第2話 【ASMR】ふたりで恋人ごっこ
SE 南房総の海、その波音。
#ゆったりとした波音が次第に弱まっていくと、引き戸が開く音がする。
日由美
「ゆ・う・しゃ・く~ん!」
#以降、通常の距離感。
日由美
「ごめんね~! 色々準備してたら遅くなっちゃった。」
#犬好きなキャラなので、相手を犬のように可愛がるイメージで。
日由美
「よしよ~し、ちゃんと待てていい子いい子~!」
「……ん? どうしたの、じーっと見て。」
「もしかして、なんの準備してたか気になる?」
「もー、焦らないの! お・あ・ず・け、だよ!」
「なんてね! 」
「あはは! 顔赤くなってるよ~。ドキドキした? ん? ん~?」
「ダメだよ、それじゃ!」
「今日は湯者【ゆうしゃ】くんにた~っぷりリラックスしてもらう日なんだからね。」
「って、わたしがイタズラしたせいか! ふふ、ごめんね!」
#改まった感じで優しく。
日由美
「湯者くん、今日は南房総温泉に来てくれてありがとうね。」
「日ごろの感謝を込めて、今日はうちの旅館で精いっぱいおもてなしさせて頂きます!」
「ほら、湯者くんにはいつもわたしの書いた小説を一番初めに読んでもらって、色々アドバイス貰ってるでしょ?」
「それって意外と大変な事だと思うし……、それにね、湯者くんのアドバイスはすっごく参考になるの!」
「的を射ているっていうか、わたしの書きたいことをしっかり理解してくれてるっていうか……。」
「きみはわたしにとって、執筆を支えてくれる編集者さん、って言えばいいのかな?」
「そういうわけで! 湯者くんはわたしの創作活動にとって、かけがえのない人なんだよ!」
「温泉むすめって、地元の温泉地を盛り上げるっていう使命があるでしょ?」
「そっちを頑張りつつも、大好きな執筆活動を頑張れるのは、湯者くんが応援してくれてるからなんだよ。」
「でね? 今日はまるっとそのお礼をしたいなって思って、うちの旅館に来てもらったわけなんです。」
「……なんか、改めて言うと照れるね、あはは……。」
「うー、今度はわたしの方がドキドキしてきちゃったな……。」
「え!? な、なんでもない!」
「あ、ちょ! 突っつかないで! あはは、くすぐったい!」
「タンマタンマ! からかわないでよ~~!」
「もう! 湯者くん? イジワルするなら帰っちゃうぞー?」
「……もう突っつかない? ほんと?」
「……ん。なら隣戻る。」
#日由美、近く(左側)に戻ってくる。
日由美
「すー……、はー……。」
「すー……、はー……。」
#と、緊張を和らげて。
日由美
「よし! こっち見て。」
「……ん。」
「湯者くん、いつもわたしの小説を読んでくれて本当にありがとう。」
「うそーって思うかもしれないけどさ、わたしだって、書いたものを人に見せるのはすっごく恥ずかしいし、勇気がいるんだよ?」
「でも、湯者くんはわたしの作品に真剣に向き合ってくれて……こんなこと湯者くんにしか頼めないよ。」
「だから、ありがとう。この前の冒険ものも、おかげで書き上げることができたよ。」
「今日はいっぱいおもてなしするから、次回作もよろしくね!」
「次回作はねー、まだ構想段階だけど……恋愛ものにしよっかな、って思ってるんだ。」
「恋愛もの、初めてなんだよねー。だけどさ、やっぱり一度は書いてみたいじゃん?」
「そう思ってプロットを考え始めたはいいんだけど……。」
「いざ書き始めようと思うとわからないことだらけで……わからないこと、だらけ……なんだよねぇ。」
#と、もじもじし始める日由美。
日由美
「えっと、あの……笑わないで聞いてほしいんだけど……。」
「実は、今日はさ、日ごろのお礼とは別に、もう一個……目的? みたいなのがありまして。」
「そのー……やっぱり何かを書くって経験が大事じゃない。」
「で、今書いてるのは恋愛もの。」
「つ、つまりですね、あの……湯者くんとなら恋愛……っぽい?」
「雰囲気? みたいな? 感じを体験できるかなーーって思うので……ご協力を仰ぎたくてですね。」
「あ! あくまでも、まねっこだよ!?」
「ほんとのことじゃないんだよ!? だからあんまり気を張らずに気楽に考えてもらいたいんだけど!」
「つまりその、何が言いたいかというとね!!」
「もーーー……もし、嫌じゃなければ…………今日1日でいいから……。」
「わたしと恋人、みたいな感じになって、くれませんか、って……。」
#湯者から「いいよ」の言葉を貰ったていで。
日由美
「……いいの? ほんと? ほんとほんとほんと~~~!? やったーーーー!」
#湯者に抱き着いて(超近づいて)。
日由美
「すーーーーーーーーーっごく嬉しい!!! ……あっ!」
#慌てて離れて通常の距離に。
日由美
「ごめん! 嬉しすぎてつい抱き着いちゃって……えっと……えへへ……よろしくお願いします。」
「あ、あくまでも小説の経験の為だから、ホントに気を使わなくていいからね?」
「せっかくの旅館、湯者くんにリラックスしてもらうのが一番だから!」
「あ、いつまでも向い合ったままじゃダメだよね!」
「えっと……目を瞑ってもらって……うん、準備よさそうだね!」
「それじゃあ、ふたりっきりで、ゆったり、のんびりしようね、湯者くん。」
《第3話へ続く》
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『ASMRボイスドラマ 温泉むすめ 南房総日由美とあなたのあまあま小説』(CV・徳井青空)
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