第11話

ルルツはカルラを自分の研究所に連れて帰り、実験台のベッドへ寝かせた。そして有機疑似脳の壺からカルラの意識のサルベージを行った。壺とカルラの頭に軽い電流を流して意識が戻るかどうかを祈りながら試みた。ルルツは怒りと悲しみで血の涙を流した。


そんな時、凱旋してきたエリックがやって来た。


「おじょうちゃんのことは本当に申し訳なかった。俺もこんなことになるなんて思いもしなかった。許してくれとは言わない。ただ、お詫びだけ言わせてくれ。すまなかった。」とエリック


「エリックを憎む気持ちもないと言えば嘘になる。しかしそれよりも許せないのがリューベリッヒ博士とルードベル王だ。カルラをこんな目に合わせるだけでなく、多くの兵隊さんたちも巻き込んで物を扱うように扱った。許されるものじゃない。そんなことよりエリック、凱旋パレードの時の花火は僕に作らせてくれないか?」


「なにかするのか?よかったら俺にも協力させてくれ。せめてもの罪償いだ。」


「大丈夫だよ。強いていうなら家族みんなを連れてこの街を出て行ってくれ。これはエリックの身のためだよ。凱旋パレードの後の晩餐会の時にはもう街から外にいてくれ。」


「わかった。ルルツがそういうんなら俺は従うよ。」


そういってエリックは帰っていった。


ルルツはカルラを見つめながら肩を震わせた。


そして凱旋パレードの日がきた。音楽隊がメロディーを奏で、歩兵が律して歩き、騎兵がその次を歩む。その後ろに近衛師団と馬車に乗ったルードベル王がふんぞり返って座っていた。そんな中ルルツの花火がバンバン打ち上げられてていた。王様が観衆の中からルルツを見つけこう言った。


「この度のお前の功は高い。そして花火まで作ってもらってワシは満足じゃ。なにか望みはないか?」


「いえ、特になにも欲しいものはありません。私も私の研究が活かされて満足しています!」


「そうか。お主も欲がないのぉ。」


そう言ってパレードは進んでいった。


パレード後の晩餐会にて


「よし!今夜は大いに食べて飲んでくれ!おい!料理と酒を運べ!」


ぞくぞくと美味しそうな豪華な料理と年代物のワインがもってこられた。すると王様が


「なんだこのまずそうな料理と酒は!さっさと取り替えろ!」


周りがざわっとしたが、徐々に周りの連中も


「何だこの料理は?まずそうだ。見たくもない。.........何が食べたいんだろう?あれだ!あれ!なんだろう?糞だ!」


「そうじゃ!糞が食べたい!おい!料理人!肥溜めから糞を持ってこい今はそれが食いたい!」と王様が言い出した。


晩餐会では食糞が行われた。糞を食ってまたそれで下してまたそれを食う。阿鼻叫喚の晩餐会となった。


それからアルカデアでは食糞の文化になった。そして食糞のせいで流行り病が横行した。そしてまたその病が快感であり、皆こぞって病にかかりにいった。そして病死した死肉を食べ、プリオン病が流行った。そうしてもうアルカデア王国は滅びたのである。


これはルルツがカルラに対して王国への憎しみを込めて昏睡状態のカルラの脳髄液から抽出したクオリアを花火で街中撒いたからである。


そしてルルツはカルラをトッカの村に連れて行き、あのカルラが最初に見せてくれたお花畑のそばでカルラの意識が戻るのを待っているのであった。


fin

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ルルツの壺 秦野 駿一 @kwktshun

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