第23話事後…着信
皆が帰ってくるまで僕らの逢瀬は続く。
初めての体験に僕らは不慣れな手付きで相手を求めた。
僕らは本当の意味で深い場所で結ばれると心地よい雰囲気に包まれる。
とは言え、この後にシャワーを浴びたりと時間がかかるのでのんびりと余韻にも浸れない。
「タケル♡愛してるよ♡」
ルナは僕にキスをすると着替えを済ませて先に風呂場に向かわせる。
その後、僕もシャワーを浴びると何事もなかったかのような顔つきで帰ってきたミコトやスミスを迎えるのであった。
スミスは特に何も追及してくることはなかったが、きっとミコトが宥めたり機嫌を取ったりしたのだと思われる。
妹に余計な仕事を押し付けてしまい兄として自分を不甲斐なく思うと一応感謝を口にする。
「ミコト。気を遣ってくれてありがとうな」
「ん?ルナ姉の為だし〜」
ミコトは僕の感謝をさらりと受け流すと家族揃って夕食を取る事となる。
スミスもルナも帰路に就いており今は家族だけの空間だ。
「それで!初めてはどうだった!?」
母親は興味津々な表情で僕のことを観察しているようだった。
「母さん。息子を取材対象みたいに見ないでくれよ…」
「だって貴重でしょ!なんだって初めては大事なんだから!」
母親が食い気味に僕に質問攻めをしてくるが父親がそれを宥めていた。
父親は無言で母親の肩を叩くと僕らは夕食を取ることになるのであった。
夕食を終えて自室に向かうとやっと本日の行為の余韻に浸ることが出来る。
久しぶりにゆっくりとする時間が出来ると僕は不思議と机に向かっていた。
何に触発されたのかタブレットで絵を描くが全くと言っていい程の素人の出来で僕は不思議と少しだけ自分を好きになった。
両親の遺伝関係なく、自らの力のみとは言わないが成長できる余地を見つけることが出来て嬉しくなった。
自分が天才などというカテゴライズには全く含まれていなくてやけに嬉しかった。
これからの自分の未来を想像していた所で突然スマホが鳴る。
「知らない電話番号には出ちゃダメだよ?」
ルナの言葉を思い出して僕はその着信を無視する。
そもそもルナとともに女子の電話番号は全て消しているのだ。
この電話の相手は女子である可能性が高い。
それなので出るわけにもいかず…。
しかしながらしつこく何度も電話が掛かってきて僕はしびれを切らして電話に出てしまう。
「無視するなんて酷いよ…僕からの電話にはすぐに出てほしいな。前から言っているだろ?」
その電話の相手である志摩久遠の変化を見落とすこと無く僕は静かに会話を続けるのであった。
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