第11話身を焦がす
「ミカ…?タケルから離れなさい…?」
ルナは殺意強めの視線を妹に向けているがミカは全く怯えていなかった。
「はいはい。独占欲強いんだね〜。ルナちゃん可愛いですね〜」
「ミカ!妹なのに生意気!」
「妹って一歳しか変わらないじゃん。同じ高校生だし何も変わらないでしょ?ねぇ〜タケルっ♡」
ミカの人懐こさに少しだけ感心すると僕は微笑んで応えた。
「まぁいいけど…でもタケルには触らないで!」
「はいはい。もう分かったよ。それで何して遊ぶ?」
「仕切らないでよ…」
ルナは呆れたように嘆息するとミカは僕の耳元で囁くように口を開く。
「じゃあ三人でする?♡」
などと与太を口にするミカに僕はあまりにも衝撃的な提案だったため面食らって何も言えずに居た。
「なんてね♡冗談だよ♡」
ルナは完全に呆れていたが少しだけ心配そうな表情も浮かべていた。
「じゃあゲームでもしよ。ミカのせいで予定が全部狂った。ホント最悪。何で今日は帰り早いのよ」
「なんか嫌な予感がしたんだよねぇ〜そろそろルナがタケルを連れてくるような気がしてたから」
「こんなところだけ冴えて無くていいのよ」
二人は姉妹らしく他愛のないやり取りを繰り広げるとスマホの協力ゲームを起動させていた。
「タケルはこのゲームやってる?」
「やってるよ。仲間内でもハマっていたから」
「やった♡じゃあ三人でやろ」
ということで僕らは日が暮れるまでルナの部屋でゲームをして遊ぶのであった。
姉妹二人の息はピッタリ合っていて僕はどうにか彼女たちの足を引っ張らないように努めるので精一杯だった。
だが遊んでいた時間は有意義なもので楽しい時間だった。
成瀬家の玄関で二人に別れを告げるとミカはにこやかに手を振っていた。
「タケル♡またね♡今度はふたりきりで遊ぼうね?♡」
ミカは僕に魅力的だが危うい提案をしてきて心臓が異様に高鳴った。
「ミカ。冗談でも許さないよ?」
「冗談じゃないけど?」
ルナとミカはバチバチにやり合っており僕は軽く嘆息して二人を諌めた。
「ミカちゃん。また三人で遊んでよ。今日は凄く楽しかったから」
「ホント!?やっぱりタケルは最高ねっ♡」
ミカは別れ際に僕に抱きついてルナがそれを引き剥がしていた。
「じゃあまたね」
玄関を出ると駅に向けて足を運ぶ。
「タケル!」
後ろからルナが僕のもとにやってきて何処か不満そうで何かを期待している目をしていた。
「ん?」
問い返すとルナは僕の目を真っ直ぐに見据えている。
闇夜に溶け込んでいきそうなその瞳の奥には僕の身を焼き尽くしそうな熱い熱が帯びているのが見て取れる。
「えっと…」
ルナの期待には応えたいが何を期待されているのかまだわからない。
だが先程のミカの事を思い出してルナもそれに類似した行為がしたいのだと遅ればせながらに気付く。
ルナを優しく抱きしめると彼女の表情を確認した。
だがまだ満足していなさそうなルナを見て僕は辺りを確認した。
人気はなく車通りも少なかった。
それなので僕は思い切ってルナにキスをする。
ルナは僕の頬を両手で掴むと情熱的に貪るように唇を奪う。
「愛してるよ♡」
ルナは満足したのか短い愛の言葉を口にして僕に手を振るのであった。
完全に熱に当てられながら帰宅すると自室で悶々とした感情を収めるのに必死で努めた。
「何してるの?」
後ろから僕の情けない姿を見ていたその女性は不審そうにそんな言葉を口にするのであった。
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