第12話 異世界の光熱費と貨幣価値
食堂に通されて、映画で見る様な長いテーブルの指定された場所に腰掛けると、早速主人席?に座った上機嫌のラルゴさんが声を掛けて来た。
「トージ様、アリ-シア様、我が家の風呂は如何でしたか?」と自慢風呂を褒めて欲しそうなラルゴさんがウズウズとして居る。
「どうも、お陰様で、木の香りがとても心地よい湯船でした。あれは、『カナバブ』の木ですね?」と指摘すると、目を輝かせて「流石はトージ様ご慧眼感服致します。」と言いながらホッホッホッホホと楽し気に笑い声を揚げていた。
何が流石なのかは、サッパリだが、単に『女神の英知』で調べたら、ヒットしただけの話だ。
しかし、あのお湯の出る道具は良かった。まあ、自前の魔法でも良いのだが、次の目標の1つである錬金や魔動具についての情報もちょっと聞いてみたいのだ。
現状俺の知識の情報源は『女神の英知』だけなのだが、現在の世情より古い情報だったり、現代の方が発展していたりするので、出来る限り情報源は増やしたいと思っているのだ。
「あの蛇口からお湯の出る魔動具ですか? あれは素晴らしいですね。動力源はやはり、魔石でしょうか?」と聞くと、
「どうも、お褒め頂き恐縮です。ええ、魔動具ですね。動力源は魔石なので、それもあって、なかなか庶民には敷居が高いのですよ。魔動具自体も高いですが、魔石も高いですからね。」とラルゴさんが呟く。
「なる程・・・すみません、不躾な事を聞くようで申し訳無いのですが、此方に来たばかりで、魔石の価格等の常識的な知識が殆どないもので。ピンキリだと思いますが、魔石ってお幾らぐらいするのでしょうか?それで、あのお湯の出る魔動具がどれ位使えるのか?後学の為に宜しければ教えて頂けると助かるのですけど。」と俺が言うと。
「ああ、そうでしたね。今家の風呂のあの魔動具は大体オークとかのCランクの魔石を使ってまして、 おーい、誰か、Cランクの魔石を1つここに!」とメイドさんに言って魔石を持って来させて見せてくれた。
うん、見覚え在るオークの魔石だな。ちなみに、俺は唸る程に持っている。放っておくと増えるんだよ、オークとかゴブリンって。だから、増えすぎて手が付けられなくなる前に叩き潰すのが得策なのだ。 特にゴブリンは臭いから周囲が臭くなる前に潰す。
オークは美味しいからホクホクしながら潰してる。ちょっと目離すとアッと言う間に100匹ぐらいの集落になるからね。
最初こそ、人型って事で忌避感あったけど、オークが美味いってのは異世界の定番なんで、解体して、焼いて塩で食ったら、その美味さにぶっ飛んだんだよね。
今のこの俺の身体の1/10はオークの肉のお陰って言っても過言ではないぐらいには食ってる。
だから、オークのCランク魔石の1000個や2000個は確実に持ってると思う。
そして、見せられたオークの魔石に頷きながらワクワクしながら、脳内でドラムロールの効果音流して答えを待つと、
「こちらが、オークのCランク魔石ですが、大体その時々で変動はありますが、この魔石で末端での購入価格が銀貨1枚。冒険者がギルドに卸す時の買い取り価格が大銅貨5枚って所ですね。ザックリですが、この魔石1つで、あの魔動具が毎日使ったとして大体1ヵ月程保つ感じですね。」と説明してくれた。
「ほほう、銀貨1枚、つまりギルドが手数料5割ですか、なかなかにエグい。まあ、でも組織としたらそれぐらいでも普通か。まあ、他の素材の売り上げや何かもあるから、ギリ黒字ぐらいか?暴利って程じゃないか。
しかし、毎日使って1ヵ月なら御の字か。」と俺が率直な感想を述べる。多分、この短い間で得た情報から想像するに、貨幣価値は黒曜貨の一億円をトップに銅貨の百円って感じだと思う。
そう考えると、月のガス代一万円か、若干高く感じるが大家族なら、そんな物かな・・・。
黒曜貨・・・・一億円
白金貨・・・一千万円
大金貨・・・・百万円
金貨・・・・・十万円
銀貨・・・・・一万円
大銅貨・・・・一千円
銅貨・・・・・・百円
お金の単位はGと書いてギリーと呼ぶ、つまり円をギリーに置き換えた様な貨幣価値との認識でそこまで大きく感覚のズレは無いかと思う。
「なる程、ついでにもう一つ教えて頂いて宜しいでしょうか? 例えば、もしこの街で私が家を持ちたいと思った場合、十分な金額を用意出来たとして購入したり出来るのでしょうか?」と聞いてみた。
「家の購入ですか。家はこの街に住民と禄をしているか、または冒険者ギルドか商業ギルドに登録して居るなら購入可能です。住民税はギルドの口座からの引落になります。なので、トージ様がどちらかのギルドに登録されれば問題無く購入可能かと。商業ギルドの場合、既存会員1名以上の推薦があるとよりスムーズに登録出来ますので、是非とも私めにご推薦させて下さい。どうせ、場内の物件は商業ギルドの管轄になりますので、冒険者ギルドでも出来なくは無いですが、両方登録するにしてもトージ様の場合、商業ギルドへの登録はオークションの件もありますので是非ともお薦め致します。」と嬉し気に早口で告げて来た。
商業ギルドのギルドカードの取引額というか預金額によってランク分けされるので、今回高額取引が既に確定している事もあって、商業ギルドの登録をしないと言う選択子はあり得ないらしい。
「なる程。詳しく説明して頂き、ありがとうございました。一応、明日、まずは商業ギルドに登録して、その後冒険者ギルドにも登録しようかと思います。お手数ですが、是非ともご推薦の方、宜しくお願い致します。」と言って頭を下げてお願いして置いた。
やっぱ、何も知らない所で、ナニワ商人っぽいのとか出て来てワイワイ言われたら押し切られそうだからな。これは非常に心強い申し出だ。
どうせ、アリ-シアさんも、親父さんのギルドカードの件もあるだろうし、丁度良いよな。
明日は商業ギルドに冒険者ギルド、それに賞金を貰いに衛兵の詰め所にも行かないといけないし、出来れば、神殿にも顔を出したいし、街の中も散策したいし大忙しだな・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます