第44話 ゴザレオの街 その2
ソフィアちゃん、の案内で、この一帯を仕切っていると言う顔役に面会し、『無限咳病』の治療についてを説明すると、最初は怪訝そうにして居たが、その顔役の身内も『無限咳病』に掛かって居る事が判明し、最初にその
知れ以降は顔役のラダムさんの協力によってスムーズに事が運んだ。
「トージ様! こちらに全員集めやした!」と広場にスラム全員を集めて貰って3日掛かりで予防の意味も含め発症して居ない者まで治療を敢行した。
各小屋の
日々やってる枯渇も最近では魔力増え過ぎてしまい普通に枯渇状態に持って行くのも難しいのだ。
そんな訳で、やっとこの街のスラム全体の治療と浄化も終わり、晴れてミッション完了となった。
そろそろ王都のラルゴ邸に戻らないといけない頃合いである。
「買い物・・・出来ませんでしたね。まあでも良かったんじゃ無いですか? 元気な人も増えて。」と微笑むアリーシアさん。
しかし、その一方では寂しげな表情で俺達を見つめるソフィアちゃん姉妹。今更だけどお姉さんの名はソリアさんと言うらしい。
「トージ様、是非私共も召使いとして連れて行って貰えませんか?」と懇願されるが、どうしたものか?
確かに人手は欲しかったりするし、俺の代わりに料理担当してくれたりする人が居ても問題は無い。
悩ましい所だが、召使いって言ってもなぁ~。
ちょっと席を外してアリーシアさんに「どうする? 人手は先々欲しいところだけど、連れて行くとなったら、マッシモの自宅って事になるし、余り他人が増えると、俺もアリーシアさんも落ち着かないし。
更に内心では、絶対にお!あいつハーレム作りやがった『うらやまけしからん!』って身に覚えの無い嫉妬されたり妬まれて悪意向けられるのは目に見えてっからな。やっぱ無しだな。と決意した。
「人手は先々欲しいけど、今じゃ無いから、無しにしよう。」とアリーシアさんに告げると、
「あら、あの2人なら、宜しいじゃありませんか?幸いトージ様の素晴らしさも凄さも十分に理解しておりましし、心酔してますから、裏切る事は無いかと。 それに・・・ここに置いておくと、折角救ったのにまた良からぬ目に遭わないとも限りませんよ?みすみす不幸な目に遭うのを放って置くのは同じ女性として如何な物かと。」と意外な返事が返って来た。
要は非力で特別な才能や特技もコネもなければ、後ろ盾の無い女性の行く末は悲惨か食うに困るかの明るくない未来しか無いと言う事らしい。
「えーーー!?そうなの?アリーシアさんは厭じゃないの?」と不思議に思って聞くと「え、あの2人なら、普通に仲良くやって行けそうですし。後はトージ様のお心次第かと。」と何も思おう事が無い様に答えてくれた。
えー?折角救ったのに幸せになって貰わないと寝覚めが悪いよな・・・。
どうしよう・・・・。
凄く内心で悩んで居たが何かアリーシアさんはグイグイと2人を連れて行く事を推して来る。
出した結論は、保留である。
理由は、アリーシアさんが家に居るのは良いのだが、複数人の女性が居ると、落ち着かないからである。一々周囲から色恋に絡めて見られても迷惑だし。
なので、王都かこちらに家を増やしたら、其処の管理を任せる事を条件にして雇う事かな?
アリーシアさんにその事を話すと、取りあえず納得してくれた。
「すると、そうと決まれば、早速ここの家を調達しに行かないと!」と俺を急き立てる様に商人ギルドに向かわせて、アリーシアさんは少し離れた場所で捨てられた犬様な表情の姉妹の元へと近寄り、ゴソゴソと何か話して居た。
商人ギルドに到着し、受け付け嬢に商人ギルドのカードを見せて家を購入したい事を伝えると、満面の笑みで対応してくれた。
価格帯は相場が判らないので不明だし、適当に4部屋個室のある事をと風呂付きの家を希望すると驚いていた。がニッコリ笑って「ぴったりの家がございます。」と間取り図を持って応接室へと案内された。
丁度お茶が出された辺りでアリーシアさんといつの間にかアリーシアさんの予備の普段着に着替えニコニコ顔の姉妹が到着し、たので、一緒に応接室で間取り図を見る事にした。
3人の様子を見て居ると、俺の懸念は余計だったのかな?思ったりして、まるで俺ってモテて困るぅ~って1人で悶える勘違い野郎じゃねぇか?と少し恥ずかしくなるのであった。
結局お手頃価格?の6百万ギリーって事で、一応内見もしたがほぼ即決で購入した。アリーシアさんの値切り交渉でカーテの手配分がサービスになった。そのまま生活に必要なベッドや寝具はラルゴさんの所で購入するとして、他に足りない物、タオルや石鹸や彼女らの着替えや日用品を3人に買いだしに行って貰って、その間に俺はラルゴさんの所でベッドと寝具を速攻で用意して貰った。
「トージ様、運ぶのはお任せして宜しいのですよね?」と言われ頷くと、倉庫に連れて行ってくれて、マッシモの家の物と多少色の違うベッドや寝具類をゲストルームの分を併せ5部屋分購入したのだった。
物自体は自宅の物と遜色無く、極楽仕様である。
しかし、良く在庫が在ったなと驚いていたら、どうやらラルゴ商会の売れ筋商品で、王侯貴族も挙って購入する品らしい。
なので、俺の様な突発的な客にも対応出来る様に、ある程度は在庫をストックしているとの事。
流石にこの国屈指の商会だけあって、規模が凄いね!
