ある日突然、騎士団の任務中に行方をくらました双子の兄の姿を追い求めるところから始まる正統ファンタジー。主人公であるアリスとアレックスの兄妹の視点に交互にフォーカスを当てながら紡がれていく物語は、国同士の小さな諍いからやがて過去から続く長い因縁の物語へと続いていきます。
妹であるアリスは男装して兄のいた騎士団へと潜入するのですが、ただ服や髪を変えるだけでなく魔法も使っていたりなど状況への説得力を世界観に絡めていて、この世界にどっぷりと浸れる作品になっています。主人公の兄妹だけでなく周りを彩るキャラクター達も魅力的で、1人1人にスポットライトが当てられる場面があり脇役と評するような人物はいません。どのキャラクターも皆、この世界で「生きている」のです。そのあたりは作者様の人柄の優しさが滲み出た作品なのだなぁと感じられると思います。
ただ優しいだけでなく、過去から続く因縁により厳しくも悲しい現実にぶつかっていくシーンも多々あります。けれど、それを乗り越えていくキャラクターたちの強さも楽しめる作品になっています。
兄妹それぞれの恋の行方も目が離せませんね!
魔法や精霊に神獣、さらにも魔物や魔女や他にも……
数々のファンタジーに欠かせない存在が数多く登場するこの作品。これだけでも十二分にワクワクさせてくれるのですが、見どころはやはり壮大なファンタジーの中で繰り広げられる物語でしょう。
主人公のアリス・ランドルフの兄、アレックス。
彼の失踪により、事件は始まる。
いや、古くから事は仕組まれていたと言ってもいいだろう。
ランドルフ家の過去と現在。切り離せない隣国との関係。
考え込まれたストーリーにはさまざまな人の思惑が隠されて、より物語を暗雲へと追いやろうとする。
だが、二人の絆が、物語を大きく動かし、さらには沸き立たせる。絶望の中にも光があり、二人は闇にも負けない心で脅威と立ち向かっていく姿は必見です。
精霊や魔獣の存在する世界に生きる双子のうち、兄が行方不明となった。そして妹は男装し、無謀にも兄が所属していた騎士団へ。
それがすべての始まりであり、そして終止符を打つための一歩でもあった。
妹アリスの行動にハラハラし、兄アレックスの行動にも「まって大丈夫なの」と心配をし。
最初は別々の場所にいた彼らが集結して、そして最後には未来へ向かう。
過去の悲劇から解き放たれたものは、いくつもある。それが何であるのかは、ぜひ読んで確認していただきたい。
最後には未来へ歩き出す。
それは柔らかな光と穏やかな風に包まれているかのようでした。
ぜひご一読ください。
騎士団に所属している兄が失踪した事を知った双子の妹が、兄の行方を追う為に兄のふりをして騎士団に潜入する、というお話です。
文章が丁寧で柔らかく、情景もわかりやすいので、とても読みやすいです。
兄であるアレックス視点のお話と、妹であるアリス視点のお話がメインで進むのですが、それぞれ雰囲気や人間関係などが全く違い、その対比が楽しいです。
双子さん以外のキャラクター視点のお話もあり、それがまた物語に広がりを持たせてくれています。
魔法もキャラクターによってそれぞれ違いがありますし、どのキャラクター達も個性豊かでとっても魅力的です。
個人的に主人公である双子さん達のやり取りがとてもほっこりするので、そちらに是非注目して欲しいです!
兄の失踪、その理由、魔女、そしてタイトルの闇の王や菫青石の宝珠など、謎が多く散りばめられていて、真相に近づいていくのもワクワクします。
まだ途中までの拝読ではありますが、これからの物語がどうなっていくのか、とても楽しみなお話です!