第17話:空の旅と父とサシ飲み再び
4月22日(土)
氷の洞窟に挑戦。石化や即死を喰らい、2人だけ生き残って生還! ゾンビ軍団やホワイトドラゴンを含めて、逃げられる敵からはとにかく逃げまくるのがいいようだ。ボスのビホルダーが弱くて助かった。今日はソウタが家に遊びに来て、テレビの前で見られながらプレイしていた。ファミコンなんて全然やったことないやつなんだけど、それでも一緒に盛り上がったりして楽しいよ。
サンドイッチ、おいしかったです。
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ソウタが帰ったあと、日記をまとめる。最後に「また食べたい」と書こうと思ったが、それは図々しい気がしたのでこれだけにした。今度、なにかお礼をしなくちゃいけないと思うのだが何にしようか。僕もおにぎりでも作って分けてあげようかとも思ったが、変なものを食べさせてお腹を壊したりしたら嫌だからな。
*
夕食までは時間があるのでもう少しプレイする。浮遊石を手に入れたが、使い方がわからないままだ。クレセントレイクで浮遊石を探していた人や、予言者たちに聞いてもわからず。順番に町をさかのぼることにする。メルモンドにはウネという学者がいたがこいつも関係ないようだ。エルフの町で「三日月の下の砂漠」という、ようやく直接的なヒントがあった。
三日月といえばクレセントレイク。地図で確認すると、たしかに南のほうに小さな砂漠がある。そこで浮遊石を使ってみると……飛空船が出現! 猛スピードで空を飛び回れる上に、敵も出てこないようだ。
さっそく南下して北の大陸へ。山に囲まれたのはガイアの町。ここの妖精を探すのが次の目的だろうか。防具屋で売ってた守りの指輪、誰でも装備できる小手みたいなので戦士以外の3人に買う。お金にはまだまだ余裕がある。
猫の爪はまだ誰も装備できない。調べたらクラスチェンジしないといけないようだ。攻撃力はミスリルソードより弱いが命中35は魅力。Lv18の戦士が4回ヒット、Lv17の赤魔が3回ヒットできる計算になる。とはいえ65000ギルは痛いので一旦保留か。
北大陸中央部の穴ぼこ地帯。ドラゴンがいて、試練の城や機械文明についての話が聞ける。漫画で読んだ宇宙ステーションがここに繋がってくるのだろうか。
西の方にも町があったので行ってみる。オンラクの町。今度は海底の人魚や空を飛ぶロボットの話が出てきた。ちょっと情報が増えすぎである。かわりに妖精についてはすぐに解決してしまった。聞いたとおりに西の砂漠に行くと、怪しい地形の中にキャラバンがあって妖精を売っていた。買って泉に返してやると「空気の水」。これは潜水艦に必要なものか。
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次の目的地
・試練の城。勇気の証を探す
・海底神殿。水のクリスタル?
・滝。空飛ぶロボットがいる
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ノートに書いて整理する。他にも大砂漠の中に塔があるが入れず、森に囲まれて着陸できない町があるが、とりあえず次の目的地はこの3つのうちのどれかになるだろう。
海底神殿はいかにも大きそうだ。滝のロボットはどのシナリオに繋がるか先が読めない(多分、風のクリスタルという気がするが)。となると、試練の城を目指すのがよさそうにも思えた。パワーアップできそうな感じだし。
着陸ポイントが遠いので城まで行くのに一苦労。入口でセーブして、一旦中断。そろそろ夕食の時間だ。
**
「お。試練の城か。どうやら飛空艇で来たみたいだな」
今夜も、僕の部屋で父と二人。今日の父はウィスキーの炭酸割りを飲んでいる。僕も同じ炭酸水(もちろんウィスキーは抜き)を飲みながら同じ画面に向かう。
中ではラクシャーサとかいう虎のファイラが強烈。ワープゾーンも複雑で、何度かリセットしながら先に進む。
「ワープ、基本的に2つのうちのどちらかが正解ってことかな」
「そういうことだな。見た目ほど複雑でもないぞ」
*
「ガントレット。これって小手のことだよね? 戦士でも装備できないの?」
「ああ、クラスチェンジがまだだからな。ナイトになれば装備できるぞ」
*
「この馬、なかなか攻撃が当たらなくて面倒だな。呪文使っちゃおうかな」
「ガントレット、使わないのか?」
ナイトメアというモンスターとの戦闘中、僕の発言に対して父がぽろりと言う。
「なにそれ、使えるの?」
言われたとおりに「持ち物」コマンドから使ってみると、敵全体にダメージを与えた。
「なにこれ、炎の盾とかアイスアーマーですら何も効果がなかったのに、ただの小手にどんな力があるの?」
「さあな。ちなみにサンダラの効果みたいだぞ」
「すごいね。使ってるうちに壊れたりとかはないの?」
「少なくともFF1だとそういうアイテムは無いな。1回きりの使い捨てか、無限に使えるかのどちらかだ」
階段を登ったら、あとはシンプルな一本道だった。雑魚戦でガントレットのサンダラを使いまくれるのが嬉しい。そして、「ねずみの尻尾」という、いかにも怪しいアイテムを入手し、玉座の前にいたドラゴンゾンビをあっさり蹴散らして脱出。尻尾をドラゴンのところに持っていくと……クラスチェンジ!
「見た目がすごいことになってる! ガントレット装備できるけど性能はたいしたことないのか。ナイト以外に持たせたほうがいいかな」
メニューを開いてあれこれ確認。そういえば説明書には、使える魔法も増えると書いてあった。あとで魔法屋めぐりでもするか。まだ赤魔はLv17で、ランク5までしか使えないけれど。
*
「ねえユウキさん、ちょっと手伝ってくれる?」
「ああ、わかった! じゃあ父さんは行くからな。セーブ忘れるなよ」
母に呼ばれて父が部屋を出ていった。風呂に入るにはまだ早い。今日はもう少し進めよう。
***
注:
『飛空船/飛空艇』
ゲームでは「ひくうせん」表記で統一されていたはずだが、当時から説明書では「飛空艇(ひくうてい)」とも呼ばれていたりする。シリーズで「飛空艇」表記が定着したのはFF3からで、FF1・2においてもGBA版以降は「飛空艇」で統一。
父の「飛空艇で来たみたいだな」というセリフは、海路から河口経由で上陸するというテクニックを踏まえての発言。タケルは気づいてないので、特に含みを感じたりはしていない。
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