第8話
クラスの違う楓と別れたあと三笠と教室へ入るとクラスメイトに囲まれ身動きが取れなくなった。
「みんな奏が困ってるから」
「突然下の名前で呼ぶとか距離感えぐいな、三笠」
「いや単に楓も葛島だからよ。べ、別にあんたが呼びたかったら私のことも紡って呼んでいいわよ」
「変な勘ぐりとかされたくないから三笠でいい」
「君が奏くんだね。私は三笠紡と四年くらい友達の古橋棗よろしくね」
「ああ、よろしく。それでなんで俺の名前知ってるんだ?」
「紡がいっつも君の話するから覚えちゃった」
「俺の話?なんのだ?」
「えっとね「あーあーあー聞こえない聞こえないっ!」」
古橋が話そうとしたら三笠が叫んだ。
「ところで紡、彼と付き合ってるの?」
クラスメイトの女子が三笠の耳元で何かを呟いた。
「はぁっ!?そ、そんなじゃないわよっ!」
「どうした?」
「なんでもないっ!」
三笠が顔を真っ赤にして教室から出ていった。
「あの子純真だから守ってあげなよ?」
(純真?あいつは俺のことドSとか言っていたがあいつの方がよっぽどドSだろ)
「は?いきなり何の話だ?」
「ん〜?こっちの話。それより追いかけなくていいの?あの子結構チョロいから」
「分かったよ」
古橋が教えてくれた三笠の行きそうな場所を当たる。
その一つである屋上へ上がるとベンチに三笠が座りその周りを不良みたいな男子生徒が取り囲む。
「いいじゃん、俺たちと遊ぼうぜ」
「悪いがそいつは俺の友人なんだ」
「は?なんだよ、お前」
「目の前から失せろ。お前らに構ってやる時間が惜しい」
不良達の一人が振り下ろそうとした腕を掴み力を軽く込める。
「て、てめぇっ!は、離せっ!」
「分かったら消えろ。目障りだ」
「っ!お、覚えとけよっ!」
捨て台詞を吐いて不良達は屋上から出ていった。
「別に助けて欲しいなんて頼んでない」
「あっそ」
「出ていけなんて言ってない」
屋上から出ようとしたら呼び止められた。
(相変わらずめんどくさいやつだな)
「はぁ」
「こいつめんどくさいなとか思ったでしょ?」
「エスパーか、すごいな」
「嘘でもいいから否定しなさいよっ!ばかっ!」
「そんな事言われてもな」
「気になってたんだけどなんで演技を辞めたの?」
「いや別に大した理由は無い」
「やっぱりお姉さんのこと?」
(姉?あ、そうか。三笠には姉って設定で話をしていたんだったな)
「そんなところだ。なぜそんなことを聞く?」
「なんとなく」
「そうか。もう大丈夫そうなら教室に戻るか?」
「そうね」
気のせいだろうか三笠が少し残念そうな顔をしていた。
教室へ戻ると今回の元凶である古橋がニヤケていた。
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