第3話
「さあ、いよいよ始まりますよ。皆様、心の準備はよろしいですかな?」
ついに『奥州統一イベント』が始まった。このイベントで勝ち残ることが出来なければ『伊達政宗』として天下統一を果たすことはできないだろう。しかし、もしこの大会で優勝すれば僕の夢である「世界征服」が現実となるのだ。僕は気を引き締めなおしてイベントに臨むことにした。
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第一部「伊達編」終了 〜第二部「世界征服」へ続く〜 第1話「『戦国絵巻 上杉謙信伝』の世界」
第2話「伊達政宗、再び天下を狙う」に続く……
『戦国絵巻 上杉謙信伝』の世界
登場人物一覧表
『伊達政宗』……『戦国絵巻 上杉謙信伝』の主人公。「上杉謙信」の後継者であり、上杉謙信と同じく毘沙門天の化身と呼ばれている。『上杉謙信伝』ではまだ幼く、「幼名:梵天丸(ぼんてんまる)。別名は龍ノ介(りゅうのすけ)」「梵天丸」→「独眼竜政宗(どくがんりゅうまさむね)」、「奥州筆頭」、「第六天魔王」など数々の異名を持つ。
『織田信長』……後の天下人。後の天下布武を成し遂げた者。『本能寺の変』後、「第六天魔王」
と呼ばれ恐れられた時期もあったが、今では誰もが認める日本のトップに君臨する大人物となった。『本能寺の変』以降、日本は長い戦国時代に突入した。
『織田信長』の小姓である森蘭丸は後に「武田信玄」の家臣となるが「甲斐の虎」と呼ばれるほどの軍師として活躍した。のちに彼は天下人となった織田信長に仕え直す。そしてその類まれなる才能を発揮し、やがて信長の参謀を務めるまでに出世することになる。
『柴田勝家』……「鬼柴田」と畏怖されるほど戦上手の武将で、織田軍のナンバー2に上り詰めた。しかし織田信長に反旗を翻すが、最後は信長により成敗された。
『前田慶次』……『傾奇者』の二つ名を持ち「生涯独身」を通した。後に前田利家の娘と結婚し、義理の父になる。しかし利家が亡くなり、「まつ」が織田家に人質として差し出されると彼女を救うために奔走し、ついには彼女の奪還に成功する。その後、彼女は豊臣秀吉の元へ行き、秀吉と夫婦になるが離婚。その後は『黒田官兵衛』の妻となり、息子の『長政』を産むことになる。ちなみに息子・長政は『真田幸村』の弟である。
『羽柴秀吉』……「サル」の愛称を持つ、後の天下人に君臨する武将。元々は浪人の身であったが、偶然訪れた長浜城で「お市の方」に一目惚れし、彼女を嫁にもらうことに成功する。そしてお市は浅井三姉妹の中で唯一の既婚者であった。さらに彼はお市の方の実の兄が「織田信雄」であったことから「羽柴」の姓を名乗り、天下人の道を歩むことになる。『滝川一益』……「武田四天王」の一人。「赤備え(真紅の甲冑)」を着て戦う姿が「赤い悪魔」の異名を生んだ。「信玄亡き後は自身が天下を手に入れる!」と豪語するが、結局は彼の野望は打ち砕かれた。そして彼の死後、後継者の『信忠』が若くして急死すると「織田家は滅ぶ」とまで言われていた。しかし数年後には『家康』と手を組み、『関ヶ原の戦い』において東の総大将となって見事に勝利を収める。
『徳川家康』……のちの征夷大将軍にして江戸幕府の初代将軍。後の「徳川幕府二百六十年の基礎を築いた」と評されるが、実際はどうだったのかは後世の歴史学者の見解に任せることにしよう。
『北条氏康』……小田原城の「風魔小太郎」
や忍部隊を率いていたとされる北条家の大名。「相模の獅子」と呼ばれたが、実は病持ちであったらしい。「関東の覇者」として長く君臨していたが、ついに「謙信」と和睦して「同盟」を結ぶに至る。しかし「越後の乱」が起きてからは、次第に立場が悪くなっていったようだ。
『今川義元』……東海一の弓取りと呼ばれていたが、今はただのデブだった。だが「桶狭間の戦い」で信長が破れると天下への道が開けた。しかし彼は「信長打倒の志」から一転して「天下人」へと駆け上っていく。
『斎藤 道三』……『美濃のマムシ』『稲生の戦い』では「土岐氏」を滅亡寸前にまで追い込む。また『長良川の戦い』
においては、かの名将「竹中半兵衛」と共に「朝倉宗滴」を打ち破った。
