第34話:竜王の死そして様々な結末
学校から帰ると、真っ先に自室でファミコンの電源を入れた。今日こそ竜王を倒す!
まずはレベル18のままで挑戦してみる。少しでもMPを節約するために、リムルダールの宿屋に泊まる直前にトヘロスを使い、レミーラは使わずにたいまつで暗闇を照らす。ダースドラゴンに眠らされてピンチだったが、MP満タンの状態でたどり着く。100あるので、ちょうど10回ベホイミを使える。そして変身前の竜王を倒すときに少し工夫をする。とどめを刺す前になるべく薬草を使ってHPを回復させておくのだ。
HP100以上を残して変身後の竜王に対面。攻撃で10ダメージ前後が通る。奴の攻撃では40前後のダメージを食らうので、ほぼベホイミと攻撃を交互に繰り出すような状況。それでも死ぬまでに100ダメージくらいは与えられたのではないか。確実に手応えはある。
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もう一つだけでもレベルを上げればかなり変わるはずだ。ドムドーラの悪魔の騎士を使って経験値を稼ぐ。レベル19になるとHPは15ポイントも伸びて最大130になった。これでかなり余裕が出るはずだ。MPは6ポイントしか増えないのでベホイミを使える回数が増えるわけではないが、新しく覚えたベギラマを使うことができる。
うぎぶしよ どだほずぢごず
ぞつしむき みつづ
アイテムを買い揃えたらパスワードを撮影し(一応グループにも送る)、いざ竜王城へ!
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「やっぱりベギラマは効かないか」
変身後、ためしにベギラマを唱えてみたが無効化されてしまった。マイラの村で聞いたように、竜王との決戦では「剣」のみが頼りになるようだ。
HPが130まで伸びたことはかなり大きく、ベホイミの後に2ターン連続で攻撃できるチャンスが多くなった。それでも竜王はしぶとく、こちらのMPがあっという間に削られていく。ついにベホイミが切れ、HPも残り42。次の攻撃を食らったらおしまいだというタイミングで、見事に竜王を打ち倒すことができた。
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竜王を倒し、このままエンディングかと思いきや、まだゲームは続くようだ。とはいえ、町の人々が店員も含めて同じセリフしか言わなくなってしまった。城に戻ると兵士が列を組んでおり、王様が出迎えてくれた。そして勇者はるまきが自らセリフを発して、プレイヤーの手を離れて歩きだし、ローラ姫とともに新たな旅に出る。
壮大な音楽とともに映し出されるスタッフ名。まるで映画のようだ。そういえば、この「映画のようなスタッフロール」も、ドラクエが始めて以後のゲームで定着した画期的な要素だとハルキが言ってたっけな。最後はFF1と同じように、BGMの終わりに合わせてTHE END。
終わりよければ全てよし、ではないが、なかなか感動してしまった。振り返ってみるとプレイ時間の大部分は単調なレベル上げだった気がするのだが、確実に強くなっていくという過程は面白かった。もう一度やれと言われたら、ちょっと遠慮してしまうかも知れないが。
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しばらくすると、ハルキからも竜王戦の実況からのクリア報告が届いた。ついでに竜王の提案に「はい」と答えたバッドエンドも見せてもらった(パスワードを入れて0からのスタートになるとは!)。他にも、ネット上で見かけた最強パスワードを使って「ローラ姫を助けずにクリア」や「ローラ姫を抱いたままクリア」といった裏エンディングのようなものを見て、僕はドラクエ1を一通り遊び倒した。
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5月1日(月)
ついに竜王を倒す!
レベル19 HP130 MP106
攻撃力127 守備力90
G 16838 E 25379
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僕はクリア直後に撮影した「つよさ」データを日記に書き写した。これが、僕と日々木さんとハルキで、のべ4日間でクリアしたドラクエ1の成果だ。
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