第9話 発見!コカトリス!
「『スーツの人』、何で山にコカトリスがいるってわかるんだ?」
「コカトリスは、あなたの言う通り『でかい鳥』よ。鳥の習性はわかる。野生の鳥は必ず山に巣をつくる。学習済み。それと、私の名前は│
「でかい鳥だからって、そんな単純なわけないだろ。あと、私のことも変な呼び方はやめて。│
「茜さんっていうのね。よろしくお願いします。コカトリスだけど、モンスターであろうとあの形状を維持するには食料がいるわけ。大部分は鳥だから、草や穀物なんかを食べるはず。だから、草木溢れる山に住むのが定石」
「じゃあなんで、人間なんかを攫って行ったんだ?」
「しっぽの蛇の部分の食料ね……」
――魔法を夢見る子、絶対救わないと……。
「勇者様方。救出に向かわれるようであれば、せめて装備の準備だけでも済ませていってくださいませ」
「そうね。確かにこれじゃ動きにくいもんね。茜さんなんて特に……」
「このパジャマ好きなんだけどな……。汚れたらまずから着替えるか……」
……このくらい図太く生きてれば、私も魔法使えたのかな……。
「兵士さん。できれば私には装備以外にも、念のため魔法アイテムを下さらないでしょうか?攻撃ができるような魔法アイテムなんかがあると嬉しいのですが……」
「わかりました。用意しましょう」
◇
私の魔法を使う糸口にでもなればと、山へ向かう道すがら、気になったので尋ねてみた。
「茜さん。戦隊ヒーローがお好きということでしたけど、いつから好きなのでしょうか……?」
「なんかそんな風にかしこまって呼ばれると恥ずかしいな。あかねを取って、レッドって呼んでくれていいぞ! 生まれた時からずっと好きだよ! 兄がずっと私に見せてくれててね!」
……生まれた時からって、相当ヒーロー脳なのね。
「貴方の呼び方だと、葵っていう名前の私は、『ブルー』かもしれないわね」
「いいね! 葵さんはブルーにしよう! そうしたら、あとはブラック、イエロー、ピンクを集めないとだな! そしたら魔王も倒せそう!」
……色の指定がきた。戦隊ヒーローの固定色を出されると、どうしても反論したくなってしまう。
「戦隊ヒーローオタクさん……。魔法少女にも色というものがありましてね。『赤』というのは、ございません!!」
「……ん?」
「『ピンク』です! 貴方がヒーローであっても主人公であっても構いません。ただ名乗るのであれば『ピンク』そこだけは絶対譲れません!!」
「……ピンク……?」
「固定色は絶対に『ピンク』!! サブは『青系』なのです。ブルーでも良いですけど、どちらかというと水色です!! 私は青系の枠で良いんです。主人公じゃなくても、ナンバーツーくらいの実力はあって。けど、人気投票だと常に上位だったりして」
「……うん。どうした。いきなり早口になって……?」
「あ、ごめんなさい。ついつい……」
昨日の飲み会からか……。押し込めていた気持ちがちょっとずつ出てきがちだな。いかんいかん。
キャーーーオ!!
私は茜さんと顔を見合わせた。
「コカトリスの鳴き声ね。あいつらの縄張りに入ったみたい。トリさんは縄張り意識が強いのよ。今の鳴き声で仲間に伝えているはず。とりあえず隠れましょ」
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