第13話 これがこの世界の高級飯!
そんな話やこの国の最新情報等当たり障りのない事を聞いていると、扉が開き、執事?ウェイター?っぽい男性と多くのメイドが静かに入室し、それぞれの席の前に皿を置いて行った。
おーー!思わず感動だよ。この世界に来て、約2年、毎日怪しげな俺の手料理食ってたけど、やっと初めてこの世界のマトモな料理に有り付けるんだから。
っと、コース料理?
「あ、すみませんラルゴさん。俺、食事のマナーとか知らないので、もしかするとご無礼をしてしまうかも知れません、出来れば厭な思いをさせてしまう前に、ご指摘頂ければ改善致しますので、ご教授お願い致します。」と先に予防線を張っておいた。
もう、一応ぶっきらぼう粗暴冒険者風のキャラ喋りを演じていたのも忘れてしまって、素で喋ってしまったのに、少ししてから気付いたけど、もう良いか・・・とそのまま気お族する事にした。
「ああ、どうぞ、ご心配無く、本日は我々だけの場ですし、食べ方は見よう見まねで適当でも特に当家では問題ございませんので。何か思い付いたら、後学の為にご指摘させて頂きますので。」と。
まずはスープの入った深皿と、温野菜の入った皿が置かれて居る。
カトラリーはスプーン、フォーク、ナイフだ置かれているが、フランス料理の様に外側のセットを使うのとは違うみたいだ。
目の前にはアリ-シアさんがあシャキッと背筋を伸ばして美しく座って居るが、俺を見てニコッと微笑みながら、スプーンを手に取って俺に見える様に持ち上げてから、スープを掬って口に運んだ。
どうやら、カチャカチャ音を鳴らさずに啜らずに飲めば良い様である。
俺は手を合わせていただきます。を唱えて、同じ様にスープを口に運んだ。
「!!!! 美味しい。これはカボチャのポタージュか?ほほう、この浮いているのはクルトンではなくて木の実を煎った物か。うん、良い香りが付いていてホッとする味だ!素晴らしい。」と久しぶりのまともな料理に思わず饒舌に語ってしまって、恥ずかしくなってしまう俺。
「申し訳無い。余りにも美味しかった物で・・・。」とラルゴさんの方を向いて謝罪すると、何か生温かい目で優しく微笑んでいた。同じくアリ-シアさんも・・・。
「大丈夫ですよ、料理人も喜びます。」と言って居た。尤も後で教えてくれたのだが、カボチャではなく、ボドンと言うこの世界の野菜らしい。恥掻いたよーーー。
温野菜には、横に置いてあるソースをお好みに応じて掛けて食べる様で、アリ-シアさんやラルゴさんの食べ方に倣って、少し掛けて、味を見ながら食べる事に。
フォークと言って良いのか2本しか爪が無いフォクを使って温野菜の芋っぽい物を刺して口に運ぶと、うん、スープ程の感動は無い物の、掛けたソースから、数種類のスパイスの粒が口の中で混ざって美味しい。なる程どっちかと言うと後味重視なのか? 面白いな。
次に運ばれたのは、薄いパンケーキではなく、タコスっぽい皮と、肉とキャベツっぽい野菜の千切り。ああ、これ、完全にタコスと同じ食べ方っぽいんね。肉とキャベツっぽい千切りにピリ辛のソースを掛けて包んで食べるみたい。
タコスは何度か食った事あるので、OKだが、やっぱり、これって、誰かが持ち込んだ料理?
「これは何と言う料理なのですか?」と聞くと、
「これは異国から入って来て広まった料理で『タコス』と言う料理だそうです。」と言っていた。うん、そうか。そりゃあ、俺と同じ様な手駒が今まで複数人来て居れば、自分の好きな料理作るよな。
って事はもしかして、和食も探せばあるのか?米や醤油や味噌とか。ちょっとワクワクするな。ちょっと期待しちゃうぞ!
