第3話 飛行系巨神獣の大群
会見が終わった次の日、俺と琴葉は空港に来ていた。
そしてそんな俺達の隣をアリシアさんと、世界最高の治癒師———『聖女』の称号を貰っているソアさんもいる。
「し、神羅様と琴葉様! この度は韓国に行くことを決めていただきありがとうございます!! 私が責任を持ってお2人を楽しませてみせます!!」
ソアさんは俺達を見ながら拳を胸の前で握って『ふんす!』とでもいう風に気合を入れていた。
彼女には俺が知らない間に何度かお世話になっているらしく、俺の半身が綺麗になっていたのも彼女のお陰なんだとか。
俺はそれを琴葉に聞いた後で直ぐに御礼を言いに行ったのだが———
『それでは誠に身勝手なお願いだと重々承知していますが、私が韓国に帰還する時に一緒に韓国にいらしてほしいのです』
と言う少し謎なお願いをされたので、こうして今日は琴葉と共に空港に来ているわけだ。
「そ、そこまで気合を入れなくても、もう少しリラックスしてもいいんだよ?」
「そうだぞソア。私も自国を案内するときは同じことになりそうだが、もう少し落ち着け」
「うっ……そこまでおかしいですかね?」
「「だいぶ」」
2人に同意されたソアさんは「あうっ」と声を漏らして恥ずかしそうに縮こまる。
第一印象はのほほんとしたお姉さんの様な感じだったので、だいぶ印象が違う。
『———『聖女』様そろそろお時間です』
「あ、もうそんな時間ですか? ———それでは神羅様! 自家用ジェットにお乗りください! 私が神羅様方のために特注しましたので快適性は保証します!」
「ありがとう」
「ふぁぁ……神羅様が私に向けて『ありがとう』と……ありがとうございます!!」
「……ずるいぞソア」
俺と琴葉を置いて2人が盛り上がる。
そんな2人を見ながら俺達は苦笑して、ソアさんの秘書に連れられて、今まで見た事ないほど豪華な自家用ジェットに搭乗した。
「———ねぇ、神羅……あれ、何だと思う?」
自家用ジェットに乗って僅か数分。
丁度韓国と日本の中間地点についた辺りで、ずっと窓から外を見ていた琴葉が俺の袖をクイクイと引っ張って訊いてきた。
そんな琴葉の言葉に俺だけでなく、アリシアさんやソアさんまでもが窓から琴葉の指差す方角を見る。
すると———
「巨神獣だな」
「巨神獣ですね」
「巨神獣で間違いなさそうだ」
俺が帰還初日に殺した鳥型の巨神獣だけでなく、それよりも更に巨大な巨神獣が100匹近くも引き連れて此方に向かって来ていた。
先頭にいる2回り以上も大きな巨神獣は鳥というよりドラゴンやワイバーンに似た姿をしている。
俺が中々見たことのない飛行系の巨神獣に少し目を奪われていると、隣でアリシアさんが難しい顔をしては然りに首を傾げていた。
「どうかしたのか?」
「———し、神羅様っ!? え、えっとですね……あの先頭にいる『ワイバーン』と呼ばれる巨神獣は他種族とは絶対に行動を共にしないことで有名なのです」
「普通に色んな種類の巨神獣を引き連れているが?」
「それがおかしいのです。それに本来の『ワイバーン』の等級はB〜A級。ですが、あのワイバーンはS級は確実にあると思います」
まぁ俺よりも巨神獣を相手にして来た歴もSSS級覚醒者としたの歴も長いので、彼女がいうことが常識なのだろう。
しかし現在進行形でS級はありそうな『ワイバーン』が大勢の巨神獣を引き連れているのは歴とした事実。
一先ず対処するとしよう。
「琴葉、俺が倒してく———」
「———神羅様が出ていかれるほどではありません! この私———『女帝』アリシアが早急に屠って見せます!!」
『なので見ていてくださると嬉しいです!』と言ってハッチを開けて外へ飛び出る。
その余りにも華麗で流暢な動きに、俺達は止めることを忘れて流れのまま行かせてしまった。
「……大丈夫なのか?」
俺は思わず琴葉達に訊いてしまう。
幾らS級が一体に残りがA級〜B級だとしても、あの浮かれ具合だと心配になる。
しかし琴葉とソアさん———2人して苦笑を浮かべて首を横に振った。
「心配は無用だよ神羅」
「そ、そうです! 何せアリシアは———」
———ピシャァァァアアアアアア!!
