第14話 2年憧れた街
どうも皆様、お読み頂き、ありがとうございます。
やはり公開初日はドキドキハラハラで、落ち着かないものですね・・・。
今まで全くtwitterの設定して無かったので今更ですが、数年ぶりにtwitterの新規垢を作って設定してみました。
『@blueMonday41011』 です。
垢に丁度良いアイコン欲しいなぁ~とフリーの素材を検索中です。
近況ノートに書かない程度の呟きをする程度だと思いますが・・・
良ければフォローしてみて下さい。m(__)m
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この世界に来て初めて自作以外のちゃんとしたベッドマットの上で寝た訳だが、ベッドマットも布団も、控え目に言って、天国だった。
明日から、小屋のベッドで就寝となると、夜な夜なシクシク泣いてしまうかも知れない。
あれ程夢にまで見た食事がかなり期待倒れだった今、このベッドとの出会いが今回の街への買い出しの最大の功績かも知れない。
「これぞ、人間の寝床だよ。これ欲しいなぁ~。あの原石売れたらきっと買えるよな? てか、盗賊の財宝もあるから、十分だよな? もし足りなかったら、マッド・ディアーを10匹ぐらい狩るか?」と独り言を呟きつつ、
朝のルーティーンを一通り軽く熟し、一旦森の拠点に『ゲート』で移動して、小屋が無事なのを確認した。
そして、小屋に設置してある、貧相な自作ベッドを一瞥してから、昨晩寝た極楽ベッドは何としても買う物リストの最上位に追加する俺。
食事事情は余り期待出来ないが、魔動具化されたトイレには非常に感動した。
いや、俺の所のバイオによる分解も十分にエコで凄いと思うのだけど、メンテナンスの意味でもお尻の為にも、あの魔動具トイレは是非欲しい。
良い物はドシドシ取り入れて、生活を改善して行こう!
飯に関しては、もうちょっと美味しい調理法やレシピの公開で、食文化を進化させるしかないな。
しかし、食文化も、トイレや寝具と同じ文化レベルであれば素晴らしいのに、分野によって、文化レベル差というかレベルのチグハグ感を否めない。
やっぱ過去の手駒先輩の得意分野の差なのか?
さて、今日の予定は、出来れば、商業ギルドから、衛兵詰め所経由冒険者ギルドで、最後は神殿かな。
欲しい物もやりたい事も沢山あるから、忘れ無い内に紙とペンを貰ってリストアップして置かないとな。
買い物もしたいし、市場や色んな店も廻ってみたいけど、それは明日以降かな?
小屋の方で毎朝の鍛錬を手早くおこなって、『ウォッシュ』と『ドライ』でスッキリしてから、一晩過ごした部屋へと戻って来た。
今着ててる昨日ラルゴさんから用意して貰った服、なかなかに良い着心地で、改めて『女神の英知』で物を確認すると、ビックリする程に高級品だった事に気付き、「あちゃーー」と溜息を漏らすのだった。
この服は木綿でも無ければ麻でも絹無く、ケープ・スパイダーと言う魔物の糸を紡いだ超高級品で、王侯貴族の御愛用品である。 『女神の英知』通りならかなりヤバイ奴。相場は良く判らんけど、一千万円と言われても頷ける俺が居る。
てか、これくらいの初期装備と着替えくらい最初に付けて置いてくれても良いんじゃないんかな?『ナンシー』様よぉ~!とか頭の中で小声で叫ぶ俺。
この服のヤバさを簡単に説明すると、まずこんなペラい布生地なのに防刃機能があって、丈夫で破れ難く、汚れ難い。そこらの兵六玉が射った様な矢なら弾くらしい。布なのにビックリだ。
とは言え、布だけなので、打ち身や打撃的な物理攻撃を緩和する効果は無いけどね。
地球で言うなら、ケブラー繊維とかで作った防塵服とかそんな感じかな?