『明智光秀』……「光秀謀反事件」を起こして信長を裏切ったが、「比叡山焼き討ち」の直後に許され、そのまま側近として仕えた。『本能寺の変』後、秀吉の右腕として活躍するが、「朝鮮出兵」の際に病死してしまう。彼の「朝鮮出兵」に対する考えはあまり評価されていない。『最上 義光』……「義」の文字を使った名前で、「奥羽探題」とも呼ばれた戦国大名。東北一帯を支配していたが、やがて織田信長に敗れてしまう。その後、秀吉の配下となるがやがて独立し、「蝦夷国奉行」として東北地方の開発に力を入れるが「秋田城城主安東愛季」とのいざこざで切腹を命じられてしまった。『関ヶ原の戦い』では「西軍」に属し、最終的には敗戦してしまった。
『島左近』……後に天下人となる『石田三成』の参謀を務めたことで知られる戦国武将。彼はのちに『大坂の陣』で「豊臣方」の味方となり、その功績が認められて「大和大納言」に封じられた。
第二部第1話「伊達政宗、再び天下を狙う」に続く……
伊達政宗の元服の儀が始まった。元服の祝いとして、僕は「金扇子」という特別な印判を押した紙を彼に贈った。その紙の表には「伊達政宗」と書かれていて、その横には「大日」と書かれていた。
僕はその金印と金箔の入った和紙のセットをプレゼントしたのだ。僕にとっては「伊達政宗」
といえばこの「伊達政宗」の金の家紋なので、これをどうしても彼に譲りたかった。僕は自分の手でその紋様を描いたが、それを職人さんが印刷してくれたのだ。だからこれは紛れもなく正真正銘な本物だと言えるだろう。彼はそんな金印と金製の和紙を喜んで受け取ってくれた。もちろん他の参加者にも贈り物は用意した。僕は『天下統一モード』
で作成した「武将フィギュアシリーズ」と『戦国創成物語』に登場した「伊達藤次郎政宗」をモデルにした「人形」(高さ40cmほど)である。これらの品物はみんな『天下統一』の中で手に入れた物ばかりで、いずれも価値の高い物であることは間違いない。それに僕のオリジナルデザインの『家紋』も入っているしね。
そして最後に僕はお酒を贈った。それは「仙台の地酒」で、日本酒としては最高級の銘柄である。その名を「萩乃露(はぎのつゆ)」と言い、全国的に有名なお酒の一つである。「おめでとうございます!」と言って僕が「政宗」に酒を注ぐと、彼は一気にそれを飲み干した。「うめぇ!」と叫んだ彼が次に発したのは「梵天丸」から「独眼竜政宗」になる一言だった。
これで名実ともに彼は天下人への階段を再び登り始めたことになる。ちなみに今日、彼の正式な名前は『伊達 輝宗(いだて かつむね)』であることを知った。つまり『伊達政道』改め『伊達輝宗』に名前が変わったのだ。「おめでとうございます!『独眼竜』殿!」と改めてお祝いすると彼は少し恥ずかしそうにしていた。そしてすぐに他の人達ともお酒を交わし合った。こうして「元服の儀」が終わった。その後、彼は正式に奥州の領主として認められ、伊達家の当代当主となった。しかしまだ「当主になった」とは言ってはいけないそうだ。あくまでも『奥州探題』に任命されただけで、実際の統治は伊達家の家老が行うらしい。まあ当たり前のことかもしれないけど、それが『伊達家のしきたり』なのだとか。でも、これから伊達家の歴史が大きく動くのはほぼ確実だった。まず「南部」や「津軽」などの大名が攻めてくる可能性はかなり低いが、念のために警戒しておくようにと忠告した。
もし「南部」「安東」が同盟を結んで侵攻してくることがあれば、おそらくかなりの戦力差があるのでこちらに勝ち目はないであろう、と。それを聞いた政宗が、
「俺に良い策があるぜ」
と言ったので何だろうかと思って耳を傾けた。
すると政宗は、伊達家が抱える優秀な家臣団の中から、『片倉小十郎景綱』と『留守伊達成実』という二人の家臣を、自らの親衛隊にしたい、と申し出た。彼らはそれぞれ、武勇と知略に優れる人物であり、その忠誠心も高いと評価された。特に小十郎は「伊達四天王」の一人で、政宗にとってもっとも信頼する腹心であるという。また「留守氏」はもともと出羽北部を支配する戦国大名であったが、最上義光に敗れてからは従属しているらしい。そこで伊達家は、最上義光の妹を正室に迎え、その義光の妹と婚姻関係にある義光が、伊達家と最上家の仲介役に立ってくれれば、両者の間に友好が結ばれるのではないかと期待した。だが政宗の話によると、どうも最上義光の態度が煮えきらないらしく、あまり協力的ではないという。
