第6話BBQ後自室

夜に眠りについてしまえば、いいや眠らなくても明日は必ず来てしまうというもので…。

目を覚ますと身支度を整えて駅にルナを迎えに行く。

12時に駅集合の約束をするとルナとともにスミスの家を目指した。

スミスの家は僕の家の目の前なので実質自宅まで歩くようなものなのだが…。

「ねぇ…約束…いくつ破ったか分かる?」

ルナは冷ややかな視線を僕に送ってきてぐうの音も出ずに謝罪の言葉を口にすることしか出来ない。

「ごめん…」

「聞きたいのは謝罪じゃないんだけどな…私のこと愛してないの?」

ルナからの重たい問いかけが耳から脳に飛び込んでくるとその甘美で耳心地の良い言葉に全身が震える感覚がした。

「あ…いして…います」

自分で言うには照れくさい言葉を嘘でも言わないとこの状況は収まらないだろうと思い、どうにかその言葉を口にした。

「じゃあキスしてくれたら許してあげようかな」

ルナからの許しの提案にゴクリとつばを飲み込むと覚悟を決める。

自宅近くなので知り合いに見られる危険性はあったが、それよりもルナを怒らせるほうが危険な気がした。

道端でルナにキスをすると彼女は嬉しそうに微笑んだ。

「仕方ないから今回はこれで許してあげるよ」

ルナは優しい微笑みを僕に向けてくれてホッと一安心する。

スミスの家に着くとそのまま庭に入っていく。

「スミスパパママ。こんにちは。今日はお世話になります」

スミスの両親に挨拶をすると隣に立っているルナを紹介する。

「彼女の成瀬ルナさんです。僕の彼女までご相伴に預かれるということで…ありがとうございます」

ルナを紹介するとスミスの両親はにこやかな表情を浮かべていた。

「良いわよ〜。大人数のほうが楽しいからね〜」

スミスママは嬉しそうに微笑んで答えてくれた。

「タケルに彼女か〜。翠子をもらってくれると思っていたんだがな〜」

スミスパパは冗談のようなことを口にしてゲラゲラと笑っていた。

よく見ると既にビールを飲んでいるらしく少し酔っているのが伺えた。

遅れて僕の両親のもとに向かうとルナは自ら挨拶をした。

「お父様、お母様はじめまして。成瀬ルナと申します。タケルさんとはまだ短い付き合いですが、これからも末永く付き合っていく所存です。ですのでどうかこれからもよろしくお願い致します」

ルナは丁寧に堅苦しい挨拶を口にすると深く頭を下げていた。

「礼儀正しいのね。こちらこそタケルをよろしくね」

母親はにこやかに微笑んでそれに応える。

「タケルは俺に似て面食いだな」

父親も既に酔って居るらしく冗談とは思えない言葉を口にする。

酔っぱらいとは一緒に居られないので僕らは子どもたちが集まっているテーブルに向かう。

妹とスミスが何やら楽しそうに会話をしておりそこに混じっていく。

「おまたせ…」

軽く挨拶をすると隣りにいたルナにキッと睨まれる。

(いや…この状況じゃ無視するのは無理だろ…)

そんなことを思っているとルナは仕方なさそうに頷く。

「タケルの彼女だ。こんにちは。幼馴染の角翠子です。特別仲の良い人からはスミスって呼ばれているよ」

スミスは嘘の微笑みを浮かべると軽いジャブのようにルナに牽制した。

「タケルさんの彼女の成瀬ルナです。これから長い付き合いになると思うのでどうぞお見知りおきを」

ルナは適当に受け流すと席に腰掛けた。

「お兄ちゃん!彼女出来たって本当だったんだ!しかも超絶美人!なんで!?」

妹のミコトはルナと僕の顔を交互に見ると興奮気味に口を開く。

「何でも何も…僕から告白したんだよ。それで付き合えた」

「罰ゲームでだったけどね」

スミスはルナの知らない秘密を暴露するとそっぽを向いて素知らぬ顔をしていた。

「何の話ですか?でまかせならやめてください」

ルナはスミスに食って掛かるが彼女は殆ど無視をしていた。

ルナは僕の顔を見ていて仕方なく口を開く。

「仲間内でそういうゲームがあったんだよ。でも僕も他のどの男子生徒もルナとは付き合いたいって思っているのは事実だよ。好きだって気持ちに嘘はないから…でもごめんなさい。遊びの対象のようにしてしまって」

正直に気持ちを言葉にするとルナは少しだけ冷ややかな表情を浮かべていた。

「これはお仕置き確定だね」

ルナは僕にだけ聞こえるような声で耳打ちすると妖しく微笑んだ。

ゴクリと生唾を飲み込むと仕方なく頷く。

そこから僕らは少しだけ気まずい雰囲気の中BBQをやり過ごすのであった。


お腹いっぱいになりBBQを終えた後のこと。

ルナは僕の部屋に来ている。

「ではお仕置きを始めます」

ルナは妖しく微笑むと僕をベッドに腰掛けるように促すのであった。


(これから何が始まる…!)

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