第52話 焦る王の決断

トージ達の家を、影に張らせておるのじゃが、呉々も敵対行為や攻撃うあ害意があると思われない様に細心の注意を払う様に言いつけて動向を探らせておったのじゃが、


朝から変な報告のオンパレードじゃ。 まず良く判らんのじゃが、何故か朝から自宅の庭で王都にある事自体不思議な生の魚を焼いておるらしい。しかもあの一緒におったアリーシアと言う女性ではなくトージがだ。


朝からご機嫌に魚を焼いて変な棒2本を使って裏返したりして居るらしい。やはり奴は面白い・・・いや変わっておるの。 儂も美味しい魚が食いたいのう。


朝食が終わったのか、アリーシアと2人で出かける様じゃ。ええのぉ~若いカップルは。


じゃがじゃ!!早速ヤバイ事態に陥ったのじゃ! 監視して影全員が足を地面に軽く埋められ撃退されたのじゃ。何時何をされたのかさえ判らぬ内に埋められる・・・。

幸い軽く直ぐ抜ける程度にしてくれたのは幸いじゃった。非破壊強度で固められておったら、全員足首から下を失う所じゃ。

これは警告と受け取り、儂の意図を理解した上で即座に撤退を選択現場の指揮官はした実に有能であった。逆に次男のイソギンチャク共じゃったら、今頃生き埋めか皆殺しか・・・もしくは最悪ここ王城が無くなっておったかも知れん。


流石に、関係ない全王都民巻き込んで更地にする程の無分別では無いと信じておるし、もしそうであったら、監視しておった影全員は生還しておらんじゃろう?


やはり、次男と次男の取り巻き共を早々に王国から排除するか、幽閉してしまうかせねばねらんだろう。アレの母の側妃に泣かれ様とも王国の存続のためじゃ致し方ない。

儂も血を分けた我が子の命を奪いたく無いのじゃ。出来る限り穏便な落とし処をゴールにせねばならん。


しかし、面白いの。トージの潜む気満々の奴影は拒絶したが、戦闘メイドに町娘の格好をさせて試しに離れて普通を装わせたら、笑って許したらしい。しかも手を出すなよ!?と言う気配まで送ってだ!!


もうな、この高度な神経戦の様な目に見えないやり取りは疲れるのじゃ。 しかし、儂も国王として、一応、最重要人物の動向はフンワリと把握して置かねばならぬのじゃ。許せトージ。


トージの奴、面白い所に入り混みよった。あの『孤高の錬金女帝』と呼ばれ誰も寄せ付けなかった気難しい『メリンダ』の店じゃぞ!!誰も寄せ付けなかったのに、変わり者同士息が合うのか、店の中で、リュック意外何も持って無かったのに、焼き魚の串焼きや、食い物を出して笑いながら楽し気に食べて居ると言う。

何じゃ?何を食べさせておるのか?気になるぞ!?


そして30分ぐらいで、店を出て商店を散策しながら、何と、神殿に入ったと言う。いや女神様を信仰するのは、この世の者なら当然じゃが、何か引っ掛かる・・・なんじゃったか?・・・。


15分くらいしたら、ニコニコ笑顔の司祭と一緒に出て来て裏手に回って何かし始めたと思ったら、急激に裏のボロくなった孤児院全体が光ったと言う。そしてその後は・・・。


もう見事としか言い様が無い。アリーシアと2人で協力し合い、たった2人出見事に孤児院を修繕してしまったと言う。


しかも、不思議なのは何も持って居無かったのに、屋根を修理するのに綺麗な材木の板を使って穴を塞ぎ、驚く様な技術でアッと言う間に永遠に使っても雨漏りしない様な物に作り替えてしまったらしい。


しかもだ。孤児院にまであの大理石の風呂場を増設し、綺麗な魔動具トイレまで増設しおったらしい。


何じゃ彼奴は? 神か!?


あー!!!!そう言えば、建国史の一節に・・・時折『魔の森』より出でたる女神様の『御使い様』が降臨される事があると言う話があった様な・・・・。


国の繁栄をもたらす女神様の『御使い様』の話が!!!



もしもトージが・・・いや『トージ様』が女神様の『御使い様』であったとしたら、全ての事に合点が行く。


と思ったところで、儂は背筋がゾッと凍り付くのを感じたのであった・・・。


もう今から数十世代前に次男と同様に女神様の『御使い様』と敵対した愚かな貴族の話があった様な・・・確か、領民以外は、全滅で、領主の館等欠片さえ残ってなかったって事ではなかったか?


バカな王侯貴族が絡んだ瞬間に全てが終わる。決して我が王国はトージ様に敵対してはならない。


そうだ!マッシモ辺境伯だ!彼を手本にすれば良いのだ・・・。


兎に角こうしちゃ居れん。

そうと決まればそうそうに褒美?いや、詫びの品では無く権利?立ち位置の保証をすれば良いのだ。


トージが求めて来ない限り不干渉で、心地よい距離感を持つ事。下手に無理強いや正当な対価無く命令する事も地位や立場を笠に着る事を禁ずればイケるのではないか?


仮に王侯貴族が絡んで来た場合は反撃を許す事!

これは絶対じゃ。アンタッチャブルな存在としての立場を保証せねば。


王国の為、この先100年の王国の存亡を掛けた決定じゃ。


心の決まった儂は、夜であったが大至急と言う事で、大臣以下の者を呼び集め


トージ様の権利とお立場に関する決定事項を纏め大臣達に裏から貴族共に徹底する為の草案を作らせるのであった。


この日、漸く儂は熟睡する事だ出来たのであった。


尤もその代わりに細部を丸投げされた大臣やその配下の者達は眠れない夜を過ごしたと言う・・・。


そして、前代未聞の国王からの命を遂行して纏める為の時間稼ぎの為に大臣が取りあえず最初に決定した事は、トージ一行の王都からの離脱禁止の極秘指令を各門の衛兵達へ徹底したのであった。


更には極秘でラルゴ商会のラルゴに当面王都に居る様にと協力の要請とその対価を提示したのであった・・・。

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