第11話

なんと相手の姿が忽然と消えてしまったのである。

一瞬、幻でも見たのかと思ったが、どうやら違うらしい。

なぜなら足元にはまだ温もりが残っているし、それに微かに匂いがする。……これは間違いなく本物のはずだ。

ということはまさか本当に消えたとでもいうのだろうか?……ありえない。いくらなんでもそんなことはあり得ないだろう。きっと見間違いに違いない。

吾輩は必死に自分に言い聞かせた。

だが、どれだけ否定しようとも事実は変わらない。

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