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気づいたら信号が変わると青になっていた。仕事の帰り道、私は一人で、ノスタルジックな気分になっていた。きっと冬の寒さのせいだ。この季節になると、不意に彼との懐かしい思い出を思い出してしまう。そして、それは私の心を割れた破片のように突き刺す。
永遠だとか、いつまでもとか、ずっとだとか、そんな言葉には、保証なんてない。だって私の隣には彼がいない。いつも隣に居た彼がある日、突然と目の前からいなくなって。彼の居ない世界に取り残された私はずっと独りぼっちだった。もし神様が居たならきっとこれは残酷なイタズラだ。だって私の隣に海里はもう――。
気づいたら空から雪が降っていた。そういえば今日の天気は夜に雪が降るって予報があったけ。それに私の誕生日か。ぼんやりと歩きながら寒さに凍えて身を震わせた。手も悴んで冷たくなっていた。自分の息で冷たくなった手を息で温めた。
「こんな時に隣に海里が居たならな…――」
海里はいつも私の手を握って温めてくれた。そして隣で優しく笑ってくれた。
「海里にもう一度会いたい…――」
見上げた空から冷たい雪が降り注いだ。自分の涙さえも冷たく感じた。寂しくて、悲しくて、そして彼が恋しかった。
――神様、もし居るなら。もう一度、彼に会わせて。
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