第73話 マッシモ東ダンジョン その2

皆様、長らくお待たせしてしまい申し訳ありませんでした。

まだ環境的な物元通りに揃っておらず、テザリングでの儚げな状態でパケット制限にビクビクしながらではありますが、2に日に1話程度のペースになりそうですが投稿を再開したいと思います。

もう直ぐ光回線がやって来る筈ですが、その前にパソコンデスクも選ばないといけなくて、そんなに広く無い部屋に同配置すべきかを悩んでおります・・・。

え?前置きが長い?  失礼しました。


上記の様な状況なので、ペース少し遅くなります。と言う前振りでした。

以降も宜しくお願い致しますm(__)m

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空から一気にズルしようか?とも考えたが、ダンジョン初心者なのでダンジョンに慣れる為にも敢えてショートカットせずに第4階層への階段を目指す事にした。


どうやらこの階層は動物系3、昆虫系5、爬虫類系2ぐらいの割合で出て来る感じである。俺の嫌いな昆虫系だが、ワイルド・ビーという蜂蜜をくれる蜂以外は鬱陶しいだけで嫌いである。


1匹のワイルド・ビーが飛んでいたので、コッソリ後を着けて巣まで案内して貰って、巣の出入り口を塞いで閉じ込めて電撃で巣内のワイルド・ビーを全滅させて美味しいハチミツを樽4つ分掻き集めてやった。


え?全滅させちゃ、次が採れないだろうって? いや、ここはダンジョンだぜ?無限にリポップするだろう?


いや、確かに加減さえ上手くすれば昏倒ぐらいに納める事は出来たかもしれないけど、加減間違ってたら、デッカいミツバチにたかられる事になってしまうんだぜ?


幾ら魔装で防護してるとは言え、昆虫嫌いの俺には蕁麻疹物の恐怖でしかない。


だから、キッチリ一掃をチョイスした。


沢山の蜂蜜を貰ってホクホクしていたら、ブラック・ベアーが蜂蜜狙いでやって来て俺が蜂蜜を取ったのを怒り襲って来た所を魔弾のヘッドショットで撃ち抜いて血抜きをして収納した。

蜘蛛も嫌いだが、蟻も嫌いだ。ウォーリアー・アンツの蟻塚を発見してしまい、ウッヘーって思って避けようとしていたら先に発見されて100匹ぐらいのウォーリアー・アンツの大群に囲まれてしまい、まず手始めに50匹ぐらい始末して酸攻撃を躱しつつゲートで位置を移動しつつ遊撃し撃退してやった。

ウォーリアー・アンツの外骨格って、驚く程に堅いのな! 魔弾を弾く程ではないけど、変な角度で当たると食い込まずに魔弾が滑って流れてしまったりした。まあしょっと発射速度を上げれば大丈夫。


手こずってはいないけど、酸攻撃の酸っぱい匂いに思わず気持ち悪くなりそうな・・・遠足等でバスに乗った際に貰いゲロしそうになる感じが不快だった。

兎に角全部やっつけたけど、数が多くて亡骸の回収が本当に面倒だった・・・。


ちょっとウンザリしたので、少々休憩を取って、肉巻きおにぎりとゆで卵で手早く昼食を済ませ、午後の探索を始めたのだった。


真面目にこの階層を走破するのが、先程のウォーリアー・アンツの所為で薄れ、半ば「もう良いっかなぁ~」って気分になっている現在である。


そもそも本当の目的は別、マジックバッグの素材のゲットである。それ程暇じゃ無いし、家にはみんなも待ってるし・・・


「よし、ショートカットしよう!」と一応声にしてから、上空へとゲートで移動して第4階層への階段を探すのであった。


意外にも、階段の入り口は結構近くに在ったので、即座に階段前に着地して階段を降りて第4階層へと足を踏み入れたのであった。


第4階層はまたしても陰鬱な雰囲気の洞窟ステージである。坑道と言うよりは鍾乳洞っぽい。昔子供の頃に親子で行った山口県の秋芳洞を思い出す。


ここでは、蝙蝠系とラット系、それにスライムが出て来るらしい。


で、この蝙蝠系が意外に厭らしい。超音波で索敵して視界が悪くともお構いなしに攻撃して来る訳だが、その索敵に使う超音波、俺の専用ボディのスペック良過ぎる所為で、結構耳障りだったりする。

