第7話 定番イベント
とか暢気に考えていたら、見事にお約束を引いてしまった様だ。当たりなのかハズレなのか悩ましいところだ。
どっかの綺麗なお姫様が乗っている様な白亜の煌びやかな竜車には全く見えないが、行商とかに使われそうな幌の付いた竜車が疾走して居るのが視界に入った。あの感じだと良くても商人とかかな?
ほら、言わんこっちゃない・・・めの前進路塞がれとるがな!
遙か前方で倒木で街道が塞がれており、15人程の男が街道に踊り出て、来て剣を構えていたりする。
えーー、ファーストコンタクトが盗賊撃退イベントなの? 初っ端からハードモードだなぁ~。と異世界ファーストコンタクトあるあるイベントに思わずボヤいてしまう。
今回、この買い出しに際して自分なりに心に決めていたのは、日本人的な平和ボケで躊躇って、自分や他人の命を危険に晒さない事である。
『命大事に』ではあるが、悪党や敵の命なんかはどうでも良い・・・。
もう理不尽な暴力で蒸し焼きも大事な誰かを失うのも御免蒙りたいのだ。
無理に命を取る必要は無いけど、危険を冒してまでも悪党の命を残そうとは考え無い。どうせ逃げればその分犠牲者が増えるだけだ。俺の両親がそうであった様に・・・。
どうせ、こんな奴らに更生なんか期待しても無駄だろうし・・・。
とは言え、盗賊かを最初に確かめてからの攻撃じゃないと、殺戮者だよな。と自分に言い聞かせて急激な減速を開始する俺。
馬車?竜車は完全に止まり、護衛の者と思わしき私兵?数人が剣を抜いて威嚇し合っている。
御者席に座るおっちゃんは見るからに同様していて、固まって居る。
「おらー、命惜しけりゃ全部寄越せや!命大事にしなきゃな!ギャハハハ!」とバカ笑いしている盗賊。そして威嚇だけでは収まらずについに戦端が弾けた。
手慣れた盗賊共はスリーマンセルで、護衛に襲い掛かり見事な連携で、一方的に護衛の戦力を削いで行く。
多勢に無勢で、護衛側の負傷者が増え戦力が減って行く・・・もう立っているのは、護衛のリーダーともう1人だけである。。
竜車側の誰しもが負けと死を覚悟し、もう駄目だと目を瞑りそうになったタイミングに、竜車の後方上空から少年っぽさを残した様な問い掛ける大声が聞こえて来た。
「おーい、助け要るか?」と何とも気の抜けた問いだ。
「盗賊だ! 助力を頼む!」と護衛の中ので先頭に立っているリーダー格の者が短く叫ぶ。
そうか、一応確認はとれた、盗賊、なら良いか。と俺は自分自身に言い聞かせて空中で準備を始めた。
「判った。最悪、彼奴ら殺しちゃっても構わんのだろ?」と一応聞いて、「ああ!構わん。」と言う言う答えを聞いた瞬間に着地体制を取りつつ、俺は魔弾で、盗賊15人の肩をスパパンと狙い撃つ。
バタバタと悲鳴を上げて倒れる15人。
いきなり優勢だった筈の盗賊達がある者は倒れ、ある者は叫びながらのたうち廻り飛び散る鮮血とギャーギャーと言う呻き声。
「え?」と言いながら。突然の逆転劇にポカンとしてしまう護衛隊の者達・・・。
そして1分もせずに、圧勝で幕を閉じたのだった。
俺はというと竜車の後方に着地して、緊急事態と言う事でハードランディングした影響でブーツの破損がないかを気にしつつ、屈伸をして、竜車の後方から小走りに駆け寄ってその場で呆然とする護衛隊や竜車の御者を務めるこの中で一番偉そうな雰囲気の男性一瞥し、「おーい、大丈夫か?」と声をかけた。
俺の問いに真っ先に反応したのはさっき返事をした一番強そうな気配のリーダー格の男で、俺の格好に一瞬ギョッとしつつも「ああ、助力助かった、俺はケネスと言う。このパーティー『マッシモの夜明け』のリーダーやっている。」
「そうか、俺はトージと言う。ところで、トドメ刺さないのか?」と言いながら、地面で五月蠅く呻きながらのたうち廻って居る盗賊達に視線を流す。
敢えて殺傷したい訳じゃないし夕刻までに街に着きたいので、丸投げしたいのである・・・。
「ああ、街まで連れて行けば犯罪奴隷として売った分の賞金が出るぞ。首だけだと賞金首ならその金が出るな。」と助言をくれた。
「俺達が倒した訳じゃないから、トージの好きな様にしてくれ。」と俺に権利があるからと全く動く気配の無いケネスさん。
「ウーン・・・面倒だな。ここから、あの先にある街までどれ位の時間掛かるんだ? 俺森から出て来て初めてで何も知らなくてな。金になるのは無一文なんでありがたいが、出来れば今日中にあの街まで行きたいから、面倒なのは勘弁なんだよな・・・。」と俺が言うと。
「た、助けてくれ。命だけは助けて。」と俺が面倒だから
「うっせーわ!!おめーらなんか足手纏いを連れてあの街まで行くなんざ・・・今日中に辿り着かなかったらどうするんだよ?」と俺が恫喝すると、「いや、ここからなら、マッシモまで2時間!徒歩で2時間だから!お、俺らも頑張っから、旦那!頼むよ!一緒に頑張ってみようぜ! 諦めたらそこで勝負は終わりだべ!
ヤルだけヤってみようぜ!」
と必死で生きて衛兵に引き渡す様に訴える盗賊。
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