第6話 同じ靴音

※※※※※※※※※※※※※※※


カツカツカツ・・・。

コツコツコツ・・・。


闇の中、音が重なっている。


一つは私のヒール。

もう一つは。


あの時と同じだ。


カツ・・・カツ・・・。

コツ・・・コツ・・・。


私が歩を緩めると。

同じように緩める。


ドクン。

心臓が脈打つ。


カツカツカツカツカツカツ。

コツコツコツコツコツコツ。


私が速めると。

同じ速さで。


冷たい汗が背中に。

無意識に右手がポケットを探る。


カツカツカツカツカツカツ。

コツコツコツコツコツコツ。


振り向けない。

振り向いたら。


※※※※※※※※※※※※※※※


「・・・子!」」

肩を掴まれた。


「・・・男?」

元カレの顔があった。


「探したんだ、ゴメン・・・。

 やり直させてくれないか?」


優しい眼差しと甘いマスク。


二度と会うまいと。

決心していたというのに。


私は引き寄せられるままに。

彼の両腕に包まれた。


温かい。

そう思ったら、涙が滲んだ。

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