第34話 王都へ その3

GW終了直前なので、何時もの日替わり時間の0時投稿よりやや早めに投稿予約しました。GW増量投稿期間最後の第35話は通常通り0時に投稿予約となっております。

宜しくお願い致しますm(__)m

------------------------------------------------------------------------------------------------途中立ち寄った何箇所かの街では宿に宿泊し、温かい食事と警戒不要で熟睡出来る安全な寝床で本来であれば、笑顔が漏れる筈の彼ら・・・ラルゴさんもマッシモの夜明けの全員も非常にテンションが低いのである。


理由は簡単で、おれの出す飯の虜になったらしい彼らが、宿の飯が美味しく感じ無いと言う簡単な理由なのだが。


そんな彼らの様子を見て、アリーシアさんだけは、余裕を見せてクスクスと笑いながら、「やはり、そうなりますよね? フフフ、新たな信者が増えましたね・・・。」と何か俺が仕組んだ様な不穏な発言を呟いている。


流石に、ロック・バードの唐揚げも竜田揚げも、この4日間の行程で既に食い尽くされてしまって、肉巻きおにぎりは既に無く、毎回ご飯を石鍋で炊いて食べて居るじょうたいだ。


ただ、積極的に脱穀等を手伝ってくれる事は助かるのだが、既に食材・・・特に野菜類が尽き掛けているのだ。

俺がそれを告げた時の全員の絶望に満ちた表情と言ったら、本当に凄かった。この世の終わり(まあ終末世界を体験した?俺の台詞じゃないが)かよ?って突っ込みたくなる程であった。


いや、まあ気に入ってくれたのは和食普及に向けては良い傾向なんだろうけどな・・・。


兎に角、トージ様とアリーシア様は、この街で1泊でなくて、2泊しますから、その間に食材を買い出して下さい!お金はお支払い致しますので!! 本当にお願い致しますよ!!!」と切羽詰まった様にラルゴさんに懇願されたのだった。


「おかしいなぁ~。俺って、商団の護衛で来て居たはずなんだけどなぁ~。」とボソッとボヤく俺。


どうやら、ラルゴさん、マッシモの街に戻ったら、マジで俺のレシピをふんだんに使った定食屋さん?レストラン?を開くつもりらしい。

「どうせなら、王都でも同時にオープンさせても良いですね!」等と熱く夢を語っていたが、問題は沢山あるのである。


「ラルゴさん、そこまでやるなら、マイマイの増産を先に確保して置かないと!それに、ソイとソイペーストも増産しないとダメだし。ソイの原料になる豆、多分大豆?も増産しないと駄目だから、年単位のプロジェクトになりますよ。今の状態で始めると、品切れで暴動起きますよ!」と俺が忠告すると、ハッとした表情で、「確かに!それはそうでした!!」と


「そうなると、私達だけでなく、領主様の助力も必要かと。」と言う俺の意見にフムフムと深く頷いていた。


翌日、俺とアリーシアさんはラルゴさん達にせっつかれる様に、市場へと向かった。


「何かさ、俺の仕事がいつの間にかジョブチェンジしてるのだが? まあ、市場に行く事に全く不満は無い。」とボヤキながら宿のスタッフに聞いた市場に向かうと、


マッシモの市場では見た事の無い野菜等を発見する。

まあ正式名称は違うのだが、見た目と試食させて貰った結果胡瓜、大葱、人参や芋類、ピーマン、ニンニク、白菜、牛蒡等を新たに発見してウホウホと喜んで買い占める俺。

更に、やっと見つけた美味しいトマト。ちゃんと赤い色で良かったよ。これが真っ青だったりすると、幾ら味がトマトでも躊躇すると思うし。

勿論、トマトもゴッソリと、購入させて貰ったさ!