しかも奴らの糞尿の所為で臭いし。


ハイスペックな専用ボディの思わぬ弱点だな。


ただ、言い訳じゃないけど、奴らの放つ超音波を関知出来るので、どっちからやって来るかの判断基準にはなる。


奴らは目が殆ど見えて無いみたいなので、飛んで襲って来る時には常時超音波発して俺の位置を確認して居るからね。


そうそう、それでピンと閃いたんだけど、奴らにとって、音は生命線な訳よ。


エコーで索敵してるから、俺の周りに風魔法の層を纏って音波を反射しない様に吸収してみたんだけど、これが大当たり!


奴らは俺を見失って焦っているところに接近して魔弾でズドンで仕留める。


洞窟の天井にぶら下がって居るから、感覚的には葡萄狩りに近い感覚だな。


まあ蝙蝠を食う気にはならんけどな。


それに前世の世界を大混乱に導き日本が消滅する要因の1つとなった、あのウィルスも蝙蝠由来だったし、仮に美味かったとしても、とても食う気にはならんな・・・。


キラー・ラットと遭遇したんだけど、キショい!!!


ねずみ色の固そうな毛に覆われていて、ピンク色の尻尾が気持ち悪い。


目は真っ赤に充血した様な感じで栗鼠の様な歯(しかも鍬の刃の様に鋭い)が生えていて、大きさが異常に大きく(ゴールデンレットリバーの成犬サイズ)可愛げの欠片も無い。もし『ジェリー』がこんなネズミだと、トム絶対に喧嘩を売らないだろう。


いや!トムだけじゃなく、俺もこんなのには近付きたくないな。


持ち帰っても特に報酬が良いわけでもないので、倒した後の亡骸はスライムさんとダンジョンさんに後処理を任せる事にして先を急ぐ。


午後の3時おやつ時だが、こんな所では落ち着かない。


キリの良い所で一旦帰ろうと思って居るのだ。


初日から焦る必要も無理する必要も無いからな。


そう、この世界はレベルと言う概念の無い残念な異世界なのだ。


だから、「あとちょっとでレベルが1つ上がるから頑張るぞ!」とかのワクワクは無いのだ。

食い物には少々ガックリしたこの世界、まあ魔法があるのが救いだが、レベルの無い世界での達成感はドロップ品と言うか、宝箱や魔物の素材くらいしか楽しみが無いのが残念でならない。


いっその事、レベル制を導入して貰えないかなぁ~?


いやいや、大規模バージョンアップ天変地異級が必要とか言ってたから、滅多な事は口にしちゃイカンな・・・。


まあ、そんな感じだ熟して行ってちょっと広めのホールっぽい分岐点で今日の探索を終了し、皆の待つ我が家へと戻る事にしたのであった。


初日としてはまあ、こんな物だろう?



さてと、ゲートで帰ろうかと発動しかけた丁度そのタイミングで、50m程先に魔物と戦う冒険者?の気配を察知した。


そして、剣戟の音に紛れて人の悲鳴と悲鳴も聞こえてきてしまった・・・。


運が良いのか悪いのか。


聞いてしまった以上、責任も義理もないとは言え、知らぬ素振りが出来る程に図太くない俺は、音のする方へと」走り出したのだった。


30秒も掛からずに薄暗い洞窟の地面に横たわり血を流す男性とその後ろにおびえる女性が1人見えてきた。

どうやら、先ほどの悲鳴はこの女性の物らしい。


等と悠長に観察している場合じゃないので、今も男性に群がろうとしているキラー・ラットや既に男性の腿に囓りついている奴らに脅しの一発を

走りながらぶち込んでやった。


キューという短い悲鳴とともに成犬大のキラー・ラットの額に穴を開けて後方へ1匹が吹っ飛んだ。

優勢と嘗めきっていた周囲のキラー・ラットも一斉に警戒を強めて男性の周囲から1m程離れたこのチャンスを見過ごさずに男性を中心にシールドを張って駆け寄りつつ2人に声を掛ける。

