第19話バイト先は自宅

「バイトはしようか。でも少し待ってもらっても良いかな」

ルナの言葉に僕は一度待ったをかけると彼女は首を傾げていた。

「両親の許しをもらわないと」

「そうだけど…」

「まぁ…ちょっとだけ待ってて」

そしていつものように放課後デートの時間が過ぎていき帰宅する。

本日は珍しく家族全員がリビングで揃っていた。

「丁度良かった。母さん達に聞きたいことがあるんだけど」

「何?」

「バイトしたいんだけど…」

「勉強に集中できるぐらいにはお小遣いあげてるでしょ?」

「そうなんだけど…」

そこから僕はルナが志摩の才能に充てられて感化された事を伝えると母親は悩んだような表情を浮かべた後に一言。

「じゃあ二人には家の手伝いしてもらおうかな。正直まだ社会には出したくないのよね。他所様の家にお邪魔するのに手土産のことも考えられない愚息を社会に放り出すわけにはいかないでしょ。幸いなことに私達は特殊な仕事をしていて家事も疎か気味。それを手伝ってくれるなら正当な報酬を出すわ。その代わりサボったりしないって約束できる?約束ができるなら仕事として依頼する」

母親からの仕事の依頼に僕は一つ頷く。

「ルナにも確認するから返事は後日でも良い?もちろん休日は休んでも良いんだよね?」

「もちろん」

母親との短いやり取り終えて自室に向かうとビデオ通話でルナに確認を取る。

「ってわけなんだけど…どう?」

「やりたいけど…私も両親に確認してくる」

ルナは一度席を外すと両親に事情を説明しているそうだった。

結構な時間が経過するとルナは部屋に戻ってくる。

「おまたせ。タケルくんのご両親の連絡先が知りたいだって。しっかりとやり取りをして決めたいみたい」

「わかった。すぐに送る」

通話を続けた状態で両親の連絡先をルナに送ると彼女は自分の両親にそれを転送していた。

「なんかあれだね♡」

ルナは意味深な言葉を口にするとこの後に恥ずかしいことを言いそうな表情を浮かべていた。

「なに?」

「ん?結婚を前提に付き合っているみたいだね♡」

「なんで?」

「だってお互いの両親公認になるじゃん♡」

「………そうだね」

一瞬間を置いて自分がした行動を振り返る。

確かに言われてみればその様な場面もチラホラと…。

「まぁ。とにかく僕らが居ない所で大人が決めてくれるだろうから…その結果待ちってことで」

「うん♡楽しみに待とうね♡」

それに頷いて応えると夕飯までの小一時間、他愛のない会話をして過ごすのであった。


後日。

僕らの知らない所でお互いの両親とのやり取りが行われ…。

翌週の月曜日の放課後。

「じゃあお仕事初日。サボらないようにお互いを監視して協力して頑張ってください」

母親に叱咤激励を受けて僕らは家の中の仕事に取り掛かるのであった。

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