第3話二人だけの世界…って
ルナと交際して一日が経った。
まだ決めつけるには早すぎるが…思ったほどルナは束縛が激しくないように思えた。
昨日だって位置情報を共有しているというのにカラオケに行っても何のお咎めもなかった。
何よりもしつこく連絡をしてくるようなこともなく…。
などと朝目覚めて率直な感想を抱いているとスマホが震える。
「もしもし…?」
電話の相手はもちろんルナだった。
「おはよう♡モーニングコールだよっ♡朝一番で私の声が聴けて嬉しい?♡」
電話だと言うのにどうしても語尾に♡がちらつく。
先に言っておく。
ルナの語尾には必ず♡が付いているものだと思ってほしい。
だからこれからは省くとここに記しておく。
閑話休題。
「うれ…しいです」
糖分過多なモーニングコールに思わずめまいすら覚えそうだった。
「支度が済んだら駅前に集合ね」
「わかった。いつもどおりだったら8時30分に着くから」
「じゃあ。もう20分早く。その時間は二人だけの世界で過ごそ」
「わか…った。すぐ支度する」
「朝食は食べてこなくていいから。あとでね」
そこで電話が切れると言われた通り朝食を取らずに、いつもより気持ち気合を入れて身支度を整えると急ぎ足で駅に向かうのであった。
8時10分。
駅前で待っているルナを発見すると急ぎ足で彼女の方へ向かう。
「おはよう。バスの定期券は持ってなかったよね?」
何故かルナは僕の通学事情を知っているようだった。
それに頷いて応えるとルナは僕の手を引いて学校を目指した。
「歩こ?学校に着くまでにお腹を空かせておいて欲しいからね」
「お腹?」
「うん。朝昼のお弁当作ってきたから」
「申し訳ないね…ありがとう」
「いいよ。私の作る料理以外は食べてほしくないからね」
「………」
ルナの言葉に何とも言えずに居ると彼女は美しく微笑むと一言。
「でも夕食は仕方ないね。お母様のご飯を食べていいよ」
「そうだね…」
噛み合っているようで飲み込みにくい言葉に頷くと僕らは徒歩で学校を目指す。
徒歩10分圏内の学校までバスを使うのは朝はギリギリまで寝ていたいからだ。
しかしながら本日はいつもより10分早く学校に着いてしまう。
ルナと共に手を繋いだまま教室に入ると昨日の内に僕らの噂は広がっていたようで…。
クラスメートの視線を一手に集めた僕らだったがルナがそれを制してくれる。
「ごめんね。ふたりきりの時間を楽しみたいの。スマホに連絡くれれば適当に返すから。今はごめんね。ふたりきりにさせて」
僕とルナは席に着くと彼女の作ってきた弁当を食すことになる。
おにぎり二つと唐揚げに卵焼き。
よく目にするような朝食を頂くとルナは僕の食べる姿をじっと見ていた。
「見られていると恥ずかしいんだけど…」
「慣れて。これからずっとこれが続くんだから」
「そうですか…」
ルナは僕の食事姿を写真や動画に収めていて恥ずかしくなって手早く完食をするしかなかった。
「どうだった?美味しかった?」
「うん。非常に美味しかったです」
感想を口にした所で予鈴がなりルナは自席に戻っていく。
「また休み時間にね」
「後で」
軽く手を振るとHRに向けて教師が来るのを待つのであった。
「言っておくけど女性教諭と話すのも禁止だからね?」
HRが始まる前にスマホにルナから通知が届く。
それに嘆息すると了承の返事をするのであった。
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