第7話 怪鳥!コカトリス!

「ははっ! やったー! ヒーローだー!」


 戦隊パジャマが喜んでいる。

 蓄光の光は既におさまっていた。

 私も、あの人と変わらないと思うのにな……。

 何が違うんだろう。


 どんな人なのか気になったので、少し話しかけてみようと、近づこうとした瞬間。

 広間の外から慌てて兵士がやってきた。


「近くにモンスターの影が見えました。戦えそうな兵士の方は、すぐに広場にお集まりください!」


 兵士の報告に、広間はザワついた。


「おっ? 早速悪い敵が来たのか! 私も戦いに行こう!」

 戦隊パジャマは、戦うことに乗り気になっているようだった。


 モンスターか……。

 この人に任せれば平気そう。どんな敵でも倒せそう。

 私にも何か力があればな……。

 役に立たないだろうから、この場に残ろうと考えていると、私を召喚してくれた方がそっと声をかけてくれた。


「ぜひ、貴方様も御一緒に来てください。実戦で力が解放されて、魔法が使えるようになることもございます」


 ……私の閉じ込められた思い。

 この世界でなら、本当の気持ちを出してもいいのかな……。



 ◇



 兵士に連れられて街に出ると、王宮前の広場には、まだ沢山の人がいた、

 街にいた兵士が誘導を始めている。


「皆さん、ここから逃げてください! ‌モンスターがすぐそこまで来ています! すぐに避難をお願いします!」


 兵士に促されて街の人たちは移動を始めたが、広場にいた子供たちは避難中でも楽しそうにおしゃべりをしている。

「モンスターが現れても、私の魔法でやっつけてやるんだから!」


 小学生くらいの女の子だ。

 目がくりっとして、純粋な瞳をしている。

 ……何も隠さず本音を言うような。まるで、小さいころの自分を見ているみたい。


「お前は魔法使えないだろ」

「……今は使えないだけだもん! いつか使えるようになるんだもん!」


「小さい頃に魔法が使えなかったやつは、大人になってからも魔法は使えないって先生が言ってたぞ!」

「うるさい! 頑張って勉強してたらいつか使えるんだもん!」


 この世界にも魔法が使えない子はいるんだ……。

 人を助けようって優しい子でも力が与えられないなんて。

 可哀そうだけど、世界って残酷よね。



「早く避難を!」


 兵士が一生懸命誘導をしているが、避難が終わる前に広場に大きな鶏のようなモンスターが飛んできた。



 ドッシーーーン!



 大きな鶏のモンスターが、高い位置から着地すると地面が揺れた。

 街の人達は、パニックになりながら急いで避難を続けた。

 人の間を縫って、私たちはモンスターの前へと進んだ。


 目の前まで来ると、さすがに迫力がある……。

 大きな鶏型のモンスター……。心当たりがある。


「おおー。でかい鶏だな」

「……あなた、のんきそうにしてるけど、あなたが頼りなんだからね」


「お? 召喚の時にいたスーツの人! わかってる、わかってる! 私がこいつを倒しちゃえばいいんでしょ? でっかい鶏なんて、一発で終わりそうだよ!」

「……気を付けてね。こいつは、多分『コカトリス』そうですよね、兵士さん?」



「は、はい。そうです。異世界の勇者様なのに、よくご存じで……」

「そうよね。ただの大きい鶏みたいに見えるけど凶悪なモンスターなのよね。今は体に隠れて見えないけど、尾は蛇のような形態をしていて、猛毒を持ってるはず」


「なんか、お前詳しいな」

「いつかモンスターが現れた時のために勉強だけはしていたからね。あいにく私は魔法が使えないみたいだから、せめてサポートする」

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