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 顔にアイスクリームをつけておどけたり。悪ふざけばっか。まるで子供みたい。そんな顔の仕草に私も、一緒になって顔にアイスクリームをつけておどけた。ほんの少しの事でも彼と一緒に居て嬉しくなったり、楽しくなったり。まるで私の中で止まっていた時の流れが蘇って全てがキラキラしていた。


「ああ、このままずっと時間が止まったらいいのに。そしたら海里とずっと一緒に居られるのにな」


「なに言ってんだよ、俺はここに居るだろ?」


「うん……。でもね、海里。」


「なあ、観覧車に乗ろうぜ! お前もアレに乗りたがってただろ? 行こうぜ彩花!」


 彼は私の手を引くと観覧車乗り場に向かった。そしてうつ向く私に声をかけると「頂上でキスしよ」っと耳元で囁いてきた。その言葉に顔が赤くなると、彼に胸がときめいた。まるでほんとに、学生時代に戻った気分だった。あの頃のキラキラしたような思い出が、また蘇るなんて。これはきっと私の夢物語りだ。目が覚めたら彼はきっと…――。


「なあ、彩花! 手、出して?」


「あ……」


 観覧車の中で海里が照れた表情で話してくると、私はそこで思い出した。そして、何もかも思い出すと、何も言わずに手をだした。


「これ、ちょっとはやいけどお前に…――!」


「海里…――!」


「彩花、誕生日おめでとう!」


「もう…! 海里は気が早すぎ。私の誕生日は23日だよ?」


「いいじゃん、クリスマス前だと被るだろ? それにプレゼントはプレゼントで、別に贈りたいし!」


「もー。海里はいつもそう、せっかちだね」


「笑うなよ、これでも我慢した方なんだぞ。それに、お前に早く渡したかったし…――!」


「海里……」


 彼は私の薬指にクローバーが飾られ指輪を嵌めた。それを見ると瞳から涙が溢れ落ちた。


「どうしたんだよ彩花、何も泣くことは無いだろ?」


 目の前で私が泣くと彼は慌てた。


「っ、嬉しい……! ありがとう海里…――!」


「今は、こんな安物しか渡せないけど。大人になったらバリバリ働いて、お前を楽させてやるし、もっと高い指輪だって贈ってやる。期待しておけよ?」


「うん…――! 期待しておいてあげる!」


「ああ、ずっと俺の傍に居てくれるよな?」


「もう…! バカなこと言わないでよ、私にはずっと海里だけだよ!」


「そうか……!」


「うん、私には海里だけしか居ないよ…――!」


 泣きながら返事をすると彼の前で明るく笑った。海里は照れた様子で外の景色を眺めていた。私は胸が苦しくなって、残酷過ぎるくらいの夢は、逆に悲しくてなって海里の顔を見るのがやっとだった。

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