間奏:八坂浩一と守りたい場所

おまけ1:鈴海大社の雷鳥

浩一「・・・喫茶店が休みの水曜日は、基本的に鈴海まで出向いている」

浩一「鈴海大社の非常勤職員なんだ。水曜日だけ当番」

浩一「これでも、昔は前線に立っていたんだぞ。羽の称号も賜った」

浩一「雷鳥と呼ばれていたけれど、実態は能力の操作が上手くできなくて、電撃を垂れ流していただけ」

浩一「今でこそ素肌を晒せているが、かつては全身を絶縁体に包んでいないと危険だった。周囲を殺しかねなかったんだ」

浩一「・・・こっちに来た時も大変だった。毎晩毎晩、離れに作ってもらった発電施設に電気と言う名の魔力を流しにいく生活で・・・寝不足になって。あの世に連れて行かれそうになったっけ」

浩一「周囲の支えやここでの暮らし・・・穏やかに暮らす日々が続いた頃、俺の能力操作は上手く行き始めて・・・今では能力の制御リングさえあれば日常生活が送れる程度にはなっているんだ」

浩一「産まれた時から両親と引き離されて、自分が産まれてきたことで・・・腹が焼けた母さんは次の子供を望むことができなくなった」

浩一「それから俺は施設で、大社で生き残るために必死で・・・」

浩一「思えば、ストレスだったのかもしれないな。能力も、戦うことも・・・俺は正直好きではないから」

浩一「非常勤を引き受けているのは、施設で一緒だった譲が心配だからだな」

浩一「俺を孤独にしなかったあの子を、大事な弟分を死なせるわけには行かない」

浩一「鈴海大社特殊戦闘課第二部隊所属「雷鳥」八坂浩一・・・鈴海の象徴たる幸福の為ならば、よっぽどのことがない限りは馳せ参じるつもりだ」

浩一「まあ、今は千歳と心乃実が優先だからな。そこだけは覚えておいてくれ」


・・


八坂浩一編について


浩一もマラソン短編の流れですね。テーマは「アイスコーヒー」

喫茶店を受け継いだ彼は、受け継ぐ前は戦闘要員

親が淹れていたコーヒーの味すら知らないのに次期店主

喫茶夕暮ガチ常連な夜神心乃実はブチギレました

これが後の夫婦の初対面。心乃実の飛び蹴りからスタートです


素顔を見るまでがめちゃくちゃ長いと個人的に思っている本作、浩一が鈴海大社の職員・・・世界構成が本編だと見せかけて、きちんと彼主人公の物語が一つ存在しています。派生作品ってやつですね

それが本作「喫茶夕暮で最期のひとときを」となります


未練のない死者が向かうあの世行きの列車「夕暮」

その始発駅と併設している喫茶店が本作の舞台となる「喫茶夕暮」となります

浩一というか・・・八坂家は代々その駅からあの世へ向かう死者の「見送り人」として機能しています。本作のあの世は「未練がないこと」「あの世へ見送る人がいること」・・・その二つの条件が揃っていないと迎えない仕様だったりします


心乃実は新しい店主につっかかりつつも、仕事を手伝い、味に対して率直な意見を述べては常連たちを引き止めたりと・・・色々と尽力してくれる存在です

そんな彼女が浩一の素顔と能力を知るのはかなりの後半。危険すぎる能力でも受け入れて、能力の制御が上手くいき、感電せずに触れられるかどうかの実験でも(恐れてはいましたが)彼に触れて「大丈夫だ」と伝えていたり・・・なんだかんだで強い女かもしれません


本作の経緯は「あの世の旅立ち方を見送る人」が最初に出てきて・・・そこから、駅があればええなぁ。見送り定番

でも待ち時間暇やろなぁ・・・せや!喫茶店作ろ!・・・な、流れですね


鈴海での彼の評判は「赤城時雨編」で紅葉と夜雲が色々と言っています

その一件で心乃実からお説教をされるのは別の話ということで・・・


本日はここまでですね。ではまた、次の間奏で!

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