まあ、でも、そんな王侯貴族が着る様な高級品の服だけど、デザインは居たってシンプルで、妙なフリルや金の刺繍とかカボチャの様なデザインでは無い物を選んでくれて良かった。
非常にナイスなチョイス。
ズボンも前と似た様なカーゴパンツっぽいけど、同じ様にケープ・スパイダーの糸の生地で作られていて、膝やお尻の負荷の掛かる所にはブラック・オーガの皮でそれとなく補強されて居る優れ物。
いやぁ~、これも一着二千万円であっても納得っす。 買うかどうかは話は別だけど。もっと安いので良かったのに。
日本に居た時の俺の服なんて、部屋着はスエットパンツにTシャツ。冬は上にフリースやお袋が生前に作ってくれたチャンチャンコだったし。
外出の時は作業着の量販店で買ったカーゴパンツかジーンズだったし。
あ!!!と言う事はこのパンツもか!? もう、勘弁してよ~。タダがパンツ、下着だよ下着!高級素材使うなよぉ~!!
確かに大事な急所だし守るべきだけどさ。
元々3枚組で980円ぐらいの安物しか身に着けてないのに、ある意味、虐めっすよ。根が貧乏症だけに・・・胃が痛くなっちゃうよ?
って、言ってて気付いたけど、そういえば、こっちに来てこの方、ストレスとかで胃が痛くなった事無いわ!
流石は専用ボディってか?
それとも一度死んで精神的な耐性が出来たのかな? 人として図々しくはなりたくないが、図太くはなりたい。
後で、ラルゴさんにそれとなく、ちゃんと請求する様に言っておかないと・・・。
なる程、それで、昨日、アリ-シアさんが恐縮していたのか・・・?
早速メイドさんが朝食の時間と呼びに来てくれたので、夕食と同じに食堂へ行くと既に席に着いて書類に目を通すラルゴさんが居たので、「おはようございます」と朝の挨拶を交わしてアリーシアさんも揃って朝食を開始である。
朝飯は、ホテルのモーニング風って言えば判るかな?ハムっぽい物やマッシュポテトの焼いた物数枚にフルーツを混ぜたソースを掛けた物、それに一見スクランブルエッグっぽいのに食べると全く違う何かで、実は豆料理と言う面白料理。チーズっぽいのもが上に掛かっていて、実に美味しかった。
これは腹持ちも良さそうだ。
付け合わせのスープは塩味がメインで、多少の野菜と豆と小さい肉がういている物にナッツを煎った物を軽く叩いて砕いた物を振り掛けた物で、出汁という概念がないのがちょっと残念と言うか味の深みが無いのが残念ポイントだ。
この二回の食事を経て判ったのは、野菜は生のサラダは無く、ほぼ温野菜である。
何か寄生虫とかの問題を回避する為だろうか?不思議だ。
これは、是非とも先に、紙とペンを買って、メモっておかないと!勿体無い。メニューもだが、使われて居る野菜等の名前も知りたいし。
材料の現物が無いと『女神の英知』で調べようとしてもヒットしないんだよね。なので、聞ける部分は先に聞いた方が早いのだ。
「すみませんが、本日も色々宜しくお願い致します。」とご馳走様の後にお願いしつつ、先に、メモ帳か紙とペンをお願いして、執事さんに用意して貰ったのだった。
「あ!そうだ!!ラルゴさん、この服の代金2人分、ちゃんと請求して精算して下さいね! これ、今朝気付いたら、『ケープ・スパイダー』の超高級品じゃないですか!? 朝からビックリで即座に目が覚めましたよ。」と俺が笑いながら言うと、「いや本当にトージ様、流石の目利きですな。」と悪戯見つかった子供の様な笑いを漏らしていた。
アリ-シアさんはと言うと、俺の『ケープ・スパイダー製』って言葉に激しく反応して顔色を青くしていた。反応からして、高級そうな肌触りで高級品と判断していたが、まさかそれ程高級とまでは思いもしなかったと言う感じかな?