ソアさんが何か言おうとした瞬間———耳を
何事かと思い窓を見てみれば、S級の『ワイバーン』が全身から煙を上げて地に堕落している姿が目に映る。
更に上空には雷をバチバチと帯電させた雲が広がっていた。
「———雷か?」
「正解。アリシアさんは《雷神》っていう異能力を持ってるの。もう1つ何かあるらしいけど、私は知らないよ」
「私も知りません! ですが、《雷神》というスキルだけで途轍もなく強力なのであの程度の相手なら問題ないかと」
まあ《雷神》なんていう聞くからに強そうな名前の異能力だもんな。
逆にこの名前で弱い訳がないか。
俺は介入しなくていいなと安心して戦況を眺めることにした。
———一方その頃その戦場の中心にあるアリシアは、普段の彼女らしからぬ興奮状態に至っていた。
「し、神羅様が私の戦いを見て下さっている……絶対に失敗は出来ない。それも完璧な勝利を収めなければ……」
そういう彼女の周りには1億ボルトを超える力を持った青白い雷が常に滞空しており、巨神獣達は迂闊に近付くことは出来なかった。
更には初撃にしてリーダーを失った巨神獣達はあまりのアリシアの強さに慄き恐怖しているのか、全く攻撃しようとしてこない。
「———さっさと死ね」
アリシアが手を前に出すと、天から幾重にも雷が降り注ぎ、避ける間も無く巨神獣達が焼き殺されていく。
「ギィィィヤアアアアアア!?!?」
「ギャッ———……」
「ふっ、他愛もない。この程度で神羅様の行手を阻むとは言語道断。私が神羅様に変わって潰して———ん?」
アリシアが再び雷を落とそうとしたその時———突如として殺した筈の『ワイバーン』が蘇ったかの如く炎を吐いた。
しかし先程と違い、全身が燃える様に真っ赤に染まり、瞳は焦点が合っておらず、とても正気だとは思えない。
「……気色悪いことこの上ない」
アリシアが『ワイバーン』に再び雷を落とす。
先程よりも大きく体の芯まで衝撃が届く様な轟音が鳴り響き、全発ワイバーンに直撃した。
しかし———
「グルゥアアアアアアア!!」
「っ!?」
まるで痛みを感じていないかの様に墜落することなくアリシアに迫って来た。
先程よりも強く撃った雷が効かなかったことにアリシアは違和感を覚えるが、一先ず倒すことが先決だと、辺りに無差別に雷を永遠と落とし続ける。
———ピシャァァァ! ピシャァァァ!! ピシャァァァ!! ピシャァァァアアアアアア!!
自然界でも最上位に入るほどの力を持った雷が無慈悲に巨神獣達に降り注ぎ、『ワイバーン』は何度も当たっても粘り強く接近を試みていたものの、結局最後には『ワイバーン』も含めた全ての巨神獣が丸焦げになって海へと落ちていった。
「ふぅ、これで神羅様の行手を邪魔するモノはいなくなった。———神羅様に褒めてもらえるだろうか……?」
ほんの少しの期待と神羅の邪魔をする奴らを排除できた達成感を胸に自家用ジェットに戻った。
帰ってから皆に感謝され、神羅に感謝されたときは嬉しすぎて昇天しそうになったのはいうまでもない。
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