第26話 先輩コラボ配信(3)
「これで私の勝ちね!」
「くっ……」
ヨットを始めてから数十分もう決着はついていた。
そう。私は負けたのだ。それも結構な大差で。
「運が悪いとは聞いていたけどまさかここまでとはね……」
「私自身も驚いてますよ」
コメント
▷あんな大差でwww
▷運転悪過ぎで草
▷分からせならず
「じゃあ次行こう!」
「はい」
「次は私が選ぶね」
そう言うとカスミさんはうーんと考えるような声を上げる。
「じゃあ次はオセロしましょう」
「オセロですか」
コメント
▷オセロキター!
▷定番の定番
▷みんな知ってるやね
「オセロ……いいでしょう。やりますか」
「ふん!私が勝つに決まってるけどね!」
「ゲーム中はコメントを見るの禁止、スマホなどで調べるのも禁止でいいですか?」
「当たり前じゃない!」
私はオセロを選択し開始ボタンを押した。
「デュエル開始ィィィ!!!」
「それ毎回やるんですか」
先手はカスミさん。
まぁ最初はほんとに作業ゲーなんでサササッとゲームが進んでいく。
本格的にゲームが動くのは中盤らへんだ。
「そういえばこの最初の動きに定石というものがあるのは知ってますか?」
「ん?……知ってるわよ」
なんか凄い間が空いた気がする。
「まぁまだ私は定石を覚えてないから適当に置かせてもらいますね」
「わかったわ!それなら仕方ないわね!」
「……カスミさんは分かってるから定石通り置くんですか」
「……そうね」
「そうですか」
そう言いながらもゲームはサクサクっと進んでいく。
カスミさんは最初の動きは定石通りに進んでいくって聞いたからこれも定石通りなのだろうか疑問に思う。
「これなんて定石なんですか?」
気になった私はついその定石の名前をカスミさんに聞いてしまった。
「え!?えっ……とぉ……」
「?どうしたんですか」
「い、いや!なんでも無いわよ!これは……そう!これは流星群定石っていうのよ!」
「へー……」
コメント
▷そんな定石あるの?
▷ない
▷ない
▷うーんこの
これはそんな定石なのかと思いながらも私はコマを置いていく。
「そんな事はいいから続けるわよ!」
「え?別にそんなことでは……」
「いいから!」
「は、はい……」
カスミさんが急かすように言葉を投げかけてくる。
それに違和感を覚えたが考えないことにする。
試合はもう中盤に差し掛かっていた。
「……ここ!四枚抜き!へへん!これは勝ったかな!」
「ふむ……じゃあ私はここで」
「ええ?アリアさん。一枚しかひっくり返せてませんけどいいんですかぁ?」
「何故にあおり口調」
カスミさんは何故かあおり口調のまま
「はいここぉ!三枚!どしたんですかー?これは私の勝ちかなー!」
「あんまり調子乗らないほうがいいですよ。取り敢えず角はいただきますね」
「んな!?いやでもこの大差は覆せないでしょ!」
またそう言いながら次はe1にコマを置くカスミさん。
コメント
▷確かにカスミが総数は勝ってるな
▷アリア苦手なんかな?
▷いやこれって……
「へいへいへーい!」
「……」
「これは後が無くなってきたかな!?アリア!」
全体のコマの比率を見るとカスミさんが7割、私が3割といったところ。
全体的にカスミさんのコマが散らばっており、私のコマはちらほら散らばってはいるが大体は左上に集まっている。
「カスミさん」
「ん?なにかなアリアくん。命乞いならよしてくれ給えよ?」
コメント
▷うぜぇぇぇ!!!
▷そんな調子乗ってっと逆転されるぞ〜
▷アリアさんやっちゃってください!
「あなたの負けです」
「……はぇ?」
コメント
▷ふぁ!?
▷え?なんで?
▷やっぱりかぁ
「いやいやいや!比率見なさいよ!どう見ても私の勝ちじゃない!」
「でもまだ三割くらいは空いてますよね?」
「え、えぇ……でもそれでもじゃない!?」
「では一度聞きますけど」
そう言いながら私は下から上を覗き込むように目線を移動させる。
「あなたは私のコマ……あと何個ひっくり返せますか?」
「……アッ」
コメント
▷アッ
▷これはwww
▷いけいけー!
「ちょっちょっちょっ……」
「はい行きますよ〜」
「待って!」
私はそのカスミさんの声を無視してどんどんコマを置いていく。
もちろん、
「はいここ」
パス
「え」
「次ここ」
パス
「は?」
「更にここ」
パス
「ちょっ……」
「はいどんどーん」
パス
パス
パス
パス
パス
「うえええ!?!?!?」
コメント
▷うそぉ……
▷パスパスパスパス
▷草
怒涛のパス連打にカスミさんは大きな声を上げてしまう。そりゃあこんなにずっと私のターンが続くなんて早々ないからだ。
すると私のターンが途切れてしまう。
「あら。これは流石にパスにはさせられませんね」
「……よっし!気を取り直して!ここから私の反撃よ!」
「いやカスミさん」
「んえ?」
私は少し微笑しながら意気込んでいるカスミに向けて現実を突きつける。
「貴方が返せるの一個しかありませんよ」
「……畜生めぇ!!!」
結果は分かるだろう。
――――――――――
「次がラストにしようか」
「……そうですね」
気づけば2時間も立っており、配信終了時間が近づいていた。
「最後はカスミさんが選ぶゲームですね」
「そうね」
オセロが終わってからも色々なゲームをした。
勝率で言えば五分五分、運要素があるものはだいたい私が負けた。
「まぁもうそろそろ時間だし最後はこのゲームで行くわよ!」
「これは……!」
「6ボールパズルよ!」.
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