第2話 彼女の事情

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「実は・・・」

泳がせていた目をオズオズと私に向けて事情を話し出した。


半年前。

私の部屋の前の住人が殺されて押し入れで発見されたということだった。


どうりで。

家賃が格安な訳だ。


転職したばかりの私は。

少しでも費用を浮かしたくて。


この格安案件に飛びついた。


転職の理由は。

失恋。


結婚も考えていた彼が。

同じ会社で浮気。


よくある話。


彼は優しくて、良い人だった。

そして、誰にでも。


彼の携帯を覗いた私もバカだったけど。

ラインの履歴くらい、消して欲しかった。


アドレスも電話番号も変え。

私は姿を消した。


彼の知らぬ街で再就職したのだ。


建築CADオペレーターの私は職には困らなかった。

だけど、引っ越し費用なんかでお金は節約したかったのだ。


でも、失敗だった。

出るのだ、あれが。

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