第14話 来日したSSS級覚醒者は琴葉のガチ恋勢

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 光輝を弟子にしてから早1週間。

 既に光輝のレベルは100万に届こうかと言うところまで来ており、最近では軽めの手合わせが出来るようになった。


 そんなこんなで光輝との朝のレベル上げを終えた後、俺は琴葉の様子を見に行こうと魔法系クラスを覗きに来たのだが、


「———なぁ聞いたか!? 日本にアメリカのSSS級覚醒者が来るらしいぞ!」

「マジ? 誰が来るんだ?」

「確か『破壊者』だった気がする」

「……え? それってめちゃくちゃやばくない?」

「———何がヤバいんだ?」

「「っ!?」」


 何やら男子生徒達が興味深い話をしていたので、つい訊いてしまった。

 男子生徒達はいきなり俺に話しかけられたせいか、ビクッと体を震わせていた。


「驚かせて悪い。少し気になる話をしていたからついな」

「ぜ、全然大丈夫です!! そ、それで気になる話というのは……」

「アメリカから来る『破壊者』とか言う奴の何がヤバいのかと思ってな」


 そう言えばつい昨日、いきなり夕薙さんが電話で海外のSSS級覚醒者が来るとか言っていた気がするが、何故か俺は絶対会わないように、と厳重注意されたのだ。

 理由は幾ら訊いても教えてもらえなかったのだが、丁度いいので訊いてみよう。


「それで……一体何がヤバいんだ?」

「言っても怒らないでくださいよ。内申とかも下げないでくださいよ!」

「勿論だ。是非とも教えて欲しい」


 俺がそう頼み込むと、男子生徒の1人が恐る恐る語りだした。


「実はですね、その『破壊者』と言うの人には有名な肩書きがあって……『琴葉様ガチ恋勢』と言う肩書きが」

「…………」

「だから神羅先生は極力会わないほうが……」


 …………なるほど、そう言うことか。


 俺はその一言で瞬時に全てを理解した。

 纏めるとこうだ。


 今回日本近海に生息するクラーケンを共同討伐するためにアメリカから来る『破壊者』と言うSSS級覚醒者は、琴葉の大ファンで尚且1番厄介なガチ恋勢。

 そんな彼も勿論俺と琴葉が恋人になったこと知っているのだろう。


 『破壊者』と呼ばれるだけあり、気性が荒い彼が、俺を見て何をするか検討もつかない協会は、俺を『破壊者』に極力会わせないようにしようとした。

 まぁ一部の人間は俺が何をするか分からないと思っているかもしれないが。


「……教えてくれて感謝する。確かに俺は会わないほうが良さそうだな」

「い、いえ! 神羅先生の助けになったのなら良かったです!!」


 俺は2人にもう一度お礼を言った後、胸に仄かな焦燥感を感じながら急いで琴葉を探しに向かった。


「琴葉……何もないよな?」





 神羅が琴葉を探しに向かった少し後。

 日本の上空に1人の大男が止まり、日本を見下ろしていた。

 その男は身長2メートルくらいの長身に、ガッチリとした体格に男らしい精悍な顔つきをしており、その碧い瞳は激情に燃えていた。


『此処が日本か……思ったより小さいな。まぁそんなことより———』


 そんな結構失礼なことを英語で呟く大男は怒りに顔を歪ませると、


『俺の次期妻である琴葉を誑かした彼氏とやらを処しに行くか。待ってろ———斉藤神羅!! 琴葉に相応しいのはこの俺だけだ!!』


 爆発的な速度で琴葉と神羅のいる学院に向かっていった。

 到着まで後30秒。







「———琴葉」

「ん? どうしたの?」


 急いで魔法系教師の職員室に来た俺を琴葉が不思議そうに見つめている。

 その姿を見て少しホッとするも、そう言えば俺は強い気配がしたら勝手に気付くと言うことに今更気付いた。


 馬鹿だな……と心の中で自虐する。

 しかし、仮にSSS級が琴葉を力ずくで手に入れようとすれば琴葉では対処できないだろう。


「どうしてそんなに焦ってるの?」

「いや、さっきとある男子生徒から琴葉のガチ恋勢のSSS級覚醒者が来ると聞いてな」

「ああ……うん、ホントだよ。あと数時間後くらいに来る予定。私は会いたくないけど」


 琴葉がそこまで行った後、珍しくニヤニヤと揶揄う様な笑みを浮かべる。


「もしかして……妬いてくれてたの?」


 椅子から立ち上がり、俺を上目遣いで見つめてくる琴葉には可愛いしかない。

 俺が見惚れていると、琴葉がクスッと笑った。


「大丈夫だよ。私は神羅一筋だから。それにもしもの時は神羅が助けてくれるんでしょ?」

「当たり前だ」


 俺は力強く頷く。

 琴葉にはお義父さんとお義母さん以外には絶対に触れさせない。

 女子同士ならまだいいが、男子は問答無用でノーだ。


「ふふっ、神羅私のこと好きすぎ———っ!?」

「琴葉もな」


 俺が背中に手を回して抱き締めると、琴葉が顔を一気に真っ赤にしてオロオロし出した。

 もう付き合って1ヶ月くらい経っているのだが、相変わらずウブで可愛い。


 俺が琴葉のテンパる姿に癒されていたその時———上空から強力な気配を感じとる。

 その瞬間に俺達は窓から外に飛び出すと、空を見上げた。


「……琴葉、この気配知ってるか?」

「…………うん。昔一回だけ会ったけど、めちゃくちゃしつこかった奴。あの時は会長のお陰で何もされなかったけど」

 

 琴葉が珍しく嫌悪感を隠さずに顔を歪める。


「と言うか約束はまだのはずだし、この学院には来ない筈だけど……」

『———そんなつれないこと言うなよマイハニー!』


 上から英語と思われる言葉が降ってきた。

 正直英語は全く分からないが、『マイハニー』とかい言う不快な単語だけは読み取れた。


 そんな言葉の少し後に、俺たちの前に2メートルほどの金髪碧眼のムキムキな男が現れる。

 彼が『破壊者』とかいう二つ名を持っている奴だろうか?


