第13話トラブル発生
「蛇川さん。何度言わせるの?私の恋人にちょっかいかけないで」
ルナは僕らを発見すると冷ややかな声で嘘の笑顔を貼り付けていた。
「ちょっかいだなんて酷いよ♡純粋に好意を向けているだけだよ?♡それっていけないことなの?♡」
蛇川は開き直った表情でルナと対峙すると何でもないように口を開く。
「嘘吐かないで。蛇川さんたちの趣味の悪い遊びは噂で聞いているから」
「趣味の悪い遊びって何?♡」
「恋人を奪う遊び。ゲーム感覚でそういうスリルを味わうのが好きなんでしょ?」
「へぇ〜…」
ルナと蛇川は向かい合って舌戦を繰り広げていた。
しかしながら蛇川はすぐに飄々とした表情に切り替わる。
「過去にそういう遊びはあったかもねぇ〜でも今はそういうのじゃないよ♡」
「良いからこれ以上タケルに関わらないで」
ルナは険しい表情で強い口調で蛇川に言い捨てると僕の腕を引っ張った。
「良いのかな?皆見てるよ?」
蛇川とルナが言い争いをしているのをクラスメートは見守っていた。
そこで人気者のルナがいつもは見せない強い口調で険しい表情を浮かべている。
いつもとは違うルナを見てクラスメートは少なからず戸惑っていた。
「ルナちゃんって…束縛激しいのかな…?」
「なんか意外じゃない…?」
「そんなに斎藤を離したくないのかな?」
「ってか蛇川のこと敵視しすぎじゃない?」
「ちょっと蛇川可哀想…」
クラスメートがコソコソと小声で話している内容が少しだけ聞こえてきて僕は多少怖くなる。
ルナの手を引くとそのままカバンを持って教室の外に出た。
廊下に出て校舎を抜けて駅に向かう。
電車に乗り込んで自然と僕の家を目指す。
二人して自室に向かうと階下では母親が何事かと僕らの様子を窺っていた。
母親が何かを言っていた気がしたが僕らは気にせずに部屋に入っていく。
「ルナ…」
ドアを閉めると僕はすぐに彼女を抱きしめる。
何故か凄く怖くなってルナを抱きしめると彼女は軽く笑っていた。
「どうしたの?怖いことでもあった?」
ルナは僕の背中を優しく撫でると美しく微笑んでくれる。
「いや…ルナの評判が落ちるような出来事が凄く怖くて…」
どうしようもなく怖くなってしまい泣き言のような言葉を口にするとルナは嬉しそうに微笑んだ。
「私。別に人気者になりたかったわけじゃないから。タケルに好かれたくて良い女を演じていただけだから。今、タケルと付き合えているから…もうどうでもいいかなって。他は別に何もいらないよ」
ルナは優しい微笑みを僕に向けるといつものように僕の唇に熱いキスをしてくる。
僕らはそのままお互いの唇を貪るように熱い口づけを交わすと一度冷静になって現在の状況を思い出していた。
トラブルが合った僕ら。
燃え上がる二人に用意されている個室。
ベッドもそれに必要な道具もある。
このまま僕らは…。
そう思った所で階下から母親がお茶菓子を持ってやってくる。
「いつでも遊びに来るのは良いけど。健全的に遊んでね?」
母親に釘を差されて僕らは冷水をかけられたように冷静になり、そこからはゲームをして過ごすのであった。
ルナを家に送り届けた帰り道のこと。
知らない電話番号からしつこく電話が掛かってくる。
何度も着信が鳴るが僕は無視を決め込んだ。
するとその電話番号からメッセージが届く。
「恋人にはナイショで遊びにおいでよ♡良い思いさせてあげるからっ♡ここに来て♡待ってるからね?♡」
蛇川からのメッセージの後に追加で写真が送られてくる。
複数人の女子が下着姿のまま室内で戯れている。
そんないかがわしい写真。
無視を決め込むのだがその後も追加でメッセージが届く。
「ミカちゃんがどうなっても知らないよ?警察には連絡しちゃダメだよ?そんな事したらどうなるか分かるでしょ?」
ミカが拘束されている写真が送られてきて僕はすぐにその場に向かうことを決めるのであった。
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