ここ、ゴッサリムの街は農業の盛んな領地らしく、兎に角豊富な種類の野菜が揃って居る。最高の市場であった。


それに、何と、ミルクを取り扱って居る店も発見し、樽に入ったミルクを丸々大人買いさせて貰った。


ちなみに、酪農と言うのか、カウカウと言う牛っぽい魔物のミルクだそうで、試飲してみるととまんま濃い牛乳だった。


「美味い!!」と口の上に白い髭を生やしながら思わず呟くおれの言葉に、「そうでしょう!家のミルクは格別なのです。」と満足そうに頷くオッサンに同意する俺は、


「今日ここで買える分全部買う!! 」と俺が断言すると、「おいおい、ミルク、足早いし、直ぐに駄目になるからな!」と親切に教えてくれるオッサンに、「ああ、知ってるから心配要らない。どうせ直ぐに使い切るから。 また定期的に買いに来るし。今後とも宜しくな!俺はトージと言う。」と自己紹介したのだった。


「トージ、こちらこそ、ジェロームだ。」と名前を押しててくれて、ほぼ在庫全部の樽を売ってくれた。尤も樽の料金も取られたがそこは誤差と言うか、愛嬌だ。


これで美味しい生クリームやバターが取れそうである。

クリームパスタとか、ホワイトシチューや、グラタンとかも美味しいよな・・・。


まあ、今回の旅路で野外でバタバタと作れる範疇外なのだがな。


まあ、そんなこんなで、

「俺、ここに定期的に買い出しに来る!」って断言する程にゴッサリムの街が気に入ったのだった。


「拠点買ってもなぁ~、色々バレると面倒だからなぁ~。まずはマジックバッグを大量に作れる様になってからかな。」と先の計画に思いを馳せるのだった。


一応、ここでもマイマイが売って居るかを調べたら、あるとの事で見せて貰うと品種の違うマイマイで細長いマイマイであった。

一瞬喜んだだけに非常に残念だ。


「あれ、マイマイ購入しないのですか?」と不思議そうにするアリーシアさんに、


「いや、試しに少し買ってみるけど、多分全く味が違うと思うよ。品種自体が違うから、いつものマイマイのご飯みたいな味じゃ無いと思うよ。」と言いながら、不袋1つ分を購入したのだった。


念の為に、そのマイマイを売って居た店の店主に俺の使ってるマイマイの籾を見せて、「これと同じ種類のマイマイは無いの?」と聞いたが首を横に振っていた。


「例え、品種が同じでも、産地が違えば、全く味も変わる事は往々にして在る。同じ農家でも代替わりすると、途端に取れるお米の味が変わるって事も体験したし・・・難しいな。」と俺は理由をアリーシアさんに説明しつつ、宿に戻るのであった。


宿に到着すると、縋る様な目で俺達を出迎える、ラルゴさんさん達。

「ただ今戻りました。一応、野菜類は豊富だったので確保しました。ただ、マイマイ売ってましたけど、多分品種が違うので、一応後で炊いてはみますが、ゴッサリム産のマイマイは駄目だと思います。」と言うとガックリしていた。

「ラルゴさん、やっぱり、領主様に進言して、栽培する面積増やして貰うのが良いと思います。」と俺が言うと


「判りました、どうせ、王都のオークションにも来られる筈なので、その際にでも、謁見の場を設けて頂いて提案してみましょう。」と力強く、頷いていた。


俺の食生活の安定の為にも是非とも頑張って頂きたい!!


今回のオークションの上がりで、ソイ工場作るのに投資するかな。


『女神の英知』で、地球の料理等に関する英知が含まれていればなぁ~。残念だ。

おれの作れる料理や、調味料等はたかが知れている・・・。『女神の英知』に拡張オプション貰えないかなぁ~。だって、地球の文明ほぼ滅んだんだろ? 勿体無いじゃん!


たから、食い物の英知だけは引き継ぎたいのだ。

ただもし日本の食い物関係の英知を引き継いだとしてもそのまま100%再現出来る訳では無い。 だって、日本で使っていたであろう、香料とかの人工化合物やなんかって、どう考えてもここで再現出来る訳じゃないし。

たから例え食い物の英知を引き継いでも、それはある意味沼の始まりかも知れない。


まあ今度駄目元で女神マルーシャ様に交渉してみるか!? 案外許してくれるかも?

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