「ども、緊急事態っぽかったので、声を掛けずに1匹ったけど、拙かったか? お兄さん、足大丈夫か?良かったら治療しようか?」と怪しい者じゃないよ?オーラ全開で話し掛けた。


「取りあえず、鬱陶しいネズミ共を蹴散らして良いか? ヤるぞ!?」と一言断りを入れてから、間断の連射でスパパンと一瞬で殺戮現場の様な状況にしてしまった。


唖然として固まっている2人を守るシールドを解除して合流し、男性の傷の状態を見ると、かなり深く肉を抉られていて、チラリと奥に白い大腿こる骨が見えている。

男性が手で押さえて止血しているものの、血は止まっておらずかなりヤバい状態だった。



「あ、あ、ありがとうございます!! もう駄目かと思いました! すみません、治療お願いして良いでしょうか?地上に戻ったら、絶対にお支払い致しますので。」と男性の背中でへたり込んでいた女性が堰を切った様に話し掛けてきた。


すると腿を負傷してる男性も我に返った様に再起動して、お礼を言って来た。「危ない所、助けて頂き、本当にありがとうそれと申し訳ないが、回復ポーションを使い切ってしまっていて、後で払うので、治療お願いして良いだろうか?」と頭を下げながら出血の所為か青い顔色でお願いして来た。

「ああ、勿論構わないさ。じゃなきゃ、ネズミから助けた意味無いからな。」と俺が言って2人纏めてウォッシュ&浄化を掛けてやって、綺麗にした後、男性の腿に回復魔法を掛けてやった。


映画フィルムの逆再生の様に、抉られた肉や血管が戻って行って盛り上がって最後に皮膚が再生して治療完了である。


男性の履くズボンの穴だけが怪我の後を匂わしている程度となった。


「これで、治療は終わったが、失った血は戻らないから、血肉になりそうな肉や栄養のある物を食って休む事お勧めする。」と俺が言うと、それを合図の様に2人のお腹がク~♪と鳴った。


2人を見ると、来拙そうな表情で何か言いたげな雰囲気fである・・・。


「もしかしてあんたら、食料持って無いのか?」とあきれ気味に聞くと、何ともいえない表情でコクリと頷いた。おいおい・・・。 


「マジか?じゃあ飲み水は?」と聞くとフルフルと顔を横に振る女性。


「俺も人の事言えた身じゃないが、俺に出会わなければ、あんたら色んな意味で終わっててたな?」と俺がツッコむと苦い顔をしつつ、何やら期待の籠もってそうな目で俺を見上げる女性。


「まあ、このままここに放置したら、確実に死にそうだから見捨てはしないけどさ・・・。」と一応は釘を刺してから、リュックから、出したフリをしつつ、水筒と食料(竹の皮に包んだ肉巻きおにぎり)を出して分けてやったのだった。


そうすると、2人はガバッと飛び付き、2人で代わる代わる水筒から、水をゴクゴクと飲んでいる。


「ああ、水は幾らでもお替わり出せるから、好きなだけ飲んで良いぞ!」と言ってやると、直ぐにお替わりを要求して来たので魔法で水を補充してやった。

勿論、その合間に竹の皮から取り出した肉巻きおにぎりを一心不乱にむしゃむしゃと齧り付いて食べている。


とても、女性が食べる様な仕草ではない。品も何もあった物じゃない状況だ。


だが、余程美味しかったらしく、にぱぁっと良い笑顔を見せていた。

まあ、不覚にもその様子にハムスター的な可愛さを感じてしまったのだが、直ぐに錯覚と自分で自分を正すのであった。


漸く、喉の渇きも、空腹も収まった様で、男性の方から自己紹介をし出した。


「すまん、自己紹介が遅くなったが、『紅の星』(おそらくパーティー名)のジョンソンだ。こいつは、パーティーメンバーのサラだ。2人共にDランクだ。今回はもう1人のパーティーメンバー斥候役が都合で欠席で2人で第5階層まで潜ったんだが、いつもと勝手が違って、第5階層でオークに囲まれてしまって、荷物を捨ててギリギリで逃げて来たんだ。何時もならそんな事は無かったんだけどなぁ~」と気拙そうに言い訳して来た。


