第4話 冒険のはじまり
「さて、行くか」
そして、僕はその場から一歩踏み出して杖を前に持ち上げる。ふわりと飛ぶような感覚があったあとボクは宙に浮かびあがり上昇する。
目の前には広大な森が広がっていた。
これも巣で見つけて鑑定した魔道具の力だ。
フローティングワンド:浮遊魔法が付与された杖。杖の持ち主の意志で浮遊魔法が発動、停止します。現在持ち主はヤマトに設定されています。
「うわぁ、すごい! ここが異世界、ニニラカン大陸か!」
僕は嬉しさを隠せずに、周りを見回した。
空は青く、風が心地よく吹き抜け、鳥のさえずりが響いていた。
草原には花が咲き、森の木々は青々と茂っていた。
「おお、いいとこだな」
リーヴァもその美しい景色を見て、キュウと鳴いた。
「さあ、これからどこに行こうか? 大きなリーヴァはあっちの方角に町があるって言ってたけど」
幼いリーヴァを見つめると羽根を一生懸命広げながら僕の横を飛んでいる。
「大きなリーヴァ様に言われた通り、町に行ってみようか。新しい世界の情報を集めたり、仲間を探したりできるかもしれないし」
「キュウ!」
「あははは。リーヴァ、ほんとにわかってんのかな? ま、いっか。それじゃあ改めて。これから僕たちの旅が始まるよ! 一緒にこの世界を見て回ろうか!」
「キュウ! キュウ!!」
とりあえず、リーヴァ様が言ってた町に行ってみよう。
この世界のことをまだ何も知らないし、いろんなところも見てみたい。
そして、元の世界に帰る方法も見つかるといいなあ。
そんなことを思ってたら、リーヴァが抱きついてきた。
どうやら飛びなれていないので限界らしい。
そう言えばボクもこの杖でどのくらいの時間浮遊できるのかわかんないや。
「ん? あれ? おお?!」
身体が急にだるくなって意識がなくなりそうになる。
力も入らない。
「うにゃあああ~!!」
落下してる。間違いなく。
でもだめ。意識が、遠のいていく。
こうしてボクたちの旅が始まったんだ。
まさかこれが旅のはじまりだなんて。
ゲームとかだともっとかっこいいはじまりなような気がするけど。
てかこのまま落下したら死んじゃうんじゃないかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます