間奏:水知鏡夜の家計簿
おまけ1:そよかぜ園第3世代
篝「私達が過ごしているこのそよかぜ園は、無駄に長い歴史と無駄にスペックが高い人間たちを排出した児童養護施設です」
神楽「私達の前の世代がとんでもない逸材ばかりだったらしいわね」
鏡夜「第1世代って呼ばれている世代は、天才小説家に要人にも関わりがあるコンサル、それから医者がいたんだっけ」
鏡夜「第2世代はこれまた医者と家政夫と司書と訳のわからない組み合わせだな」
篝「たしか、第2世代の時に医者と司書が稼いできたお金を取っていたってことが明らかになって・・・行政の監査が入ったんだっけ?」
神楽「だから私達の時は凄く過ごしやすくなっているのかもね。当時はここまでのほほんとしていたわけじゃないみたいだし」
尊(第1世代の人)「本当にそうだよねぇ。当時は逆年功序列でさ、茶碗蒸しとか、なんか卵のカスが浮いてる出汁でね・・・いつもお腹すいてたなぁ」
結月(第2世代の人)「補聴器を買うお金すら奪われてたなぁ・・・」
三人「!?」
おまけ2:少しでも長く一緒に
鏡夜「前述の通り、俺と神楽・篝姉妹は同じ施設で育った同い年の・・・まあ、家族みたいな存在だ」
鏡夜「当時は離れるなんて考えられなくて、これからも一緒にいて、兄妹みたいに育つんだろうなって思っていた」
鏡夜「高校を一緒の場所にしたのもその理由。俺ならもう少し上の高校を狙えるとは言われたけれど・・・神楽と篝がいない学生生活なんて考えられなかったからな」
鏡夜「でも、当時の俺は予想すらしなかったと思う」
鏡夜「二人以上に好きな人ができて、その人と家庭を築いているなんてさ・・・言っても、信じてもらえないと思う」
鏡夜「雫はかなり強引なところがある」
鏡夜「出会ったところから予定があろうがなかろうが俺を呼び出して、どこかに連れ回して・・・甘やかしてくる」
鏡夜「思えばそれはお兄さんの贖罪・・・加害者家族として、被害者遺族の俺に彼女なりの罪滅ぼしをしていたんだが。正直それは俺としても望まないこと」
鏡夜「あれは何もかも不幸の偶然が重なり合った、不幸な事故だったんだ」
鏡夜「やめてはくれないだろうな」
鏡夜「・・・そうすることでしか、家族の罪を償えないと思っている人だから」
鏡夜「雫との生活は大変だぞ。その強引さで色々と人生設計が狂ったし、何をしているのかさっぱりだが急に海外に行って荒稼ぎしてくるし・・・」
鏡夜「本当に何をしているのか理解し難い。それでいて俺に主夫として求めるのは「お出迎え」だけって・・・なんなんだよ」
鏡夜「でも、そうだな・・・」
鏡夜「家族になれてよかったとは思う。俺が「いい子」をやめられたのは雫のおかげでもあるし、鏡花を・・・大事な家族をくれたのは雫だから」
鏡花「今度こそ、守ってみせるよ。俺の大事な家族を、もう失わないように」
・・・
水知鏡夜編に関して
こちらは長いマラソンのラストお題「宿題」で書いたものですね
初手監禁、ラストで専業主夫と外堀固めまくった雫先輩の「鏡夜君がいる私の理想生活」をお送りしました
鏡夜パイセンは良くも悪くも「優等生」
自分のワガママが両親を死なせた間接的な原因であるため、施設に引き取られてからもいい子を演じ、神楽と篝にとっては良き兄を、周囲には良き子供として振る舞っていました
それ故に、何件か養子縁組の誘いもあったのですが、家族になろうと提案されると、両親のことが頭によぎり・・・「自分はわがままだから、家族を作るべきではない」と思い込み、適当に言い訳を述べて破談にしています
神楽・篝姉妹が来てからは、同じく家族を失った二人を支えることで「自分の罪」を拭おうとし始めます
そんな彼は学校でも気を抜けません。神楽・篝を進学させるために、自分は学費免除の特待生試験を受けて、シビアな生活を送っています
同じ境遇である拓斗と黄金とは同じ部活でもあるのでその面で支え合うことは出来ていますが・・・プレッシャーでそれなりのストレスは溜まっていたと思います
貯まるストレスは、雫が強引に連れ出すことで消化されていたのは・・・今はここだけの話にしておきましょう
雫は作中でも述べたとおり、鏡夜の両親を事故に遭わせた加害者家族
雫の兄である存在もかなり境遇が不憫。ヤバい先輩に目をつけられて色々と強要されていたようです
変な薬の実験台にされて、意識が混濁する中、先輩の指示で盗んだ鍵で車に乗るように指示され、無免許で運転と・・・遠回しの自殺をさせられています
それに、ちょうど鏡夜の要望通りにケーキを買いに行っていた彼の両親が衝突事故という形で巻き込まれたという、両家にとっての「不幸」ではありました
兄の事情を知らない雫や雨雲家の面々からしたら「兄が訳のわからないことをして夫婦を殺した」「償わなければ」・・・と
鏡夜は「自分が我儘を言ったから両親はケーキ屋に寄って事故に遭った」と考えて、そのまま雫と鏡夜は高校生になったというわけですね
雫は特徴的な苗字から鏡夜がすぐに「兄が死なせた夫婦の忘れ形見」だとわかり、家族に見つけた事を伝えて贖罪の生活を送り始めています
道中は本編「黄昏時のサンクチュアリ」にてお話をすることになりますが・・・まあ、なんだかんだあって現在の形に落ち着いているようです
この黄昏時はラストで出てきた黄金がメインのお話です
視点は次回の紅羽が担います。彼を主人公に据えて、黄昏時に開く欲が蠢く境界世界とそれに招かれた九人の少年少女の「内側」を覗く物語
神楽・篝編、藍徒編、雫・鏡夜編、南雲編、紅羽編は固まっているのですが、メインである黄金と拓斗が訳がわからないぐらい厄介でして、本筋が固まっているのにラストでずっと悩んでいたりするんですよね
現実に帰還することが幸せなことなのか
そこで死んだほうが彼らにとっては幸せではないのか
はたまた紅羽たちから忘れ去られて、この世界から切り取られてしまったほうが・・・と考えるあまり、中々進まない話となっています
何が、黄金にとっての最善なのかわからなくなってきて・・・今は離れています
時間が経てば彼女の最善をきっと、見つけ出せると信じています
今回の間奏は少し長くなりましたがここまで。またお会いできれば嬉しいです
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