「そりゃあ、単にもう1人のメンバーの斥候が優秀だからだろう?お前ら2人のどちらかでも気配察知出来る奴いるのか?」と思わずツッコんで追い打ちの質問を投げかけた。


「い、いや・・・」と言葉を濁し下を向く2人。


どうやら、此奴ら、当初想像した以上にバカの様である。

「都合で不参加じゃなくて、愛想尽かされたんじゃないの?」と思わずボソッと漏らしてしまったら、2人共に一瞬ギクッとしていたが、否定する様に? いや、どちらかと言うと現実から逃避するかの様に大きく首を横に振っていた。

「い、いや、そんな筈は・・・」とモゴモゴと呟いている。


まあ、どっちでも俺には微塵も関係無いがな・・・。


そう割り切って所詮は他人事と放置したいが、行き掛かり上関わって助けてしまったから2日程無駄になりそうな予感がビンビンしている訳で。


あー、面倒なバカ助けちゃったかも。と心の中で愚痴ってしまうのだった。


小さい頃、捨て犬を拾って帰って来てお袋に「何やってる?元の所に戻して来なさい!」って言われて泣いてお願いして、10年程我が家の一員として飼っていたのを思い出したよ。

ペロ可愛かったなぁ~。


そうか、此奴ら、あのときのペロと何か似てるのか!!


まだ食い足りなさそうな雰囲気なので、先ほどのホールに2人を連れて戻りお替わりの食料、それに暖かいスープもコップに入れて出してやると、嬉しげに泣きながら食っている2人。


腹が一杯になっても、此奴らクタクタののボロボロだからこのまま直ぐに移動するのは無理そうだし。

一晩ゆっくり寝かせて明日1日で、第1階層まで引き摺って行かないとな。


と言う事で土魔法でドーム状のシェルターを作ってやって、おそらくこれまで不眠不休で逃げ回っただろう2人を中に入らせ寝かせてやった。


相当に疲れていたのだろう。ドームの中に入らせて、「俺が寝ずの番をしておいてやる・・・」と伝えた時には既に寝息を立ていたのだった。


もうんえ、警戒の『け』の字すらなくて油断しまくっていてさ、きっと此奴らのメンバーだった斥候君、相当に苦労したんだろうなとしみじみ思ってしまうのだった。


俺は、ドームにシールドを張ってから、奴らが完全に寝ているこの隙に一端ゲートで自宅に帰ってアリーシアさん達に事情を説明し、戻りが当初の予定より遅くなる事伝えたのであった。


やっぱり、通信魔動具は作るべきだなと思うのであった。


師匠に聞いた限りでは、ダンジョンの宝箱からペアの指輪にによる意思疎通の魔動具が出た事があったと聞いたが、現在までにそれ以外の通信可能な魔動具は存在してないって事だったし。


現代の日本で慣れてしまった俺には非常に不便に感じる訳だ。

以前師匠に通信の魔動具作りませんか?って、言った事あったんだけど、

「そんな厄介で余計な連絡の入りそうな物厭だね!」と一蹴されてしまったが、師匠を宥めつつ作り方をじっくり考えてみよう・・・。


そんな事を考えながら再度ゲートでダンジョンのホールに戻ったが特に何も異変は無かった。


奴らは2人して安心仕切った様子で高鼾である。


こいつたのバックレたパーティーメンバーって、かなり苦労してたんじゃないだろうか?


そもそもDランクって言ってたけど、特に強そうな気配も光る才能の気配も無いし。


やっぱり、『レベル』という資質の目安になる数値が無い世界故の弊害かな?


ギルドへの貢献度とか依頼の達成だけじゃあ、計れない強さや勝負強さや才能ってあるよな。


明日は、こいつらを第1階層まで送って早々に別れて遅れを取り戻さなきゃな。

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