日本の食事って、コンビニ飯でさえ本当に美味しかったよな・・・もうあれが二度と食えないとは悲し過ぎる。せめて、この世界に米と醤油がある事を祈りたい。
考え事をしながら頂いている内に二品が終わってしまった。 恐らく高級料理ばかりを出してくれているのだろうけど、日本での食事を知る俺には大きな感動は無く、どれも何か一味足りない気がする物ばかりだった。
折角助けて貰った感謝で高級な食事を出してくれているラルゴさんに非常に申し訳なく感じる。
その証拠と言う訳では無いが、目の前で食べるアリ-シアさんは、本当に美味しそうに喜んで食べて居るのだ。
次がどうやらメインディッシュらしい。置いてあるナイフが物語って居る様に単に肉を焼いたステーキが出て来た。付け合わせにパンっぽい物が置かれてそのパンに何かを塗って食べてる。おっと、これはバターの様だ。
ほう、『女神の英知』によると、これは、マーダラカウ(通称魔牛)という魔物系の牛のミルクから作ったバターと言う認識で合っているみたいだ。 つまり、ミルクもチーズもクリームも作られると言う事だろう。
つまり、この先チーズやミルクを使った料理、ピザやグラタンとかも期待出来ると言う事だ。
肉はオークの肉で美味く下味がつけられて、臭みもなくて、非常に柔らかく、ナイフで小さくしなくても行けそうな程に食べ易い。
付け合わせで一緒に盛られている焼き野菜は、これは玉葱だろう。マッシュポテトに人参もある。
そうか、人参と玉葱あるのか! 料理の幅が広がるな!
俺は嬉しくなって、最後のメインディッシュをジックリ味わいながら食べて行く。
しかし、非常に残念なのは、このカトラリーの二股フォークだ。何で3本爪にしないかな? 食い辛くてしょうがない。本当に意味がわからん。何か理由があるんだろうか?
使用する金属を減らしたかった? いや、それは無いな・・・。
最後にデザートお茶でも出るか?とおもったが、特にそれ以上のメニューは無くて、こっに来てから運動量も消費魔力も増えた事で燃費の悪くなった俺には正直少々物足りなかった。
しかし、色々と得る物の多い食事だった。
「ご馳走様でした。」とお礼を言った後、
俺は思い切って、フォークの事を聞いてみた。
何故、四股とか最低でも三股じゃないのか?と。
「ほう?なる程、理由ですか?特には聞いてないですね。昔からこれが普通でしたので。」と特に意味は無いと言うご返事。
「こう言うカトラリー等って規格がある訳では無いのですね? もし可能なら、四股のフォークを特注で作って頂きたいですね。絶対に食べ易い筈なので。」と俺が強く推すと暫し考えて、
「型を興しての鋳造になると思うので、少々高くなりますが可能ですな。」と言う。
「では、私がその製造コストをお支払い致しますので、試して良ければ売り出しませんか? 一回使うと、バカ売れしますよ!」と俺が自信満々に言うと、「判りました、乗りましょう!」と頷いてくれたのだった。
こっちの人って、何を主食にしてるんだろうな? 金持ちでこの程度なら、貧乏人や一般庶民は推して知るべしだし。
困ったな。腹が減ったよ。後で部屋に戻ったら、『時空間庫』から作り置きの保存食を出して食べよう。
まさか、街に来て保存食を食う羽目になるとはな・・・。
食後に部屋に戻る際、アリ-シアさんを連れて戻って、『時空間庫』から作り置きの保存食を出して、俺のt食った保存食を食べて貰った。
「トージ様、何ですか、これ凄く美味しいです。お肉ですよね。ピリリとして・・・まさか胡椒でしょうか?」と嬉し気に食べるアリ-シアさん。
「良かった、そうだね。それは黒胡椒を砕いた物を掛けて、燻製にしたオーク肉だね。俺が森で作った分だね。他にもベーコンとか、もあるけど。」と軽く説明する俺。
どうやら、この世界でも『スパイス』は全般的に高級品らしい。
やはり、俺の予想通り、アリ-シアさんにとって、今日の晩餐は食べた事も無いレベルの高級料理で非常に美味しかったらしい。
庶民の主食を聞くと、少し処では無く悲しくなってしまった。
ジャガイモではないが、メインディッシュに付いて来たマッシュポテト焼きと薄い肉を挟んだ物とスープが大抵の日々の食事とか。パンはあるが、今日の夕食の様な白いパンでなくて、もっとゴワゴワしたパンらしい。
大変だなーー。ちょっと、この世界の食事に対する夢と言うか楽しみが激減してしまった気がする俺だった。
「そうか。と言う事は食事文化の進歩も有りなのか?」と一人で納得し。
この世界のトイレを初体験する為にメイドの女の子から男性スタッフを呼んで貰って、その使い方を教えて貰って、この世界のトイレ事情に唸るのであった。
木の枝歯ブラシで歯磨きをして、日課の魔力枯渇を行ってからベッドに横になるのであった。
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