ベッドと寝具一式を受け取り支払いも済ませて
「じゃあ、明日辺りに戻りますね。」と言うと、折角なので、オークションに遅れない様にと口を酸っぱくする程に念を押された。
うん、明日か・・・。
「朝、7つの鐘のまでに王都の邸宅に戻ります。」と約束し、裏路地に紛れ込んでゴザレオの購入したての家へとゲートで移動したのだった。
まだ3人は戻って居らず、俺は家の中全体を念の為殺菌と浄化清掃してソソクサと5つの部屋にベッド屋寝具を置いて行く。
一応、箪笥等の多少の数は残っているし、キッチンも風呂もトイレも魔石をセットすればそのまま使える様なので、安心だ。
寝具と各魔石のセットが終わった頃、大荷物を抱えニコニコニマニマと破顔した3名が帰宅し、更に商人ギルドから依頼されたカーテンが配達されて、人の住処っぽい空間になったのだった。
何か、あの3人仲良いな。と思わず不思議に思ったが別に悪い事ではないので、スルーしておいた。
「今までスラムの小屋で生活して居たのに、イキナリこんな凄い家に住んで良いのでしょうか? 嬉しすぎて死にそうです。」と漏らすソフィアちゃんとそれに同意する姉のソリアさん。
ここ数日で栄養面が改善された事で、急激に肌の色艶も良くなっている。
ソフィアちゃんも姉の心配が無くなったので、歳相応の溌剌とした表情で可愛い。
良かったな。
2人に当面の運営費と生活費を渡してやり、当面はここで暮らして、家の管理をお願いした。
「ええ、トージ様全て、アリーシアお姉様から聞いて居りますのでご安心下さい。」と恭しく頭を下げる2人。これで安心だ。
4人で昼食を取って、俺は3人を従えて市場へと向かうのであった。
何か大名行列じゃないけど、美女3人を連れて歩いた所為でかなり人目を引いてしまった・・・。
やはり海辺の市場は良い!豊富な獲れたての生魚。新鮮が彼方此方に漂っている。ハッキリ言って、どの魚が美味いのか、サッパリ判らん。
幾ら『女神の英知』が在っても名前だけで味は分からんからな。
店のおいちゃんやおばちゃんに聞いて、美味しいお薦めの魚を購入して行く。海藻類も発見したのでワカメっぽいのを含め生の物をそのまま購入して廻る。
特に岩海苔は木箱に広げられた物を何箱かゴッソリ購入した。日本の海苔の様に巻き簾の上で平らになる様にして干して欲しいものだが。ひとまず自分でするしか無い。
まずは何処かで巻き簾を底にした箱?
いや、巻き簾は底から脱着出来る感じが良いのか? それに美味く使えば、藁半紙とかも作れそうだな。
と思い付き、todoリストにメモしておいた。
決行な量の海産物を購入し、家に戻った後、思い付いたので、俺だけ王都に戻って、先日の懐中時計専門店に行って、同じ時計を2つ購入した。
他に置き時計は無いかと聞いてみたら、置き時計専門の別店舗にあるとの事で、会計を済ませた後丁寧にもその店舗まで案内して貰った。
特に昔婆ちゃんの家にあった様な大きな振り子時計は期待してなかったけど、置き時計は、結構なサイズで、人の目の高さに数字が見易い様に作られて居るらしい。マッシモも含め2軒分の2台を購入すると、こちらが要求しなくとも値引きしてくれたのは助かった。いや結構名値段だったけど、
やっぱりあると便利だからね。
こうしてゴザレオの家に戻り、2人にお揃いの時計を渡して、リビングに置き時計をセットした。
夕食の準備を4人でやって、歓迎会を兼ねた夕食をワイワイと楽しく食べたのであった。
うん、この風景も悪くないな・・・。 変に意識さえしなければ良いんじゃないか? と自問自答する俺だった。
ちなみに夕食の後、アリーシアさんは姉妹を連れて3人で風呂場に行き、彼女らの人生初の風呂の入り方の指南をしたらしい。
湯上がりにホカホカと湯気を立てながら蕩ける様な表情の姉妹はこの世の楽園はここでした!と表情で訴えて居た。
幸せそうで何よりである。
って、俺の事をチョロい奴とかは思わないで欲しい・・・。
翌朝の7つの鐘の前に発つ事を全員に伝え、新居の部屋で風呂に入った後眠りに着くのであった。
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