第2話女子の連絡先は全て削除
「まずこの場で私以外の女子の連絡先を消してもらいますっ♡」
告白が成立して数分経たずでルナは美しい微笑みを携えたまま無茶な要求をしてくる。
「えっと…母親と妹も…?」
ルナはそのままの表情で静かに頷くと右手をこちらに差し出してくる。
「スマホ♡貸して?♡」
ロックを外さずにポケットからスマホを取り出すとルナに差し出す。
ルナはスマホの画面を僕に向けると勝手にロックを解除した。
「ちょ…!」
抵抗の言葉を口にしてもルナは僕をバックハグしてその動きを静止させた。
彼女はそのままアプリを起動させると僕に確認を取りながら一人ずつ女子の連絡先を消していった。
「私だけが居れば良いでしょ?♡」
ルナは異常なほど妖しい声音で僕に問いかけると少しだけ操作をした後にスマホを僕に返した。
「位置情報共有にしておいたから♡浮気はだめだよ?♡」
ルナの勢いに気圧されて何も言えずに居ると彼女は満足げに微笑む。
「ずっとこの時を待ってたんだから♡絶対に離さないからね?♡」
その闇夜のような黒目の奥に何が潜んでいるのか僕にはまだ理解できない。
だがしかし…これは何かしらの地雷を踏み抜いてしまった可能性が高い。
ただまぁ…成瀬ルナと付き合えると言うのは悪くない話ではあるのだが…。
「じゃあ今日は早速帰ってやることが出来たから♡明日を楽しみにしていてね?♡」
「それじゃあ…また明日」
どうにか別れの挨拶を交わすと僕は教室へ戻る。
カバンを持った所で非現実的な現状を少しだけ疑った。
頬を抓ってみても痛みがある。
それは太ももでも手の甲でも同じだった。
(現実だわ…これ…)
やっと現実味が帯びてきた現状に納得せざるを得ないでいるとスマホが震える。
「告ったか!?」
「こっぴどく振られた!?」
「どうなったか教えてくれよ!」
「いつものカラオケに居るから!早く来いよ!」
仲間から続々と連絡が届くと教室を抜けて駅前のカラオケに向かうのであった。
その一室で仲間たちはスマホのアプリで協力ゲームをしていたり、本来の目的通り歌を唄っている奴らが居たり様々だった。
僕らのグループは自由で縛りのない人間の集まりで束縛を嫌う人間が多かった。
「お!タケルが来たぞ!どうなったか結果を聞こうぜ!」
ソファに腰掛けると一度咳払いを一つしてサムズアップをする。
「は…?嘘だろ…!?」
「待て…!そんなわけねぇ!嘘吐いてやがる!」
「嘘だった場合は追加で罰ゲームだぞ!」
仲間の様々な否定の言葉を耳にして僕は少しだけ気分が良かった。
「いや、マジで付き合えた」
正直に今日の結果を口にすると仲間は信じられないようで項垂れていた。
「ふっざけんなよ!じゃあ食券はタカシの総取り?そんなに食えんだろ!」
「一週間は昼飯代が浮くな!ラッキー!」
「じゃあ次のゲーム!採点機能で点数が一番低かったやつが
仲間が盛り上がっている中、僕は興ざめだと分かっているが拒否の言葉を口にする。
「いや、もう無理だと思う。今までみたいに馬鹿やれないかも」
正直な言葉を口にすると仲間は眉根を寄せていた。
「たぶん成瀬は束縛激しい。今までみたいにみんなと遊べなくなる。今の内に言っておくわ。わりぃ」
「まぁ。彼女居る期間は皆そんな感じだし構わねぇよ。別れたらまた遊ぼうぜ」
仲間としばし疎遠になる気配を感じながら僕らは最後のカラオケを楽しむのであった。
結果として最下位はタカシだった。
余談だがタカシは後日、バイト先の聖静女子生のツテを使って皆のためにコンパを開催したらしい。
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