第4話初キスは吸うように…
「私以外の女と付く生き物とは絶対に関わらないで?」
それがルナからの僕への絶対的な要求。
これはどうやら破ってはならないようだと思った。
「私以外の女子と目も合わせちゃだめだよ?」
ルナはやはり束縛が激しいようだった。
「それを破ったらお仕置きだよ?タケルくんの事は大好きで心が苦しいけれど…悪いことをしたらお仕置きが待っているものでしょ?」
現在はルナが作ってきた昼食の弁当を食べながら会話をしているところだ。
会話と言うには一方的にルナが話をしているだけのようにも思える。
「お仕置きって…?」
一応問いかけの言葉を口にするとルナはいつもより異常に美しく妖しく微笑むと一言。
「身体に刻み込む系かな」
などと意味深な言葉を口にするので僕は怖くなってゴクリと生唾を飲み込んだ。
「大丈夫。悪いことをしなければ良いんだから。約束は守ろうね?」
「成瀬さん以外の女性と関わらなければ良いんだよね?」
「そう。それと…」
ルナはそこで言葉を一区切りさせると少しだけ照れたような表情を浮かべて口を開く。
「これからは、ルナって呼んで?」
「わか…った」
どうにか言葉を絞り出すと僕らはそのまま昼食を食べ進めていくのであった。
「一緒に帰ろ?」
放課後を迎えるとルナは僕の席にやってきて美しく微笑む。
「あぁ。ちょっと待ってて」
仲間に別れの挨拶を口にすると彼女のもとに向かう。
教室を出た所でルナは少しだけ不機嫌そうな表情を浮かべて僕に声をかける。
「私よりも仲間が大事?」
「それは…」
「昨日も帰りにカラオケ行ってたでしょ?仲間と遊んでた?私と付き合って初日なのに?家に帰って一人で妄想とかしなかったの?私と付き合えたこと…そんなに嬉しくない?」
ルナはやはり昨日のことを追及してくる。
「いや、仲間に報告に行ってただけだよ」
「何の?」
「ルナと付き合えたからしばらく遊べなくなるって」
「しばらく?」
ここで僕は言葉を間違えたことを遅ればせながらに気付く。
「えっと…言葉の綾だよ。これから遊べなくなるから最後にちょっと遊んできただけ」
「女子は居なかったよね?告白したその足で女子と遊ぶわけないよね?」
「当然だよ」
それに応えるとルナは納得してくれたのか嬉しそうに微笑んだ。
「ちょっと公園寄っていこ」
学校を出てしばらくしたところにある人気のない広い公園に入っていくとルナはベンチに腰掛ける。
彼女は自分の太ももをポンポンと叩くと美しく笑う。
「ん?どういうこと?」
一応問いかけるとルナは、
「膝枕。昨日の罰だよ?」
などと言ってもう一度太ももをポンポンと叩いた。
「えぇ…」
気まずくて何とも言えない言葉が漏れるがルナはそれを許してはくれなさそうだった。
「いいから。早く」
ゴクリと生唾を飲み込むとルナの膝に頭を乗せてベンチに横になった。
頭部に今まで味わったことのない暖かくて柔らかい感触。
目の前にはたわわな双丘の絶世な美女。
そして漂っている異常な色香。
(これは…天国か…?)
そんな事をアホらしく思っているとルナは僕の頭を優しく撫でる。
「目を瞑って。ゆっくりと呼吸をするの」
それに従って目を瞑りゆっくりと深く呼吸をしているとルナの髪の毛が僕の頬を柔らかくくすぐった。
何事かと思い目を開けるとルナは丁度僕の唇にキスをしようとしているところだった。
「ちょ…!」
まだそれをするには早いと思っていたがルナは問答無用で僕の唇を吸う様にキスをするともう一度頭を優しく撫でた。
「何よりも私を優先してね?私だけを見てて?私だけを一生愛してね?」
ルナの闇夜の様な黒目の奥に吸い込まれる錯覚を覚えると僕は何も言えずにただ頷くことしか出来ない。
「今週の土曜日は私の家でデートしようね?」
(土曜日…僕はどうなってしまうんだ…!)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。