第3話 【ASMR】全身ゆらゆらリラックス

日由美

「こほん! それでは、湯者くんとわたしの~~? 『ラブラブ・リラックスタ~~イム』! 始めま~す。」

「ドンドンパフパフ~~~~! な、なんちゃって~……!」

「っていうか、こ、こんなノリでリラックスとか言われても困るよねぇ~……!」


「わたしもさ、小説書いてて頭がパンパンになったとき、こんなんじゃダメダメ、いいアイデアなんて出てこない!」

「 リラックスしなきゃ~! って焦っちゃうと、逆にうまくいかないしね……。」

「でも、安心してくだされ!」


「今日は……。」

「恋人のわたしにどーんとお任せしてくれれば、湯者くんがリラックスできるようにせいいっぱいサポートするからね!」

「他のことはぜーんぶ忘れて、わたしの声だけ聴いててくれればいいの。」


「もし眠くなっちゃったら、いつでも寝て大丈夫だからね。」

「目は閉じてる? 心の準備もできてるかな?」

「さあ、ふたりでリラックスしていこう。」


   #以降、近くで。


日由美

「んー……。体、凝ってますなー。」

「でも、それは毎日頑張ってる証だよ。湯者くん、偉いね。ふふっ、わたしも本当に助かってるんだよ~。」

「まずは、カチカチになった君の体、ゆっくりほぐしていこうね。」


「目は閉じたまま、わたしの声に集中して……。」

「うん。そうそう。」

「目を閉じてるとさ、わたしの声、もっとはっきりと……クリアに聞こるでしょ?」


「そうやって……相手の声だけが聞こえて……目から入ってきてた余計な情報や、頭で考えてた余計なことがスッと遠ざかると……。」

「世界には、湯者くんとわたしの二人だけって感じがしてくるよね。」

「そう……。ここは、わたしと、君だけの世界。」


「そのまま、全部をわたしに委ねて。」

「わたしの言う通りに動くの。いい?」

「息を吸って、全身にぎゅーっと力を籠めるよ。」


「準備はいい? いくよー。」

「吸って~……。」

「力を籠めて。ぎゅ~~~~~。」


「はい。吐きながら一気に力を抜いて。はぁ~~~。」

「うん、じょうずだよ~!」

「体にぎゅっと力を籠めてから、一気に脱力すると、体がゆるゆるになるの。」


「もう一回やってみようね。」

「吸って~……。」

「力を籠めて。ぎゅ~~~~~。」


「はい。一気に力を抜く! はぁ~~~。」


   #以降、通常。

   #ここからは少したっぷりめに。


日由美

「いい感じだね。ちゃんと体がほぐれてきたみたい。」

「じゃあ、も~っとゆるゆるしてみよっか。」


「目を瞑ったまま、ゆったり呼吸をして、体をゆらゆら~って揺らすの。」

「大きく揺らさなくてもいいよ。動かせるところだけ、無理な力を入れずに揺らしてみてね。」


「準備はいいかな? いくよー。ゆらゆら~。ゆらゆら~。」

「全身から力が抜けてくイメージで。ゆらゆら~。ゆらゆら~。」

「もう一回。ゆらゆら~。ゆらゆら~。」


「はい、ストップ。じっとして……。」

「だらん、と、力を抜いてみよう。」


「両足の先から、力がすーっと抜けてく。」

「太ももを通って、つま先へ……体の中に溜まった疲れが、すーっと抜けてくの。」

「ほら……右のつま先から、すーっ……。」


「ほら……左のつま先からも、すーっ……。」

「次は……手の先からも、すーっと力が抜けてくよ。」

「肩を通って、指先へ……体の中に溜まった疲れが、すーっと抜けてくの。」


「ほら……右手の指先から、すーっ……。」

「ほら……左手の指先からも、すーっ……。」

「最後は、頭のてっぺんに集中して……。」


「頭のてっぺんからも、すーっと、いらない力が抜けてくよ。」

「ほら、すーーーっと……。」

「……ふふ。素敵だね。」


   #今まで以上にゆーったり、たっぷりめに囁く感じで。


日由美

「そうしたら、呼吸を深くしていこうね。」

「すー……ふー……。」

「すー……ふー……。」


「そのまま深呼吸だよ。」

「吸って……吐いて……。吸って……吐いて……。」

「ゆーっくり深呼吸を続けて。」


「そうすると……どんどん……体が重くなっていくの。」

「頭が……。背中が……。腰が……。」

「どんどん……どんどん……重くなって、体がとろけてく。」


「とろとろになって、そのまま布団に吸い込まれてっちゃう。」

「吸って……吐いて……。吸って……吐いて……。」

「深呼吸するたびに、どんどん体が重くなっていく。」


「吸って……吐いて……。」

「とろけていく……。」

「吸って……吐いて……。」


「布団に……吸い込まれていく……。」

「すー……ふー……。」

「すー……ふー……。」


   #通常の距離に戻って、深呼吸をやめ、優しく語りかける。


日由美

「小説を書いてて煮詰まっちゃったときはね、こうやって深呼吸しながら、新鮮な空気を吸って、考えてたことを吐き出して、空っぽになっていくの。」

「わたしのとっておきの方法なんだけど、湯者くんも気に入ってくれるといいな。」

「……さあ、最後にもう一度、深呼吸してとろとろになっちゃおう。」


   #再び近づいて。


日由美

「すー……ふー……。」

「すー……ふー……。」

「吸って……吐いて……。吸って……吐いて……。」


「どんどん体がとろけてく。」

「とろけた体が……静かに……静かに……布団に吸い込まれてく。」

「そのまま、深く……ふかーく……落ちていくの。」


「落ちて……落ちて……落ちて……。」

「気が付いたら海の底。」

「とろけた体が海と混ざっていく。」


「とろとろ……。とぷとぷ……。とろとろ……。」

「とぷとぷ……海とひとつになっていく……。」


   #そのまま、朗読のように優しく。


日由美

「海の傍に住んでるからかなぁ。わたしね、リラックスしたいとはきはよく海のこと思い浮かべるんだ。」

「どうかな……? 湯者くんも、リラックスできてると嬉しいな。」


「ぼんやりしてきたなら、わたしのことは気にしないで、眠っちゃってもいいからね……。」

「えへへ……とろとろ……とぷとぷ……わたしもとろけてきちゃった。」



《第4話へ続く》


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『ASMRボイスドラマ 温泉むすめ 南房総日由美とあなたのあまあま小説』(CV・徳井青空)

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