間奏:穂積砂雪と主への誓い

おまけ1:ノブレスフルールって?

咲乃「ノブレスフルールは、私達が通っている法霖学院の高等部三回生の中で、最も優秀な乙女に贈られる名誉ある称号です」

咲乃「学年に一人だけ。私の姉も・・・かつてその称号を持って法霖を卒業していきました」

咲乃「私と砂雪さんは、その称号を目指してお互いに研鑽を重ねて、三回生へなりました」

咲乃「私は正直、ノブレスフルールに興味はありませんでした」

咲乃「でも、今は、今の私が砂雪さんがいて初めて成り立つ存在だと、彼や周囲に証明したくて、ノブレスフルールを目指しています」

咲乃「その道程は険しいものですが・・・諦めません」


おまけ2:砂雪と雅日

砂雪「俺と雅日はきちんとした兄妹だ」

雅日「うちの両親が借金四千万を半分ずつ私達に押し付けて、どこかに行っちゃって・・・」

砂雪「俺は借金を帳消しにしてもらうことを条件に、お嬢の使用人として三年間のバイトを」

雅日「私は瀬羽家が借金を帳消しにする代わりに養女として、瀬羽の人間になったの」

砂雪「もう一緒に暮らすことは難しそうだけど・・・」

雅日「これからもお兄ちゃんは私の自慢のお兄ちゃんだよ。お兄ちゃん!」

砂雪「そう言ってくれるのは本当に嬉しいよ。ありがとうな、雅日。お兄ちゃんも雅日はこれからも大事な妹だ」


おまけ3:砂雪の夢

「おかえりなさい、砂雪さん」

「ただいま、咲乃」

法霖を卒業した後、俺達は一般人として生活していた

まさかお嬢が俺を選んで、一緒に一般人として暮らしてくれるなんて・・・

告白してみるもんだなぁ・・・無理かと思ったら両思いだったし!

「今日のご飯は自信作なんですよ。鮭の塩焼きです!」

「そうかそうか。鮭か。高級品じゃね?」

「普通ぐらいですよ。でも、今日はちょっと奮発しちゃったかもしれません」

「へえ、どんなところを?」

スーツを脱ぎつつ、どこを奮発したのか聞いてみる

見る限り、その食卓は普通のものだったから

「鮭を三切れ買いました!たまには贅沢しても怒られないと思うのですが、砂雪さんはどう思いますか?」

「いいと思うよ。けど、なんで俺の皿に二切れなの?」

「いつもお仕事を頑張っていますから」

「咲乃だって大学で勉強頑張ってんじゃん」

「それはそれです」

「じゃあ半分こしよう。二人共頑張っているんだ。同じ量を食べる権利がある」

「・・・では、ありがたく。お酒はどうしますか?今日、大家さんから一本頂きまして・・・明日はお休みですし、どうですか?」

「それは滅茶苦茶贅沢じゃん。いらないよ」

「もう飲めるお年なんですから、たまにはどこまで飲めるか確かめてみては?外で醜態を晒したくはないでしょう?」

二十歳でタバコもお酒も嗜めるようになったけど、昔からの貧乏根性が影響して、その二つに対し、見るだけで拒否反応が出ていると言ったら、咲乃はびっくりしそうだ

だからここは・・・

「職場の先輩に少し試させて貰ったんだけど、両方苦手みたい」

「そうですか」

「貰った缶ビールは料理にでも使いなよ。なんかあるんでしょ?ビールを使ったお肉料理とか俺、食べてみたいな」

「わかりました。今度レシピを調べておきますね」

「ああ。楽しみにしているよ」

夕飯を食べて、お風呂に入って、明日の準備を済ませて眠りにつく

その前に少しだけ話をする

今日あったことを、互いに話して報告するのだ

「砂雪さん」

「なあに?」

「明日、駅前でおしゃけさんリバイバル限定ショップが開催されるそうです」

「えっ・・・」

「長蛇の列が出来るでしょう。並びましょうね」

「・・・ワカリマシタ」

「久々のお出かけです。デート、楽しみましょうね」

「ああ。三依も来るかな」

「もしかしたら主催者として来てくれるかもしれませんね。雅日さんも一緒だといいですね」

「ああ。今も仲良くしてくれていたらいいんだが・・・」

「大丈夫ですよ。二人共仲良しさんじゃないですか」

「そうだな」

「・・・私達も、仲良しさんですよね?」

「ああ。そうだ。仲良しさんだよ。咲乃」

「・・・もっと、仲良しさんになりたいのですが」

「お誘いですかい?」

「・・・ダメですか?はしたないですか?」

「明日はおしゃけさんの日でしょ?また明日の夜にね」

「・・・いい一日になるように、準備しますね」

やだうちのお嬢超可愛い。今すぐ抱きしめたい

そんな欲求は明日にでも叶えればいい

そう思いつつ、俺は目を閉じて眠りにつき・・・

・・・現実へと、つながっていく


・・・・・


主人公に過酷な過去を背負わせるのが大好きなんですけど、砂雪(ネグレクトワーカーホリック)は夏彦さん(虐待児)に続いて酷いトップクラスに酷い主人公だと個人的に思っています。