「……神羅、取り敢えずこれ付けて」

「? これは?」

「翻訳機だよ。なんて言ってるか気になるでしょ?」

「ああ、ありがとう」


 俺は琴葉から貰った翻訳機を耳の中に取り付ける。

 すると急に奴の言っている事が理解できる様になった。


『おい、俺の前で琴葉に近づくな! 琴葉は俺の次期妻なんだよ!! 新たなSSS級覚醒者かなんだが知らないが、とっとと失せろ!!』


 そう言って俺をしっしっと手で追い払う仕草をする。

 初対面でここまでは礼儀知らずなことはあまりされた事がないんだが……不快だな。


「まずは自分の名前でも名乗ったらどうだ? 俺は貴様のことは全く知らないんだ」

『はぁ? お前、『破壊者』の俺を知らないのか?』

「特に興味ないからな」


 俺がそう言うと、『破壊者』が誰でも分かるほどに青筋を浮かべる。

 

『……俺の名前はベン・アレスだ。琴葉の夫になるんだから絶対に忘れるなよ!!』

「残念だけど、私には神羅って言う恋人がいるの。貴方とは勿論結婚しないし、そもそも友達ですらないでしょう?」


 俺が言うよりも先に琴葉がベンの言葉を真っ向から否定する。

 普通ならこれだけ言われれば身を引くだろうが……


『それがどうした? 琴葉は俺の嫁だと俺が決めから俺のものだ! だから横の男はさっさと琴葉の視界から消え失せろ』


 ———どうやらコイツは普通ではなかったらしい。

 まぁ二つ名からして粗暴そうだと感じるが、想像していた5倍酷かった。


 何でこんな奴が日本に呼ばれたのか本当に意味が分からない。

 コイツと共に行動するのはどう考えても不可能だろ。

 後で協会か政府に訴えてみるか。


 だが、取り敢えず今の所は目の前の男を対処する事にしよう。


「……お前に何と言われようが———琴葉は俺の恋人だ。絶対に渡さない」


 俺は琴葉を抱き寄せ、奴に殺気を放ちながらそう宣言する。

 

 夕薙さんには絶対に会っても刺激しない様に言われていたが、これだけは絶対に譲れない。

 例え琴葉に仇なすのが神であろうとぶっ倒して琴葉を護ってみせる。

 その力を俺は努力して手に入れたのだ。

 今更こんな雑魚に負ける俺ではない。


 しかしそんな俺の宣言が癪に触ったのか、ベンが俺と同じ様に此方に殺気を向けて睨みつけられたと思ったら、ベンが突然突っ込んできて俺と琴葉を引き剥がそうとしてきた。

 そんなベンを、俺は琴葉を抱きしめたまま片手で対処する。


「いきなり何するの!? こんな事してタダで済むと思っているの!?」


 琴葉がそう叫ぶが、ベンはそれ以上の声量で怒鳴る。


『五月蝿い!! 女は黙って俺に従っていればいいんだよッ!! それにどうせ俺が勝つんだから、これをダシに日本政府を脅して隠蔽すればいいんだよなぁ!!』


 先ほどまで怒鳴っていたのに、突然面白そうに顔を歪めてケタケタ笑うベン。

 その姿はまさしく狂人にしか見えない。


『フハハハハハハ!! とっとと琴葉から離れろクソ野郎ッッ!!』


 そう言って再び突進してくるベン。


 このままでは琴葉だけでなく、生徒達にも被害が出てしまうかもしれない。

 それは琴葉の恋人として、生徒の教師として見逃すことなど出来ない。


「———一旦黙ってろ」

「グハッ———!?」


 俺はベンを遥か上空に蹴り飛ばすと、琴葉を地面に下ろす。


「琴葉、少しだけここで待っていてくれ」

「ダメよ! あれは私とアイツの問題なの!」

「琴葉の問題は俺の問題だ。安心しろ———皆護るから」


 俺は琴葉の頭を撫でると、キッと上空を見上げながら言葉を紡ぐ。



「お前に乗ってやるよ———《矛盾の魔力》」



 その瞬間に俺から白銀の膨大な魔力が溢れ出し、琴葉と生徒達や教師達だけでなく、建物をも包み込んでいく。

 更には俺の身体をより濃密な白銀の魔力が包み込み、ボロボロと崩れ落ちる頃には俺の髪や眉毛、まつ毛までもが白銀色に染まり、全身に魔力が纏われる。


「じゃあ———行ってくる」

「……ごめんね」

「気にするな。男は頼ってもらった方が嬉しいものだ」

「……ありがとう。ご褒美沢山用意してくるからね」


 琴葉がそう言ってぎゅっと抱き着くと、爪先立ちをして俺にキスをした。


「頑張って」

「ああ。ご褒美も楽しみにしておこう」


 俺は琴葉から離れると、瞬間移動の如く上空のベンの下へと移動した。



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