第5話

「うん。久しぶり」

「やっぱりそうだったんだ!どうして君がこんなところにいるの?」

「えっ、君を助けに来たんだけど」

と言われ僕は驚いていた

「助けに来た?一体どういうこと?」

「実は……」

と彼女が説明を始めた なんでも僕たちが寝ている間に起きたことは次のような出来事だったらしい。まず政宗の父は、政宗のことを心配して家臣を使って探していた。そこで彼女は、この城の地下に監禁されている僕たちを見つけ、僕たちの力になりたいという思いで僕たちを救出しようとしてくれたらしい ちなみに彼女の名前は彩乃というらしい。その行動は僕たちにはとても嬉しかった。だが同時に迷惑をかけるのも嫌だったので彼女には城に帰っていてもらおうと思ったのだが、「じゃあ一緒に帰ろう」

と言われたのでありがたくお願いすることにした。ちなみにこの時政宗と母はまだ見つかっていないらしく、彼女曰く父にもまだ報告していないとのことだ。そのため政宗と母を探すために僕ら3人は一旦館に帰ることにした。帰る途中、僕はふと思ったことがあった。それは僕たちをさらった連中のことである。そいつらは一体誰の手先なのだろう?

という疑問が頭から離れなかった。

館に着くと僕はすぐに政宗の部屋に行った

「政宗様大丈夫ですか!?」

「おお政道じゃないか、元気にしてたか?」

政宗は少し笑みを浮かべながらも、どこか苦しそうな様子で話してきた。

「はい、政宗様もご無事で何よりです」

「うむ、それよりも早く伝えなければならない事がある」

と深刻そうな顔つきになった そして僕は、

「なんでしょうか?」

と聞くと

「私の妻を救わなければならぬ」

と真剣な表情のまま話し始めた それを聞いた瞬間、僕は驚きを隠せなかった。

妻を救うためには輝久の力が必要なのだと話す政宗に対して、僕は協力を申し出た 。すると彼女は、

「助かるよ」

と言ったあとに「ところで」と言って続けた

「君たちはどこから来たんだい?」

「実はですね……」

僕は彼女に今まであったことを全て話してみることにした。僕たちがここの世界に転生したこと、そして僕らが住んでいた奥州にはもう戻れないこと……それをすべて聞き終えた後、しばらく黙り込んだのちこう言ってきた

「私はね、実はある人から言われてたんだ。私がいなくなった後に誰か来た時に、私の知り合いが困っていた時は助けてくれないかって。それで今日君と出会って確信できたよ。君こそがあの人の言う人だったのかもしれない。だからこそ頼みたいことがあるんだ」

その願いは……

「もし政宗様に危機が迫ったら助けてほしいんだ」

というものだった。確かに僕にとっては大切な人であるから当然断る理由などなく即答で了解をした。僕が了承すると思っていたのか彼女は続けてこういった

「これからしばらくの間はこの城に泊まってくれ」

と こうして、政宗の警護として滞在することになったのだが、その間特に何かが起きるわけでもなかったため暇を潰すことくらいしかできなかった……

そんなある日のこと、突然輝久の元に一人の男が現れた。そう僕たちをさらって人質にしようと試みた人物である。彼はいきなり現れ僕たちに告げたのだ

「政宗が謀反を起こしやがった!このままでは殺される!」

そう言い残して消えていった そんな話を聞いた政宗の父親は大慌て、慌てて政宗のもとに駆け出していった。もちろん政宗を助けるためである。しかしその頃にはすでに城は落ちていた……そんな中政宗の姿は見つからなかった……

政宗がいなくなってしまったこと、また彼が謀反を起こしたという噂が流れ始めてきたため、次第に僕の元を訪れる人が増えていった。しかし、僕はそんな人たちを追い返していると、突然部屋に入ってきた者がいた

「お主が輝久殿か、わしの名は遠藤 文雄というものだ。この度はすまないことした。しかし、どうか政宗を助けて欲しいんじゃ……」

と深々と頭を下げながら頼んできた

「もちろんですよ。絶対に政宗さんを助けます」

「感謝いたします」

と再び頭を下げると部屋から出て行った その後、政宗がいない間に家臣のまとめ役である遠藤が攻め込んできたが、僕の能力により一瞬のうちに全滅させ、さらに僕の仲間たちが続々と集まってきたこともあり、政宗を救出することに成功した。政宗を救い出した僕は、そのまま政宗とともに父のいる城へと向かい、事の顛末をすべて話した。