この同系統に花宮朝日と野坂陽輝が座っているのですが、朝日は花宮朝日編、陽輝は神楽坂小陽編で触れているのでこちらもよろしくお願いします。


さて、そんな砂雪さんですが・・・本編は「NoblesseFleur」

サブタイトルが長い本作ですが、裏を返せばサブタイを変えれば誰でも主役になれる

そんな物語です

ノブレスフルールという唯一無二の称号は、その学年に一人しか与えられません

それを求めて何人もの生徒が互いに高め合い、蹴落とし合いを続けています

そのため、本作は「三年間」を描く必要があり、かなり長い物語になるのが確定しています

頑張って書きたい


さて、そんなノブレスフルールという称号はそれぞれの学年で「意味」を変えています

岩滝高嶺達90期生にとってそれは「高嶺にふさわしい冠」

桃原玖瑠実達91期生にとってそれは「勝者にふさわしい冠」

そして咲乃たち92期生にとっては「貴方に誇る為の冠」

高嶺は絶対的な王者として君臨し、90期生を率いて卒業していくはずです

玖瑠実達は争いながら互いにノブレスフルールという高みを目指し、まだまだ争うことになりそうですが「最もふさわしい存在」を全員がノブレスフルールとして認め、卒業していくでしょう


咲乃達の話をする前に問題のお話を一つ

本作の「一年生編」・・・その「一年前」

咲乃達と入れ替わるように卒業した89期生達にとって「ノブレスフルール」は「過去の呪縛」になりました

本作でもお話ししたとおり、この期にノブレスフルールは誕生していません

理由は単純。最有力生徒の使用人だけでなく、当時残っていた生徒の使用人が月見るなに全員取られ「ノブレスフルール」どころの話じゃなくなったから

取った側にも問題があるのは勿論ですが、取られた側にも問題が大ありなような気がするのは、取られた張本人を見ていたら何となくわかる気がします

その内の一人、よりにもよってノブレスフルール最有力生徒が咲乃達の代で「使用人」として学院に舞い戻っています

その彼女の暴走、そして「使用人奪い」こと月見るなの最初に標的にされた人物を中心に回すのが一年生編二学期です


本作のヒロインである咲乃達92期は凄くレアな代であり、首席入学を果たした花箋瑞輝以外は「卒業さえできればいいや」の考えで動いています

一年生編は紫乃パイが加菜の背後で暴れまくり、環と茨は喧嘩しまくるし

二年生編はらぎらぎが瑞輝を殺りにかかり、唯乃を侮辱した弟に切れて冬花は予定外の瑞輝戦

三年生編は雅日投入で咲乃が追い回され、真幌留年の危機で文芽が頭を抱えたり・・・


この学校、もしかしなくても楓様しかまともな主人いないな?

使用人は唯乃以外全員アホの子だって知ってたけどさ・・・

よくこのメンツでシリアスな女子校お嬢様ライフ書こうと思ったな・・・


元々、ノブレスフルールはルート制で作成していました。

咲乃一本に絞ったのは「彼女が一番ノブレスフルールというタイトルにふさわしい戦いを行えるから」

美少女ゲームで言えばメインルート、パッケージの中央に位置している女ですね


その系統で行けば加菜はちゃんとヒロインできたかも?

いや、それはないんです・・・

加菜は初恋が叶わないから輝いている女。加菜ルートはルート制時代でもありませんでした


今回は咲乃ルートなので、彼女ときちんと幸せになるところまでやるつもりですが

もしも機会があれば、構想として用意していた紫乃、玖瑠実はやりたいですね

雅日と共依存兄妹同居ルートもいいですし、高嶺とは物陰からお嬢を見守るコンビとして何かギャグ空間やってほしい

・・・でも一番にやりたいのは唯乃ですかね

彼女は咲乃ルートを採用した本編でも砂雪の良き友達で理解者、そして仕事仲間でお仕事相棒という立場に収まっていますし・・・

もしもルート制を採用し続けていたら砂雪を最善の形で幸せにできる存在なので、彼女との話は一番やりたいところですね

他の面々は妹チェックに引っかかって「お兄ちゃんの彼女とか許さない・・・」されるのですが、唯乃だけは「・・・貴方みたいな人がお兄ちゃんの彼女でよかった」評価です。マジで何があるんだ・・・?


本日はここまでにしておきますね。また次回の間奏で!

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