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「
「えっ――?」
後ろから誰かに名前を呼ばれるとその気配で私は、分かった。そして、恐る恐る後ろを振り向くとそこには大好きな彼がいた。
「えっ……? うそ、海里…――?」
私が驚いた声を出すと、彼は不思議そうに首を傾げた。
「ん? どうしたんだよ彩花、そんな顔をして。まるでオバケでも見たような顔だな」
海里は私の前に立つと笑いながらいつものように、頭をくしゃくしゃっと撫でた。彼の大きな掌は温もりがあった。その瞬間、私は泣きながら彼の腕の中へと飛び込んだ。
「海里! 海里! ずっと寂しかったよ! もう何処にも行かないで! お願いずっと傍にいて!!」
「どうしたんだよ彩花? そんな風に泣かれたら俺、どうしたらいいかわからないだろ? 泣くなよ大袈裟だな。それに昨日あったばかりだろ?」
「えっ…――?」
彼のその言葉に私は驚いた。海里は困った顔をすると優しくなだめた。
「大丈夫、心配するな。俺は何処にも行ったりなんかしないよ。いつもお前の傍にいる。だろ?」
「海里…――!」
「ああ、そうだ! 今から遊園地に行こうぜ?」
「今から…――?」
「ああ、そうだとも。俺と遊園地に行くって約束しただろ?」
「あっ…――」
海里は私の手を繋ぐと遊園地へと誘った。私は目の前の彼に混乱するとこれが現実か確かめようとした。いや、現実じゃなくてもいい。もうこれが私の夢でもいい。だって私の隣に海里がいる。
タクシーに乗って遊園地を目指した。車内に流れるBGMからは私が好きな曲が流れた。海里と2人で良く聴いた恋愛曲だった。流行りの歌なのに私にはそれが酷く懐かしく感じた。遊園地につくと海里は、すごく子供みたいに楽しくはしゃいでいた。そして私も、それに連れて一緒にはしゃいた。楽しくて、楽しくて、まるで学生時代に戻った気分だった。
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