第2話 青い光の粒
「え? なんで?!」
「しかたあるまい、お前がこの世界にやって来る時に我の結界をぶち破ってしまったのだからな」
「え? あ?! ええ?! じゃあこの破片は?」
「ああ、我が元に戻るまでの時間を過ごすための結界だ。お前が壊したのだ、責任を取らねばなるまい?」
「え? いや、でもどうやって? っていうかここがどんな所かもわからないんですよ?! 僕にはそんな力はないです!」
「それを今からお前にな」
リーヴァ様の大きな顔が僕に近づく。
「ヤマト。今から蒼竜の加護をお前に授ける。これで我を守るのだ。我の加護があればお前の力も上がる。さらにお前は渡り人だ。もともと渡り人にはこの世界の者よりも高い能力が付与されているはずだ」
「え? そうなんですか? え? いや、でも何をどうすれば?」
「ええい、時間がないというておろう! とにかくだ。幼生になったわしにはしばらく記憶も戻ってこんのだ。悔しいがお前がなんとかせねば我は消滅してしまう。まさか神は、いやそんなはずはない。うーむ、いったい何を考えておるのだ。ああ、いや、今は時間がない。ヤマト!」
「は、はい!」
返事をすると僕の身体全体から青い光がほとばしる。
しばらくして光が収まるとリーヴァは巣の先を指さし
「これでなんとかなろう。ヤマト、そこにある人の使う武器や防具、道具などを持って行け」
リーヴァ様が指さした方を見ると、なんだかゲームに出てくるような剣や盾、鎧や何かの道具などが山のように積まれていた。
「うわあ、すごい量! でも、あんなには持てませんけど」
「そこにある袋に入れるのだ。人の言うマジックバッグとやらに入れておけばよい。そして、だ。ここにはお前の食べるものはない。いずれここから離れなければなるまい。人の町に行けば金が必要であろうからな、それらを金に換えるがいい」
「マジックバッグ?! ほんとにファンタジーじゃないですか! ここってどういうとこなんですか?!」
「どういうと言われてもな。ニニラカン大陸は古よりニニラカン大陸だ。ふむ。ちょうどよい、幼生のわしを連れてあちこち見て回るがいい。幼生のわしにも良い経験になろうしな。まあともあれ、まずは人の町を目指さねばな」
「いや、そんな簡単に言われても困りますけど。ああ、で、町はどっちの方角でしょう?」
「あちらの方角だ。この山を下り、森を抜ければ人の町に出よう。あとお前は渡り人だ、渡り人には特殊な能力があるはずだ。確認をして……」
「あ! リーヴァさま! あの! もう少し聞きたいことがあるんですけど!!」
リーヴァから青い光が粒になって空中にフワフワと飛散していく。
「よいかヤマト…… お前がこの地に…… あるはずだ…… 頼んだ……」
そう言うと光の粒がたくさんたくさん巣から出て山や森のあちこちに降り注いでいく。
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