「ああ、アリ-シアさんの分は俺がちゃんと払うのでご安心してね。福利厚生福利厚生!必要経費だから。それとラルゴさん、アリーシアさんは今後俺の助手と言うか秘書的な補助をして貰う事に決まりましたので、宜しくお願い致しますね。」と青ざめたアリーシアさんを宥めつつ、俺の雇ったスタッフだと言う事えを強調しておいた。
尤も、福利厚生や秘書って言葉がこの世界に無い単語だったようで、微妙に噛み合わない一面もあったが、笑って誤魔化しておいた。
貰った紙に、今日の朝食のメニューの名前や昨日の夕飯のメニュー名等を書いて貰って、俺は欲しい物リストを思い付くままにズラズラと書き上げて見直してニマニマとするのであった。
「いや~、トージ様は実に几帳面なお方ですね。実に面白い。」と面白そうに笑いながら俺が書いて貰ってメニュー名の所に注釈を掻き込んで行くのを眺めて居る。
まあ確かに、そうなのかもな・・・。
「俺の故郷には、こんな諺が在りましてね、『聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥』と言う物でして。だからって訳じゃないですが、大抵は聞けば機密とかの誓約なければ、教えてくれますけど、同じ事をまた聞くと2回目以上同じ事を教えてくれるとは限らないので、一回でちゃんと知るべき事を物にする為にメモを取る癖を付ける様に推奨されてるんですよ。」と言うとほぉ~と言って頷いていた。
俺はアリ-シアさんにも紙っとペンを渡して、自分の欲しい物リストやtodoリストを書くように勧めた。
俺は一旦部屋にもどって、リュックに冒険者ギルドに買い取らせて良い魔石や素材をゴッソリと入れて、盗賊の物資の中にあった小袋2つに俺とアリ-シアさん用の買い物に使う現金を小分けにしておいた。
リビングで合流すると、漸く竜車に乗って商業ギルドに向かうのだった。
竜車の中でラルゴさんに「そう言えば、使わせて頂いた部屋のベッドやトイレの魔動具、素晴らしいですね。あれってラルゴさんにお願いすれば購入出来ます? それとも今から向かう商業ギルドで問い合わせするべきですか?」と聞いて見たら、「ああ、気に入って頂けましたか、宜しゅうござい増した。それらは、私共で販売しておりますので、ご注文頂け得れば直ぐにご用意致します。」と頼もしいお言葉だった。
うん、良かった。「取りあえず、同じベッドと布団類の寝具を2セットお願い致しますね。あれは良い物でした。我が家に是非とも欲しいです。」と早速笑顔で注文を入れる。
「とは言え、森の家に置くのは決定としても、こちらの住処と方針を決めないといけないな・・・。」と最高のベッドを手に入れられそうでホクホク顔の俺。
すると、若干曇った顔で慌てて言葉を挟むラルゴさん。
「あ、トージ様、ベッド一式ですが、とても大物ですので、流石にあの『魔の森』の中までは我々では運び込む事が難しゅうございまして・・・この街か近隣の街や村なら運搬までお請けできるのですが・・・。」と言葉を濁した。
「ああ、ご安心下さい。運搬は自分でやりますので、現物を頂ければ、それで完了ですよ。俺の方で運びますのでご心配なく。」と俺が説明すると、キョトンと首を傾いでいた。
「あーっと、後で諸々の事もあるので、秘密厳守して頂けるのなら、お話しさせて頂きますので、今は注文だけ気に留めて置いて忘れないで頂ければと。」と捕捉して誤魔化した。
夕暮れ時の昨日とは違って、明るい日のしたで見る街は・・・結構ゴミが多い。いや中世のヨーロッパに居た訳じゃ無いので比べようは無いけど、糞尿じゃなくて、食いカスとか飲食店の生ゴミとかそう言う類いだな。
まさか態とスラム街とか通ってる感じでも無さそうだし、周囲の店等の雰囲気からして、一番栄えてるメイン・ストリートって所の様だ。
夢の異世界と思って来たら夢の島だったとか、笑えないジョークである。
街の建物自体は悪く無いのに、実に残念だな。鼠とか大量発生したりしそうだよ・・・。俺が竜車の窓から流れる外の景色を眺めて顔を顰めて居たのを見たラルゴさんが、「如何されましたか?」と尋ねて来た。
「いや、折角、建物自体も街のコンセプト自体も良いのに、ゴミの処理が悪くて控え目に言って残念だなと。」と俺が感想を述べると、そう言う感想は初めてらしく、驚いて居た。
「こんなに生ゴミ放置してると虫とか鼠とか湧きません?夏は匂いも酷そう。下手したら、このゴミの不衛生が元で流行病とか蔓延しそうですね。俺の故郷の別の国で不衛生で、生ドミとかで虫が湧いたり、鼠、ラットと言えば判りますかね?あれが大量に
発生して、そのラットが人々に病気をうつして廻って、人口が激減して滅びかけた?国があったらしいですよ。注意して下さいね。怖い怖い。」と言うとハッとした顔をして、驚いていた。
「その国は滅亡は免れたんですか?」と少し青い顔をしたラルゴさんが聞いて来た。
「ええ、確か数百年以上前の話ではあったと思うけど、今でも教訓として残ってる有名な話で、予防の意味でも衛生的な生活が大事って話なので。一応国は残って、ますが、街の中が汚い国は治安が悪く、民度が低いってよく言われますね。そう言うのこそ、領主様や国が号令掛けてやるべきなんですよね。人口は国力でもありますし。」と俺が説明すると、
「ではゴミを減らして綺麗な街にするにはどうしたら良いと思われますか?」と聞くので、「現状この街で各自の出したゴミをどのように処分しているのか知らないのでルールは判ってませんけど、まあ私はあくまで専門外で詳しくは無いですが、まずは、公共のゴミ箱を設置し、地面に捨てるのを完全に禁止し、飲食店も個人宅も外にゴミ箱を置いて、決まった日に公共サービスとしてゴミの回収をして、生ゴミから堆肥・・・つまり農業で使う肥料を作って、農家に売るか、配るかします。そうすると、美味しい食物が育つので『一石二鳥』ですね。 後は、焼却処分で、灰は使えるなら使うけど、穴掘を埋めるかな?