それから数日たったある日、僕は政宗の部屋へと向かった

「政宗様〜いますか〜」

と僕が部屋の外から声をかけると、

「ああ、今開けるぞ」

という返事があったので、中に入るとそこには布団の中で横になっている政宗がいた

「どうされたんですか?」

と僕が聞いてみると

「ちょっと風邪気味でな」

と言いつつもどこか元気がない感じだった

「そうですか、なら安静にしててくださいね」

という会話を終えると僕は部屋を去ろうとしたが、政宗が急にこんなことを言ってきた

「待ってくれ、今君に話したいことがあるんだ」

「話ですか?どんな内容でしょうか?」

「実はな、私の妻を救いに行くんだ」

「妻ですか?えっ!どこに?」

「妻がいるところだよ」

「一体どういうことなんですか?」

「実は……」

彼女は僕たちを助けに来てくれた彩乃について話し始めた。なんでも彼女は、元々政宗の正室になる予定だった人物らしく、彼女は側室だったのだという。しかもその正室とは政宗の母らしい。そして彼女が話してくれたことは、この世界の未来についてだった 彼女はこの世界をゲームのようなもので見ていると言っていた。そのため、政宗に好意を持つ女性が現れるたびにその女性の運命を変えようと、彼女達のために奮闘していたという

「えっ?ということは政宗様って、この世界に来る前は女の子とイチャイチャできる人生を送りたかったの?」

「うーん、そういう訳でもないんだよ。まぁ結果的に言えばそうなってしまったんだけどね」

「そうなんですね、じゃあ政宗様の好きな人とかいたんですか?あっ、すいません失礼なこと聞いちゃって」

「別にいいよ。でも、君にだけは知っておいてもらいたいかな。君が好きだってことにさ」

「えっ!?僕!?いやいやいや、冗談キツイですよ。からかわないでくださいよ」

「本気なんだ。だから私は必ず君と幸せになりたいと思っている」

と彼女は真剣な表情で言ってきた。僕もそれに答えるように答えた

「じゃあまずは奥さんの救出ですね。早く行きましょう」

と話を終わらせようとすると、今度は彼女が質問してきた

「君の気持ちを聞いてもいいかい?」

「えっと、その、好きですよ。大好きです!愛しています!僕なんかで良ければ付き合ってください!」

と言うと彼女は泣きながら抱きついてきた

「ありがとう、これからはずっと一緒だ。愛してるよ輝久君」

こうして二人は結ばれ、末永く暮らしましたとさ。

終わりじゃないよ!ここからだよ!まだまだ続くからね!僕たちは無事に彩乃さんを助け出すことに成功し、政宗と一緒に奥州へと帰ることにした。

帰り道では、遠藤のことについて色々と話し合った。彼は政宗を殺そうなんて考えてはいなかったということ、彼は政宗のことを本当の息子のように可愛がっていたという話をした。しかし、それを信じるには証拠が何一つなかった。そんな話をしながら政宗の城を後にすると、機械音声で

「『欧州統一イベント開始』」

が流れる。

その直後、政宗はその場に倒れてしまった 政宗はすぐに意識を取り戻したが、何かがおかしい。自分の身体を見てみるとなぜか鎧のような物が装着されているし、さらに政宗の体からは黒いモヤが吹き出している。

「これは一体……輝久、みんな、とりあえずここから離れるんだ」

「わ、わかりました」

と、僕達はその場から離れようとした瞬間、

「『ルール無視はよくありません』」という機械音声が響き渡った。僕たちが振り返るとそこには白いローブを着た女が立っていた。そして彼女はこう続けた

「私は運営です。伊達政宗さんあなたが謀反を起こしたので、これより討伐を開始いたします。よって、全プレイヤー強制参加のレイドバトルを開始します。今回のレイドバトルの期間は1年、その間あなたが死ねば即終了となります。なお、『伊達政宗としての貴方が死んでしまった場合でもリアルなプレイヤーである貴方には影響はありません。あくまでも『謀反を起こした』という扱いにすることでルール無視の違反は無かったことにするということなので悪しからず」

なるほど

なら余計にこの戦負けられない!

僕は変なところで負けず嫌いなんだよなぁ。

しかしそんなことを思ってるうちに状況は一変する

「政宗さん、もう手遅れのようです。私の仲間たちが既に戦闘態勢に入っています。政宗さん、覚悟を決めてください」

僕は仲間たちに目を向けると皆、やる気満々の様子である

「政宗様、この程度の敵など我らだけで十分です。すぐに蹴散らしてくれましょうぞ」

遠藤の言葉を聞いた他の武将たちも口々に

「そうだぜ政宗、俺らに全部任せな」

と政宗に語りかけた

「そうか、ならば任せるとするよ。頼んだぞ」

僕は、この戦いが終わって政宗に元に戻って欲しいと思いつつ戦いを見守ることにした

「それでは始めましょう。政宗VSプレイヤー総勢300人です」

運営からのレイドバトル勃発とレイドバトルの指示である。

覚悟を決めるか!

