第9話:持つべきものは友と回復薬
「え、日々木さんって北小出身じゃないの?」
「うん。南小でもないってことは、引っ越して来たのかな」
その日の放課後、僕はソラと一緒に科学部の見学に来ていた。今日の活動はフィールドワークで、学校近くの雑木林で植物や昆虫の分布調査をするというものだ。支給されたタブレット端末で植物や昆虫の写真を撮って、あとで理科室に戻ったらみんなで種類を調べてみるというわけである。
なかなか面白いが、想像していたよりもハードな部活動だなと思った。今日は暑い日だったので半そでの体操服を着てきたのだが、枝に引っ掛けて腕に軽いけがをしてしまった。一方で、ソラは森歩きに慣れているようだ。聞けば、去年の夏休みには自由研究でカブトムシなどを探して森に入りびたっていたらしい。僕よりさらに小柄で、この前の探検では4人の中でも遅れがちだったのだが、意外とワイルドな一面があるのかも知れない。
*
「それよりハルキも言ってたんだけど、タケルって日々木さんのことが好きなの?」
「いや、全然そういうのじゃなくて……」
「大丈夫だよ、別に冷やかしたりしないからさ。ここには他に誰もいないんだし」
「うーん。とりあえず趣味の合う気になる友達、ってとこかな」
僕は、日々木さんと知り合った経緯を話した。ただし交換日記のことは秘密だ。
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「レトロゲームかぁ。詳しくないけど、もし電子工作が必要なら力になれるかも」
「電子工作?」
「ほら、古いおもちゃって壊れたりするだろ。はんだ付けくらいなら理科室でもできるから」
「はんだ付け?」
「あー、金属を溶かして電子部品を基板に取り付けたりするやつ」
ソラは何も知らない僕に丁寧に教えてくれた。
*
「俺はまだ苦手だけど、高一の兄ちゃんならもっと上手だからさ。去年まではこの科学部で部長やってたんだ」
「へえ、すごいね」
「昨日、先生の前で紹介されたりして恥ずかしかったけどね。まあ、悪い気はしないよ」
**
「それじゃ、また明日!」
部活体験を終え、僕たちは家路についた。あのあと理科室に戻って、それぞれが撮った写真を見せ合ったりしたが、僕にはほとんどわからない名前ばかりだった。科学部に入ろうとしているくらいだからみんな詳しい。ソラは天体観測が一番の目当てだと言っていたが、生物や工学にも強いようだ。頼りになる友達がいると心強い。
***
「とりあえず情報をまとめるとこんなところかな」
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4月18日(火)
・エルフの王子がダークエルフのアストスに呪われた
・呪いを解けるのはマトーヤのみ
・マトーヤの目はアストスに盗まれた
・西に怪しい城がある
・運河を掘るために火薬が必要(運河ができれば船の移動範囲が広がる?)
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家に帰ると僕は光の戦士になり、日々木さんからもらったノートのページに情報を整理していた。エルフの城と、そこからの情報でたどり着いたドワーフの洞窟の情報をまとめるとこんな感じになる。どうやら、アストスとやらを倒すのが次のミッションということらしい。
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レベル7、サンダラを2回ずつ使えるようになった。お金が溜まったのでミスリルソードも買う。これで赤魔でも2回ヒット可能に!
荒れ果てた西の城にはアストスはいない。南の洞窟でクラウンを取ってこいという話。怪しすぎるが、他に行き先はない。城やダンジョンがマップに表示されるのがわかりやすい。
洞窟に入る前に寝袋でセーブ。まずは様子見でひたすら逃げまくる。北側にあるのは普通の宝箱だけ。帰り道で余裕があるとちょっと戦う。スケルトンとシャドウは雑魚だから普通に倒せるやつだ。サソリが異様に強い。スライムにはダメージが通らないので逃げ一択。
メモ:毒消しは大量に持っていくべき!
一旦引き返して、町で準備を整える。このときレベル8、ミスリルソード2本目、さらに毒消し25個!
南側のフロアを探索し、小部屋がたくさんあるフロアへ。やたらと目立つ宝箱があったので恐る恐る近づいたら、ピスコディーモンという見たことのない敵! おそらくこいつがボスだろう。サンダラ2発で倒せた。
もう少し調べたかったが、余裕がないので脱出。ケアル10回を使い切ってしまった。毒消しも残り12個。
メモ:ポーションも大量に持っていくべき!
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夕飯を呼ぶ声が聞こえた。ちょうどいいところなので、寝袋でセーブをして今日はおしまい。アストスの前に宿題を片付けないといけない。
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