第65話 マヨラー育成為に
さて、次に作るべきは既に大分前から決まっている。
早くマヨネーズのレシピを登録したいので、卵の浄化魔動具を作る予定だ。
ご存知の通り、マヨネーズを作る際に使用する生卵には通常細菌が居るらしい。
日本の卵は安全で生卵でイケるけど、海外では非常識って思われるって話を聞いた事がある。
だから日本以外でTKGは命懸けって事だった。
確かサルモネラ菌だったっけ?
尤も、この世界の生卵に菌が居るかは知らんし、そもそも生食するって事すら考えもしてないだろうし。衛生観念も遅れてるし、細菌やウィルスの存在も知らないみたいだからね。
まあそんな訳で、浄化魔動具を作れれば、それを利用して、生魚に使って、刺身や寿司と言う未来の夢も見られるかも知れないし。
ちらし寿司程度なら、生魚無しでもイケるけど、やっぱり普通に握りとか食べたいし。
既にマヨネーズの魅力を十分に味わっている師匠と一緒に浄化の魔動具を作るのだが、照射型の魔動具にしてLEDの懐中電灯の様な筒型の形状にしてみた。
魔法的な殺菌を行うのだが、広範囲に何処までも広がると拙いので、ある程度の照射エリアを絞った仕様である。
酒蔵等でウッカリ発動しちゃうと大事件だからね。
今回のこの浄化魔動具で、俺は初めてルーン文字以外の文字で魔方陣を構築してみる事にした。
そもそも、殺菌と言っても、菌やウィルスの概念の無いルーン文字だと非常に難しいのである。
そこで、対象物に『菌』と言う字や『毒』と言う字を使って『除去』する様に組んで見たのだ。
照射範囲は光が出るので、目視出来るのだが、困った事に成功したのか失敗なのかの判断が出来ないと言うテストの実証問題に行き当たってしまった。
そこで、考えた挙げ句、簡単にカビの菌でテストする事にしたのであった。
裏の倉庫から、発行中のドロドロの上澄みを掬って来て、平たいお皿に入れて、殺菌魔動具照射する。
完全に殺菌されていれば、発酵が停まるだろうと言う判断だ。
2日後に確認すると、無事に菌は死滅したようで、お皿の発酵は停止して冷たくなっていた。(発行中は発熱するからね。)
師匠と2人で実験結果にニンマリ。
「トージ、お主、これは実に良いかも知れん。まあ毒がどの程度除去出来るかは判らんが、長期の遠征で持って行った食物は必ず傷むからの。一回気休めでも照射してから食べればリスクは減るじゃろ!」と売れると太鼓判を押してくれた。
「そうですね。一応、実験で我が家で使用してみて問題無い事を確認してから世に出しましょう。 只、これ魔方陣に特殊な文字いれてるから、俺達じゃないと精算出来ないんですよね・・・。」と漢字を使った弊害を嘆くが、
「まあそれは致し方無いのぉ~。暇な時にジャンジャン作れば良かろう?」と慰めにもならないような言葉を頂くのであった。
まあ、ボツリヌス菌があるかは不明だけど、サルモネラ菌が紫外線とかで死ぬかも不明。またこの世界特有の菌がどんな耐性や弱点をもって居るかも判らないのでルーン文字で仮に紫外線を発生させられたとしても効果は不明である。
2週間程我が家で『浄化』の魔動具を使ったマヨネーズを使って見て、全く問題が無かったので、漸く安心して登録する踏ん切りが付いた。
俺がそう言う菌によって人が亡くなる事があると師匠に説明したが、人の命の安いこの世界では、よくある事で、水に含まれた毒物の所為で口にした者が死ぬ事もあるので、そう神経質になる意味は余り無いと言われたのだった。
そうは言われてもな。一応はベストを尽くしたいじゃないか!?
眉唾ではちょっとね・・・。
まあ、一応、マヨネーズのレシピの登録時に一緒に『浄化』の魔動具を商人ギルドに登録した。一応、本製品はライセンス生産不可としてあるので大丈夫だと思いたいが・・・。
俺の精算した浄化の魔動具には桜のトレードマークを入れてある。そこら辺もマヨネーズのレシピにキチンと記載してあるし、正しい浄化の魔動具をしなかった場合の危険性も書いてあるので大丈夫だろう・・・。
俺の疑り過ぎなのかも知れないが、何か効果の怪しい紛い品が出て来そうなんだよね・・・。いや、別にフラグ建築士じゃないからね!!
この世界に日本で売られて居る様な美味しい食パンは無いが、マヨネーズが一般に普及すれば、美味しいサンドイッチとかも欲しいね。
イースト菌はちょっと判らないけど、果物とか使った自然の酵母で発酵させたら、フンワリとした食パンとかもイケると思うし。
ヤル事多過ぎて、まだそこまで手が廻ってないけど、近々にトライする予定だ!
そうそう、寿司と発酵繋がりで思い出したが、ビガーの製造方法をマイマイを原料にして貰う事を個人的にお願いしていたのだが、漸く準備が出来たとの事で、醸造所街の方で試作してくれる事になったんだよね。
もしかすると、米酢の酢飯で寿司が食えるかもしれない・・・。
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