僕(伊達政宗)は武器を構える。それと同時に、周りのプレイヤーの目が赤く染まると、その数秒後には僕に向かって一斉に走り出してきた しかし、僕の周りに突然現れた雷が降り注ぎ、僕の味方以外は動きを止めてその場で立ち止まっている。

「大丈夫?政宗」

「ああ、なんとかな。助かったよ」

ゲーム時間で1年間という縛りがあるが1ヶ月が20分なので

3ヶ月経過で60分

240分から逃げることが出来れば僕の勝ちだということ

まあ、運営は勝っても負けても実際には資格剥奪にはならないと言ってたのでなら勝つ方向で僕(伊達政宗)は戦うぞ!

「『戦闘開始』制限時間は1年間リアル時間では240分です。さあ、今回は相手は逃げ切れるか?」

「輝久君、私達も頑張ろうね!」

真菜ちゃんは可愛いな〜

「うん、一緒にがんばろ!」

「私達も忘れないでよね」

「もちろんだよ。莉子先生達もいるから心強いよ」

「じゃあ私達も全力でサポートしようね!真冬!」

「了解!」

向こうは楽しそうだねぇ

でも僕は負けないよ!勝ってやるからね。

「さあ、かかってこいやー!」

「輝久、お前は下がっていろ。ここは私が一人で片付ける」

「いやいやいや、僕だって男だし、やれるところ見せないとね!」

「そうか、だが無理はするなよ」

「わかってるよ」

「じゃあ私は行くからな」

伊達政宗(僕、齋藤輝久)

HP400000

さあて、逃げ切れるかな……ちょっとだけ不安。

「輝久君、私たちも行こう」

「わかった」

僕たちは、敵の大群の中に突っ込んでいった。

僕たちの目の前には、無数のプレイヤーがこちらに向けて走ってきていた。その光景を見て、僕と結衣は背中合わせになりながら構えた。

「輝久君、来るよ!」

「OK!」

僕と結衣は迫りくるプレイヤーを迎え撃つため、まずは僕が銃を乱射した。

「喰らえぇええええええ!!!!!」

僕が放った銃弾は、プレイヤーを一人残らず倒した。

「すごいね!輝久君のスキル!これなら無双できるんじゃない?」

プレイヤーの1人がマシンガンを使ってきて

こっちの戦力を6割も奪った。

「うわっ!?危なかった〜」

「油断しないで、次が来るよ」

「はいよ」

「次は私の番だね!えいっ!」

真冬の攻撃が炸裂して、プレイヤーの動きが止まった。

「ナイス!真冬さん」

「へへん♪もっと褒めてくれてもいいんだよ♡」

「よし、このまま一気に攻め込むぞ!」

「おぉおお!!!」

それから僕たち3人は、どんどん敵を倒していった。

しかし、敵を倒していくうちに、敵が少しずつ減ってきていることに気づいた。

「おかしいな……敵が減ってきてる気がする」

「確かに……なんか嫌な予感がする」

そんなことを話していると、一人の男が僕たちに話しかけてきた

「おい、そいつらは俺の獲物だから手を出すな」

「なんだてめぇ」

「俺は織田信長だ。伊達政宗、俺と一騎討ちしろ」

「いいだろう」

僕と信長は、お互いに剣を構えた。

「いざ尋常に……」

「勝負!!!」

僕と信長は、お互いの武器をぶつけ合った。

「なかなかのパワーじゃないか!少しは楽しめるようだな」

「それはどうも」

2人とも距離を取り、再び武器を構え直した。

「今度は俺からだ!くらえ!第六天魔王波ぁああああ!!!」

「なんだよその技!厨二病全開じゃん」

「うるさい!黙れ!死ねえええ!!くらっても死なないんだった」

「当たり前だよ!死ぬわけないでしょ」

「くそがぁああ!」

「これで終わりにしてやる!オラァア!」

「ぐはぁああ!」

「俺を倒したところで、この世界は終わらんぞ」

「どういうことだ?」

「このイベントは俺が考えたんだ、俺が死ねばこの世界の時間は止まる。そして俺が生き返ればこの世界にまた時間が流れる」

「なるほどな、お前が生きてる限りこの世界での時間の流れが止まらないのか」

「そういうこと、まあ、お前がこのイベントで死んでくれればそれで解決するんだけどね」

「残念だけど、僕は負けないよ」

こんなやつの屁理屈に従うほど僕は愚かでは無い。

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