第24話 事後決裂
青年はフ…と目を開け、眉を寄せた。
見覚えの無い場所で目が覚めたからだ。
(いっ、…体…重ダルい。)
辺りを確認しようと体を動かそうとしたが、全身が重くダルく体を起こす気が失せてしまった。
『いつ寝たっけ?』『ここは何処だっけ?』と思考しながら寝返りを打つと…。
「!?」
バッ!!!
嫌でも飛び起きる羽目になった。
(なん!?なんっでこいつが…隣で!?)
自分の方を向きクークーとマグダラが寝ていて、冗談抜きに青年の心臓は跳ねた。
だが直後、彼はサーっと血の気を引かせた。
何故ならば、柔らかな毛布の下で眠っていた自分が…
「……はだ…か?」
血の気が引きすぎて吐き気を催しつつ、毛布をしっかりと捲り確認してみると、自分が半裸ではなく全裸であったと知ってしまった。
青年は顔を青くさせじ………っとマグダラの寝顔を凝視し、そっと毛布を剥いだ。
…パサ。
「…… …こ……のッ!?」
マグダラも裸だった。
この状況から導き出せる答えは、一つしかなかった。
「起きろこのクソ男ッ!!?」
「! …驚かせるな。」
「この…こっの…ッ!?」
『俺を犯しやがったな!?』…といくら思っていても口に出すのには酷く抵抗が。
マグダラからはやたらといい匂いがするし、気だるそうな雰囲気はやたらとセクシーで、余計に苛つきが増した。
「この……クズ野郎!!」
「……なんだ藪から棒に。」
「トボケんな!?、なんで俺とお前が…てか節操なしがマジで死ね!!!」
青年はマグダラと親しくなるプランを完全放棄し、ベッドから素早く下りて服を集めた。
本当に最悪な気分だった。
角に触れてしまったが故にベッドに倒された記憶が甦ると、余計にマグダラの神経を疑った。
「…眠らせてヤルとか。……最低だな。」
「………」
「本当に見損なった。」
青年が侮蔑と怒りを露にする様子を、マグダラは眉を寄せ首を傾げながら聞いていた。
そして青年が服を着もせずに出ていこうとすると、パシッと手首を掴み青年を引き止めた。
その顔はただ、不思議そうだった。
「待て。何か勘違いをしてないか?」
「何がだよ放せよッ!?」
「私はお前を眠らせてなどいない。」
「ハ…アッ!?」
『よくそんな調子の良い事が言えたなッ!?』
青年の怒声は、ここに来て一番大きなものだった。
「俺が覚えてんのはベッドに押し倒されたトコまでだ!!
そんで今!、裸で目が覚めた!!
こんなんテメエが劣情ぶちまけた以外にねえだろが!!」
「…は?」
「なにが『は?』だ!?死ねクズ男ッ!!」
カッチーン…
明らかに眉を引き吊らせたマグダラだったが、青年の怒りも止められるものではなかった。
「なんだよ言いたい事あんならハッキリ言えよ!?」
「では言わせてもらうがな。
先に無礼を働いたのは貴様だろう人間。」
「あ?、ああ角か!
それは悪かったけどな、だからってここまでするか!?」
「角の無い貴様になど分かりはしないだろう!?」
「ああそうだよだから何にそんなに怒ってんのかも分かりゃしねえよ嫌なら嫌って初めから言っとけってんだよ!?」
「なんて身勝手な言い分だ。流石は人間だな。
…本当に死ぬまで眠らせてしまいたいほどだ。」
「ケッ!!」
「そもそも私は無理矢理に体を繋げる趣味など無い。」
「だったらこの状況説明できんのかよ!?」
「ああ勿論だ。私の話す真実に聞く耳を持たぬのは貴様ではないか。」
マグダラは眉を寄せながら、『誘ったのは貴様だ』…と驚愕の発言をした。
青年は『ハアア!?』と余計に激昂し、とんだ言い掛かりだと更にヒートアップしてしまった。
「よく言えたなマジで!?」
「…少し落ち着け。私だって驚いたのだ。」
「な!ん!で!?俺が!?テメエを!?誘うってんだよッ!?」
「だから、私も驚いたと言っただろう。
脅かしてやろうと押し倒した直後、お前は豹変し私の顔を引き寄せたのだ。」
青年はイライラが限界に達し、勢いよく腕を振り払った。
そしてそのまま部屋を出て、螺旋階段の途中で服を着た。
破れたシャツはちゃんと記憶のままで、心底うんざりした。
「俺が!?、あいつを!?誘うかってんだよクソボケマジで死ねクソ魔王ッ!!!」
マグダラは一人残された部屋で口元に手を添え、訝しげに首を傾げた。
「……本当に、覚えていないのか…?」
この日から二日、青年は一歩も部屋を出なかった。
アップル達がたまに様子を見に来てくれたが、マグダラがノックをするとドアにベッドを勢いよくぶつけ塞ぎ、一切顔を見せなかった。
◯ ようやくのBL展開!!…の筈なのにメッチャ険悪になってしまいましたね💧
マグダラはクズ男なのか…、はたまた本当に青年が誘ったのか。 う~ん!
この二人は謎が多いですね~!
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