第21話 女子との勉強会でハプニング
「さあ、マイルームへようこそ!」
健太に招かれて部屋に入ると、彩夏が少し驚いた表情を見せた。
「あれ、男子の部屋にしては意外とキレイじゃん」
俺も驚いた。
以前遊びに来た時には、壁中に貼られていたはずの18禁アニメのポスターはすっかり剥がされ、エロフィギュアだらけだった机は参考書が並び、ベッドもきちんと整えられている。
まるで汚れなき聖人の部屋へと、その様相を一変させていた。
「そ、そうかな。俺って見た目によらず真面目で几帳面な性格なんだ」
などと、大嘘をつく健太。
ははあ。
どうやら健太は、前々からこの勉強会を計画していたようだ。
勿論、目的は意中の彩夏と仲良くなることに違いない。
「じゃあ、早速始めましょうか」
里穂は部屋の中央に置かれたテーブルを前に、きちんと正座すると、てきぱきとカバンから教科書を取り出した。
俺たちも座って、里穂に頭を下げる。
「先生、俺たちバカなもので、ひとつよろしくお願いします」
「わかりました。バカでもわかるように丁寧に教えますから、真剣に学んでください」
里穂はきりりとした威圧感のある目つきで、みんなを見渡す。
あれ、里穂って普段あまりしゃべらないからわからなかったけど、意外と強気な性格なのかも。
それから勉強会が始まったのだが……。
1時間経たずして、健太の集中力に限界が来たようだ。
「先生。ちょっと休憩しませんかあ?」
情けない声を上げる健太に、里穂は教科書をぱたんと閉じて頷いた。
「そうですね。では、少し休みましょう」
「ふう。疲れたー」
立ち上がって、首をぐるぐる回す健太。
「じゃあ俺、そこのコンビニでお菓子でも買ってくるけど、誰か付き合ってくれないかな……?」
そう言って露骨に彩夏を注視するが、健太の望みに反してさっと立ち上がったのは里穂。
「コンビニでノートのコピーを取りたいので、私が付き合います」
「行ってらっしゃーい」
笑顔で見送る彩夏を健太は恨めしそうな目で見ながら、里穂とともに部屋を出て行った。
そして残されたのは、俺と彩夏。
静かになった部屋で、なぜか彩夏はねっとりとした視線を送ってくる。
なんか嫌な予感がする……。
「ねえ、青空くん。シよっか。ベッドもあるし」
予感的中。
「いいいいや、待て。俺って、人気者の高宮先輩を意味もなく襲ったサイコパスなのは知ってるだろ?」
「あら。高宮先輩って女子と無理やりキスした画像を集めていたヘンタイだったんでしょ。その高宮先輩を征伐した男として、青空くんの人気は今やうなぎ登りだよ」
「い、いつの間に、そんなことに……」
「ふふっ。女子のネットワークを甘く見ないことって前に言ったよね」
いつの間にか彩夏は制服を脱ぎ、下着だけとなっている。
そして強い力で腕を引っ張られ、ベッドへと
「ま、待って!」
「いいから、じっとして」
彩夏は背後から体をぴったりとくっつけると、手を俺の前に回し、シャツのボタンを外していく。
生暖かい吐息を首筋に感じ、体が固まって為されるがままとなってしまう。
気づくとシャツは脱がされ、俺は上半身裸となっていた。
そこではっと、我に返る。
このままじゃ、まずい! どうしたらいい!?
あわてて周りを見渡すと、ベッド脇にある机の上に置かれたコーラの1.5リットルペットボトルが目に入った。
とっさにそれを掴むと、背後にいる彩夏に悟られぬように、さっとパンツの中に無理やり押し込んだ。
とにかくでっかくすれば、彩夏も諦めるだろうと思ったのだ。
だが……いいのか、これで。
おそるおそる振り返ると、彩夏ははちきれんばかりのバストを包むブラのホックを外していた。
だが、俺の股間を見るなり、目をまんまるにして絶叫する。
「ぎゃあああーーっ!! な、なにそれっ!!」
俺自身も自分の股間にある、あまりにも巨大化した膨らみに驚愕していた。
「なんだ……これは……」
1.5リットルは、大き過ぎただろうか。
「そ、それじゃあ、茜も怪我するって……!!」
彩夏は白目を剥くと気を失い、そのまま俺のほうへと倒れ込んだ。
そうして、まるでハダカで抱き合っているような体勢となる。
「いやあ、まいったまいった。財布忘れちゃって……」
無茶苦茶タイミングの悪い状況で、健太が部屋に戻ってきた。
そして、ベッド上で絡み合う俺と彩夏の姿を見て、目が点になる。
「い、いや、健太。これは違うんだ……!」
俺は激しく困惑しながら、ぐったりとした彩夏の下から這い出て、あたふたと立ち上がった。
「お、おまえ! アレがっ!!」
「落ち着けって。説明するから……」
「やっぱり、アレの大きさを自由自在に変えられるというのは、本当だったんだな!」
ああ……どうしよう。
「見損なったぜ、晴人」
「いや、あのな……」
「彩夏ちゃんとスルのは別に構わないぜ。だがな……俺のベッドでスルのは違うだろ……」
すっかり暗い目となった健太は、押し殺した声でそう言う。
「帰ってくれ」
その言葉に、俺はもう何も言えなかった。
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