ラットが異常繁殖するのは、天敵居らずに餌が豊富なのが原因。餌を無くせば数は減りますから。
後はラットの罠を仕掛けて、ドンドン減らすとか。兎に角、ゴミに対する庶民への教育と意識を徹底して、ちゃんと方で取り締まらないと・・・。」と説明すると、ラルゴさんは頷きながら、後でお手数ですが再度聞かせて下さいと言っていた。
「そうだ、ついでなので、付け加えると、ラットだけでなく、虫が媒介になって移して廻る病気もあるんですよ。眠り続ける病気とか熱を出して亡くなる病気とか。まあ、この国にそんな病気が存在するかは不明ですが、当時、本当の原因が判らない頃は、神の祟りだの、何かの呪いだの、全然違う事で混乱起きた様ですね。変な者に騙されない正しい知識を得るって大事ですよね・・・。
で、最後に1つ病気や健康面だけでは無い、重要な治安に影響する重大な事も在ります。
私の故郷の方で実際に立証された『落書き理論』と言う物がありまして。何故これらの路上のゴミをこのままにしておくべきじゃないか、と言うのには、健康面や衛生面だけの影響に留まらないんですよ。
『落書き』は、街の建物の壁や塀に子供等が絵や文字等好き勝手に描いてしまった物や行為を指して居ます。例えば、この街の城壁に簡単に消えない様な物で落書きをしたとします。これだけでも重罪だと思うのですが、1つの落書きが消されずに残って居ると、必ず2つ目の落書きが増えます。そしてそれは続くんです。誰もが心のタガが外れこれ位平気だって思い始めるです。つまり、法を破っても平気と思い込むんです。1つの落書きは発端で人々の法遵守の精神は薄れ、次第に荒んで行き、犯罪の多い街になってしまうと言う研究結果があるんです。似てませんか?あのゴミの散らかったこの街の顔でもあるメインストリートの様子と。」と締め括った。
息を飲むラルゴさん。
「ど、どうすれば?」と聞くので、「落書きは直ぐに消し、落書きをした者を厳重に罰し、割に合わない法を敬い遵守させるんです。ゴミはちゃんとしたルールを決めてルールに則って行政が責任持って回収し、税金やゴミ収集費用を店や住民から取るんです。そうすれば、夏に臭い腐敗臭も漂わず、虫もラットも繁殖しないし綺麗で衛生的な住民の自慢の街になります。」と解決策を披露した。
まあ、後に、これらの俺の発言が元で、割と大事に発展して行くとはこの時思いもしなかったのだった・・・。
何で俺がこんな事を熱く語ったかって?
そりゃ、簡単、手駒としての使命もあるけど、なによりも、臭くて不衛生な所やヤバイ地域に高い金払ってまで住みたくないじゃん?
実際かなり幻滅してしまって、ガックリしちゃったんだもん。 2年間だよ、2年!! ここに買い出し来る事を、美味しい食事を夢に見てここまで来たら、ゴミ屋敷?ゴミ街状態だったら愕然とするよね?
それだったら、いっその事街の外に自分で開拓して街作った方が何倍もマシと言う物だ・・・。
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