第10話 追跡!コカトリス!
段々とコカトリスの鳴き声が近づいてくる。
私に言われるがまま草陰に隠れたが、私はその場に残って準備をしていた。
「草陰に入る前にやっておかないと。このアイテムはこうやって使うのよね。説明書は熟読済み」
草陰から茜が、こちらを気にして話しかけてきた。
「何やってるんだ?」
「いいから、いいから」
準備が終わって草陰に入ると、3体のコカトリスがやってきた。
「よーし。こいつらを倒せばいいんだな。草陰に隠れてたから、まだ私たちの場所はばれていないんだな! こうやって戦うと。頭いいなブルーは」
「待って茜さん。ブルーはやめて。せめて、カッコよくセレストとでも呼んでください。私の好きな色なんです」
「なんだそれ。厨二病が抜けないような名前……もっと原色をリスペクトしなよ」
「うるさい!! ブルーなんてカッコ悪い!!」
……なんか、茜さんといるとペースを乱されるなぁ……。いつもみたいに冷静にならないと。
「ふぅ……。茜さん、ちょっと待ってね。鳥の習性を使うの。いつか私の前にモンスターがあらわれたらどう戦おうって、ずっと考えていたの。魔法少女を否定されても、準備だけは怠らなかったからね。魔法が無くても戦う方法」
「うーんと……? とりあえずぶっ飛ばせばいいんだろ?」
「違うのよ。あいつらがこの辺りの全てのコカトリスではないの。コカトリスは群れで暮らす。だから、あいつらの巣にでも行って、一網打尽にしないとまた被害が出る。あと、連れ去られた女の子を救出することが目的よ! あの子は巣に持ち帰られて、まだ生きているはず」
「なんか色々考えているな。知能系、やっぱりブルーだな!」
「セレスト!!!」
……やばい。思ったよりも大声が出てしまった。
「コケ?」
私の大声で、コカトリスの群れがこちらに気づいてしまった。
「あちゃー。セレスト?は、抜けたところがあるな。こっちに来るぞ、倒すか?」
「……いえ、ちょっとカッコ悪かったけど、これも計算通りよ。鶏は目の前に餌があれば、そちらにしか目がいかない。そして餌を集めて巣へ持ち帰るはず」
コカトリスはこちらへ向かってきたが、その途中にあった私の置いた餌に気づきこちらへ向かうのをやめた。
「ね。」
「けど、餌をもって逃げちゃったら、どうするんだ……」
「あそこに一緒に罠を置いているの」
コカトリスの一匹が餌をとると、シュシュっと紐状の物がコカトリスの足に巻き付いた。
「よし! 成功!」
罠が巻き付いてもコカトリスは気づいていない様子で、餌を集めていた。
「鶏は餌を見つけても全部食べずに、巣に持ち帰るのよ。鶏の社会にも序列がある。下っ端のやつらが餌を集めて、ボスに献上するのが習わし。こいつらが、ボスのところに案内してくれるはず。そして、ボスのところに女の子はきっといるはず」
「なるほど」
コカトリスは餌を加えて飛び立っていった。
足についた紐はとても長くなっているので、そう簡単には見失わないだろう。
「行くよ!」
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