「だから俺は、兄貴のところへ行って直接交渉してみるつもりだ」
と言うので、僕も同行することにした。
「じゃあ行こうか」
と言って立ち上がると、
「ちょっと待てよ」
と言われてしまった。何かと思ったら彼は、
「お前のその格好は目立つんだよ」
と指摘された。確かに僕はこの世界では珍しい服装をしている。それは「着物」ではなく「袴」を着用しているからだ。これは『天下統一モード』
で作った「武将フィギュアシリーズ」の伊達政宗の服をそのまま着ていたからである。僕は、
「大丈夫ですよ。これくらい」
と強気に出たのだが、
「いや、ダメだ。絶対にダメだ。そんな変な服を着てる奴と一緒にいたなんて噂された日には、俺の恥にもなるからな。いいな?絶対について来るなよ?」
と言われた。僕は仕方なく政宗の言葉に従った。彼はそれからすぐに出掛けていった。
「さて、暇になってしまったな……」
僕は屋敷の庭に出て、空を見上げた。太陽は真上にあり、雲一つない快晴であった。風も穏やかで、とても心地よい天気だった。僕はしばらく青空を眺めていたが、やがて視線を下ろし、その先に広がっている広大な大地を目に焼き付けた。
「これが、この国の全てなんだなぁ」
と呟くと、僕はその景色を記憶の中にしっかりと刻み込んだ。この国には、まだまだたくさんの人が住んでいる。そしてその人たちが、それぞれの生活を送っているのだ。僕がこの世界で見たものは、ほんの一部に過ぎない。この広い世界にはまだ、僕が知らないことがたくさんあるはずだ。僕はその世界をもっと見てみたいと強く思った。
「よし、決めたぞ」
僕はこの世界の全てをこの目で見たい。この国を隅々まで知り尽くしたい。そうすればきっと、僕の夢である「世界一周旅行」ができる日が来るだろう。そのためにはまず、僕自身が強くなる必要がある。そのためにも、これから先の戦いを勝ち抜いていかなければならない。
「必ず天下を取ってやる!」
と決意を新たにしたその時、
「おい!大変だ!すぐに来てくれ!伊達様がお倒れに!」
という声を聞いた。僕は急いで部屋に戻った。するとそこには、床に伏している政宗がいた。
「しっかりしてください!」
と僕は彼の肩に手を当てた。彼は苦しそうな表情を浮かべ、呼吸を乱しながら、
「ああ……苦しいぜ。胸が痛ぇ……。助けてくれぇ」
と助けを求めてきた。一体何が起きたのだろうか。彼は病に冒されてしまったのだろうか?それとも何者かに襲われたのか?
彼のステータスを調べた。すると、
【状態異常】:
・疫病(黒死病)
と表示されていた。
「これはまずいな。早く医者に見せなければ」
と言って立ち去ろうとすると、
「どこへ行くんだ!?行かないでくれ!」
と必死になって引き止められた。
「えっ?だって病気なんでしょう?」
と尋ねると、政宗は首を横に振った。
「病気……は?……俺は病気なんかじゃ……」
ほらほら
「横になってて僕はそばに居てあげるからさ……ぽちぽち」
医者をすぐに呼び出した。ネットの力で……。
「お呼びでしょうか」
「はい、この人の病状はどんな感じですか」
「はあ、それがですね、どうも最近流行り始めた『黒死病』にかかってしまったようなのです」
「『黒死病』って何ですかね」
「はあ、何でも『ペスト』という伝染病の一種らしいんですけどね」
なるほどだけども僕は掛からないのだ。ネットゲームの外の人間だからだ。
「まあ、治るならいいんですよ。この人が死んだら困っちゃうので」
「はい、では治療させていただきます」
こうして医師は薬を持ってきて飲ませたら治りました。
良かったね。めでたしめでたし
「ふぅ~、これで一安心だな」
「……」
「ん、どうしましたか」
「いや、何でお前は平気なんだよ!!!」
「いや、僕はゲームのプレイヤーなので」
「はぁ?どういう意味だよ」
「まあまあいいじゃないですか」
「よくねえよ」
「それより、今日はもう寝たらどうです?」
「そうだな、そうするか……」
政宗は眠ってしまった。
さて、次は誰を呼ぼうかな。
「おい、起きろー」
「ん、ここは?」
「起きたか。気分はどうだ?」
「ああ、だいぶ楽になったよ。ありがとうな」
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