第4話
再び倉敷駅から水島臨海鉄道に向かい、駅のホームで電車を待っていた。その中で
「臆病者。臆病者。生きる価値なんてない...」
と心で思いながら、椅子に座りうなだれていた。電灯には春先にもかかわらず、にわかに虫が集まっていた。
そうこうしているうちに電車がたどり着いた。今日は3両編成だった。人が少ない時には1両編成の時もある。倉敷駅から乗るときには券売機で切符を買うが、他の駅から買う場合は車掌さんから切符を買う。そんな田舎の電車であり、愛称はピーポーである。
列車は出発し、1,2分後には私が憧れる秘密基地の小屋が見られる。そこでは唯一非日常を感じられる場所である。そしてそこを通る十数病。
歌が聴こえた
これは説明のつかない聴こえ方だった。脳にすうっと入ってくるような感覚で明らかにそれが聴こえているというのは何かしらおかしいと言えるもの、直接心に呼びかけてくる歌声であった。私は何が何だかとっさの十数秒であり、周りの人はこれが聴こえていないのか分からなかった。おそらく周りの人には、何の反応はない。誰にも聴こえていないってことか?私は背筋がうすら寒くなり、椅子に身体を小さく縮めた。「しかしなんだ?これは今日を逃せばもう二度とないぞ?」という不思議な直観を感じた。だから私は倉敷駅から次の駅の球場前で降り、もう一度そのビル周辺まで歩いて戻るのであった。
to be continued...
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