第3話 ゲームでも鑑定は重要

 山や森のあちこちに降り注いだ光はやがて消えていった。

 リーヴァの姿はどこにもない。


 あれ?

 これって夢だったの?

 なんかドラゴンと話してる夢なんて変な感じだなあ。



「キュウ! キュウ!!」

 どこかから鳴き声が聞こえる。


「キュー! キュウー!」

 声のする方を見てみると青いモフッとしたものがピョンピョンはねながら近づいてくる。


「ん? なんだろう?」

 近寄ってくるとそれは小さな青い竜だった。


「え?! リーヴァ様??」


「キュウ!」


「ええ?! これが? え? リーヴァ様?」

「キュウ!」

「うわぁ、かわいい!」


「キュイ!」

「ボクのことわかるかい? っていうか君はリーヴァ、でいいのかな?」


「キュ」


「いや、かわいいなあ」


 あ、いけない、リーヴァとたわむれている場合じゃなかった。

 小さなリーヴァとしばらく遊んでて思い出したけど、ここにある道具を見てみようかな。


 僕はマジックバッグとやらに物を入れようと手に持ってみる。


「えーっとでもこれどうやって出し入れするんだ? うーんと、だいたいゲームだとアイテムボックスとかから選ぶんだけどなあ」


 するとピロリン♪ と頭の中で音がして目の前のマジックバッグの前に空欄がたくさんある半透明のウィンドウが現れた。


 え?

 なに?

 ウィンドウ?


 まさかの正解か。

 んじゃあ、もしかして鑑定とかできちゃうんじゃ?


「鑑定!」


 ピロリン♪ と頭の中で音がする。


 マジか?

 こんなのありなの?

 ウィンドウにはこう書かれていた。



 マジックバッグ(大):容量無制限・時間経過なし


 やった! これは便利そう。


 じゃあ入れるものは一通り鑑定してからの方がよさそうかなあ。


 僕は手当たり次第いろんなものをどんどん詰め込んでいった。


 いっぱい入るなあ。


 あ、そうだ。服も着替えないとな。それに靴も必要だし食べ物も欲しいし。

 いろいろ考えているうちに楽しくなってきてしまった。


 よし、これでオッケー。


 僕はリーヴァ様の巣にあった服や靴などを鑑定してみた。


 どういう基準でここに集められたのかはわかんないけど、騎士の鎧や武器、防具。いろんな効果が付与された魔法の服なんかもあった。


「お? これいいんじゃない?」

 僕はその中から、自分の身体に合った服をいろいろチョイスして鑑定し、良さそうなものを見繕っていった。


 上着は物理攻撃、魔法攻撃軽減、ズボンには攻撃軽減と風魔法が付与されているものを選んだ。

 あとはなんとなくゲームで知ってる付与魔法のついているものを組み合わせて身につけた。


 せっかく異世界で旅をするんだもん、それっぽくなきゃね。


「リーヴァ、こんな感じでどうかな?」


「キュウ!!」


 そう言って、僕は準備が整ったと確信し、荷物をすべて詰め込んだマジックバッグを手に取った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る