第5話 よかった、続けられる。

 ヒュ―――――――――――――――――――――ン……



 青い空、白い雲。

 異世界って言っても地球と変わらないなあ。


 そんなことを目を覚ました僕は考えていました。


 ん?

 でもこれ、落ちてない?!


 いや、落下してるよね?


 あああああああああああ!!

 思い出したあ!!


 魔力切れを起こして落ちてるんだったああああああああ。


「リーヴァ!!」

「キュウ」


 いや、お前抱きついてても状況は改善しないよ?!


 そうしている間にもどんどん地面が迫ってくる。

 こんなところで死んでたまるか!


「ふぬぅ!!」


 リーヴァを両手で抱えて叫ぶ。


「羽ばたいて!!」


「キュウ?」


「いいから早く!!!」


「キュウン!」


 すると、今までバタバタ動いてただけの翼がピタッと動きを止め、風を切るように大きく広がった。

 そのおかげで落下スピードが落ち、地面にぶつかる前になんとか止まることができた。


「ふう、助かったぁ」

「キュウゥ」

「大丈夫だよ、リーヴァ。ほら、ケガもないよ」


「キュウ!」

「よしよし。じゃあ、まずは状況の確認からだね」


 周りを見るとそこは森の中だった。幸いにも下草が多く生えていてクッションになったようだ。


「危なかった。いや、マジで。とりあえず水だね。喉乾いたし、お腹もすいたし」

 さっきまで落ちていた場所を見上げると小さな泉があるのが見える。


「うん、あそこまで行こうか」

「キュッ」


「うわー綺麗な湖だねえ」

「キュウッ」

 まるで鏡のような水面に僕たちが映っている。


「それじゃあ、いただきま~す」


 ゴクッゴクッゴクッ

 ぷっはあ!

 美味しい!


 おいしい水を楽しんでいると森の中から声が聞こえてきた。



「誰かそこにいるのか!?」

 えっと、どうしようかな。


 迷ったけど、ここで変に隠してもしょうがないと思い話すことにした。


「はーい、ここでーす!」


「なんだ子どもじゃないか。こんなところに子どもがひとりで来るなんて何を考えているんだ」


「すいません、道に迷いまして」


「ここは人があまり来ないところだってこの辺の子どもなら知っていると思ったのだが」


「はい、初めて来たんです」


「そうなのか。それはすまなかったな。それで君はどこから来たのだ?」


「えーっと」


「空から何か降ってきたようだが見かけなかったかい?」


「さ、さあ?」


「ってお前、それ!」

 もう一人の男が我慢できずに話始めた。


「あ、ああ、こいつはリーヴァ。オレの相棒です」


「ド、ドラゴンじゃないか!」

「ええ。そうですね」


「お前! このドラゴンをどうしたんだ?!」


「え? 答えなきゃいけないですか?」


「ベン! そんな言い方をしたら警戒するに決まっているだろう。すまんな、君。俺はニック、こいつはベン、二人ともこの近くのペイドルの町を拠点にしている冒険者だ」

 そう言いながら胸に吊るされたカードをこちらに向ける。どうやらこれが身分証明書になるみたい。

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