酸素と水素を集めればどでかい爆発の1つや2つイケるだろう。
方針の決まった俺はギンギンに周囲の酸素と水素を集めて無属性魔法で作った球状爆弾のケース内部に高圧縮で詰め込んで行くギュンギュンと唸りの様な振動が魔族性のケースのの表面に振動となって伝わって行く。
尤も奴もこの機会を見逃してくれる訳も無く、目下奴からの風魔法によるウィンド・カッターの乱射を華麗に回避しつつの並行作業である。
そして機は熟した。これ以上は無理そうと言う限界まで捏ねくり回して圧縮仕切った俺は満を持してゲートを発動し、奴の頭の直上にその圧縮しすぎでヤバい光を放ち出している無属性魔法の爆弾ケースをゲートで送り出した。
そう、奴の直上に。
そして、奴がその異変に気付くより早く、魔装と身体強化を通常時2倍にまで引き上げてから、軽く叫んだ「我トージが命ず、エクスプロージョン』!!」と口にした直後に目映い閃光と爆発音、そして全てを吹き飛ばす衝撃波、その後を追う様に爆風が奴と俺を襲う・・・。
ドゴーーーーン♪
その音量の所為で耳の鼓膜が破れ、閃光で目と皮膚も焼かれ揉みクチャになりながら飛ばされた。
この世界に来て、初めて強烈なダメージを喰らい、あわてて、回復魔法を自分自身に掛ける。
「ヒール。ヒール!ヒール!」と呟きながら視力が戻り、皮膚のヒリつきも無くなり、耳も耳鳴りがなくなって漸く音が判別出来る様になって来た。
爆発音は既に無く、その代わり吹き上げた石や土はバラバラと降り注いで居る音と、かなり離れた場所から奴の苦しげなキュイ♪キュー♪と言う鳴き声が聞こえて来た。
今がチャンスである。
奴の息の根を止めなくては。
俺は立ち上がって周囲を見回して奴の姿を探した。
居た!!100m程先に満身創痍で血を流しながら横たわる大きなグリフォンの姿が。俺は掛けたままの身体強化を利用して、一瞬で奴の所まで移動して無属性魔法で作った高周波ブレードを振り上げ奴の首にスルリと下ろした。
キュ♪と言う断末魔の鳴き声を残し、奴は動かなくなった・・・。
凄い戦いであった。
辛うじて勝ちを拾ったのか?
もっと魔法の攻撃力のバリエーション考えないとヤバいな。と自分自身をに戒めた。
実際、奴も俺も決め手に欠けていたのだ。
運動能力だけなら、奴が有利であっただろう。
まあ今回の勝因は『
グリフォンの亡骸の回収を済ませ、驚異の居なくなった第13階層をサクッと上空から滑空し第14階層への階段を見つけ、この階層を終了したのであった。
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